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  ナッシュ・CBS裁判 提案者:吉本秀人
用語: summary judgment
訳語候補: サマリージャッジメント
説明: >パート2ユニット24

この語については、田中英夫編「英米法辞典」を除く英米法関連の辞典ではほとんど「略式裁判」「略式判決」と訳されています。summary judgmentが正式事実審理を省略する点で「略式」であることは間違いないので、「略式判決」という訳語自体がその意味の上から不適切というわけではないでしょう。

田中英夫先生が「略式判決」が適切な訳語でないと主張されたのは、日本の「略式手続」のように「簡易な手続」を想起させるからいかんという理由からですね。Duneさんが経験上指摘される通りsummary judgmentは決して「簡易」ではないから、これは不適切であると。

しかし、田中編「英米法辞典」でsummary judgmentの訳語になっている「正式事実審理を経ないでなされる判決」は、いわば「説明」であって「訳語」ではないと思われます。「summary judgmentとは何か」という問いに対する「簡易な」答えではあってもsummary judgmentという用語の訳語としては不適切ではないでしょうか。

したがって、ここではすでに相当程度流通している「サマリージャッジメント」というカタカナを訳語として採用したいと思います。カタカナ訳は安易との批判もありますが、対応する概念がない場合は無用な誤解を避ける上で致し方ないと考えます。

 サマリージャッジメント Dune 2002/03/30 21:08:00
サマリージャッジメントに限らず、対応する概念がない今回のような判断を必要とする用語に出会うことが今後も多々あると思いますが、理論的な方向性を示していただけたことに感謝いたします。

 「略式」の適否 吉本秀人 2002/03/25 09:37:00
基本的に、田中先生の指摘されたような、意味が異なる類似表現の存在により誤った印象を与える可能性のある訳語が不適切か否か、という点については議論が分かれるところだと思います。個人的には、同じ「裁判」でも日本の「裁判」とアメリカの「裁判」がその実態において大きく異なるようにアメリカの「略式」は日本の「略式」ほど簡易なものではないぞ、という認識さえ定着させれば「略式判決」「略式裁判」で差し支えないのではないか、という気もします。
   
 Re:「略式」の適否 Dune 2002/03/30 20:59:00
先生の上記ご意見に賛成です。緑色の信号を「青信号」と呼ぶのと同じように、「略式裁判」=サマリージャッジメントという理解が定着しているのであれば、「略式」の与える印象を敢えて問題視する必要はないと思いました。