有志で協力して社会的意義のあるコンテンツを翻訳『翻訳プロジェクト』

辞書の図書館 訳文検討室INDEX
 
 辞書作成室掲示板
 
 
  「60ミニッツ」名誉毀損事件 提案者:吉本
用語: “A”is for “Apple”
訳語候補: 訳出不要
説明: この問題は二つの点に分けてお答します。

1)“A”is for “Apple”というタイトルの訳し方について。
2)日本未公開作品のタイトルを訳すべきか否かについて。

1)
“A”is for “Apple”という言い方自体は充田さんもお書きになった通りスペルを確認するための常套句ですが、日本語として考えた場合、レイ・ブラッドベリの短編のタイトル“ R is for Rocket”を「ウは宇宙のウ」と訳した(そのせいで後のS is for Spaceは「スは宇宙(スペース)のス」と「宇宙」に「スペース」というルビを振るはめになっていますが)ように、日本語の文字同士を対応させる必要があります。

この場合の“A”is for “Apple”には、hrtさんがお考えになった通りAlarの意味が含まれていますから、「アップルの『A』はエイラーの『A』」はよく考えられた訳だと思いますが、日本語としてはカタカナとアルファベットを対応させることになり、不自然な表現となります。

したがって、もしこのアイデアをそのままにして訳すとすれば、「Appleの“A”はAlarの“A”」などと英語と日本語を混ぜる必要があるでしょう。

2)
さて、そもそも未公開のタイトルを訳すべきか否か、という点ですが、これは結論からいうと訳す必要がないと考えます。

まず、英語のタイトルは、この場合のように掛け言葉になっていたり洒落になっていたり、それだけ取り出して見ても訳出不能なものが多々あります。ネイティブスピーカーでも本編の内容を読んで(あるいは番組を見て)初めてその意味に気づくようなものがあるわけです。

したがって、判例に登場する未公開作品のタイトルについても、たとえば本文中に内容が紹介されず、タイトルだけが示されていた場合など、それだけでは意味不明なため実際の内容とは関係のない意味に訳してしまうこともあるでしょう。

そうすると、読者の理解を助けることになるどころか、それを妨げることになりかねません。

また、もしその後の文中で詳しく内容が紹介されるなら、最初のところでタイトルを訳す必要もないと思われます。

以上のことから、日本で未公開(未出版)の作品についてそのタイトルを翻訳する必要はないと考える次第です。