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  アスベスト労働災害裁判 提案者:充田
用語: 米国の裁判所は相対的に「法律審」と諒解してよいか
訳語候補:
説明: 従来いくつかの米国の連邦/州の控訴裁判所の判例の翻訳を経験するうちに、何とはなしに、
米国の控訴裁判所というのは、第一審である事実審裁判所が事実審理および法律審理を行った後出す判決を不服として上訴がなされた場合、その判決内容について法律的に審理する裁判所---つまり第一審が「事実審」なのに対して、相対的に控訴裁は「法律審」ではないかと素人の半解りで漠然と理解しておりました。

一方、では逆に控訴裁判所の審理は「法律審」である---ということを積極的に記載している辞書/参考書(数は知れていますが)は意外に少ないように見え、研究社「英米法律情報辞典」(飛田茂雄)のappeal court; appellate court「上訴[控訴]裁判所」の欄に「下位裁判所や司法機関の判決を審査する。事実審の場ではないから、新たな証拠の提出は認められない」程度の記述が目に付きました。

その理由を素人なりに思案して見たところ、控訴裁の審査機能としては、(1)事実認定に関する誤りの審査、(2) 法解釈に関する判断の誤りの審査の2つがあり、(2)については「法律審」と言えても、(1)は事実審の延長であり、それで短絡的に「法律審」とは言い切れないのかなと推定しました。

しかし、事実審理と並んで法律審理も行う事実裁判所が「事実審」と呼ばれるのであれば、
上記事実認定に関する誤りの審査を行う控訴裁判所を、相対的に「法律審」と呼ぶことは必ずしも間違いではない---のではないかと思っております。随分素人じみた乱暴なお伺いですが、何分のコメントを頂ければありがとうございます。

 米国の裁判所は相対的に「法律審」と諒解してよいか 吉本 2007/03/06 04:51:50
第二審でも事実に明白な誤りがある場合などは第一審の事実認定を覆すこともありますが、基本的にアメリカにおいて二審は日本の高裁と違って法律審と考えてよいと思います。多くの参考文献にこのことが述べられていると思っていましたが、案外に少ないのかもしれませんね。

僕が持っている本では、浅香吉幹著「アメリカ民事手続法」に次の解説がありました。

「上訴においても陪審評決は直接には審理の対象とならず、第一審裁判官のトライアル前またはトライアル中のさまざまな法的判断が審理に服すほかには、第一審裁判官がその権限の範囲内で評決をそのまま判決としたこと、またはしなかったこと、について審理されるだけである。したがって、アメリカの民事訴訟の事実審は一審限りであって、第二審以降は法律審と観念できる」(p5)

「裁判所の審級という問題に関連してもう一点注意を要するのは、アメリカの裁判所では、通常は事実審が一回で、二審から法律審になる」(p174)

他の本にも書いてあるかも知れませんので、見つけたらまたご報告します。