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  バンビ原作事件 提案者:充田
用語: パート3/ユニット10 work = 著作物 ; publish = 公表する
訳語候補:
説明: ひろゆきさんに指摘されて、日本の著作権法をろくに読んでいない小生の不勉強ぶりが歴然として大いに慌てております。小生は”work”と言えば「作品」、publishと言えば「出版する」程度に短絡的に考えておりましたが、著作権法に忠実であろうとすれば、”work”は「著作物」、”publish”は「公表する」が適訳であり、現にhsさんなどは著作権法に最も忠実に訳出しておられ、我ながら良くもこれでモデレーター顔をしていられたものだと認識不足を恥じ入っております。猛省の上、直ちに自分の認識を改めたいと思っておりますが、この用語を使う場合、著作権法第十条を参考として、例えば、音楽作品であれば「音楽著作物」、絵画/彫刻作品であれば「美術著作物」、映画作品であれば「映画著作物」のように訳出すれば良いということでしょうか、何を今更と言われそうな質問でありますが、よろしくご指導をお願い申しあげます。また、全般的に今後著作権関係判例翻訳に当たって、訳語の選択にどの程度日本の著作権法で使用されている用語に忠実であるべきかもご教示頂ければありがとうございます。


 パート3/ユニット10 work = 著作物 ; publish = 公表する 吉本 2004/04/16 13:41:51
著作権判例に限らず、日本語の用語を訳語として採用するか否か、という点については、まず次のように考えるのがよいのではないでしょうか。

1) まったく同じ意味の(指し示す対象範囲が同じ)用語については、原則としてこれを訳語として採用する。
2) 指し示す対象範囲が一部異なる類似の用語については、他の類似用語と比較した上で訳語としての適否を判断する。

>work

米国の著作権法では、日本の著作権法で「著作物」と見なしていない録音物をworkの中に加えていますから、workと「著作物」は「まったく同じ意味」ではありません。つまり上記2)のケースに相当します。

この点をふまえて、「アメリカ著作権制度」(小泉直樹著・弘文堂)では、workの訳語として「著作物」を不適切とみなし、「作品」と訳すことにしています。

これに対して、「作品」という言葉は製作したもの全般について用いられているので、かえって誤解が生じやすく、用語としての厳密性を保ちにくいという考え方もあるでしょう。

つまり、workの訳語として、「著作物」と「作品」は、それぞれ一長一短あるわけです。

僕としては、著作権という文脈でworkを語る場合は、「著作物」の方がわかりやすく、またすでに相当程度定着しているため、こちらを訳語として採用したいと思います。その上で、「米国法の"著作物"と日本法の"著作物"では、指し示す対象範囲が違う」という点を銘記すればよいのではないでしょうか。

>publish

これについては、原則として、著作物を公にするという文脈では「公表」、書籍として販売するという文脈では「出版」と訳しわけるということでよいと思います。