翻訳発注で失敗しない依頼方法と注意点
翻訳発注で失敗しない依頼方法と注意点翻訳を依頼して希望通りの仕上がりの納品を得るためには、安心して依頼できる翻訳の発注先を見つけることは必須です。そのためには発注側がしっかりとポイントを押さえた依頼をする必要があります。 今回は納品物のクオリティを大きく左右する依頼方法の基本について説明していきましょう。
翻訳の内容と希望する仕上がりレベル
翻訳を発注する際に一番大切だと言えるのがこの部分です。出来る限り正確な情報を共有することでより高いクオリティの納品が期待できます。
翻訳の分野を詳細に伝える
翻訳対象の種類はウェブサイトや契約書あるいは仕様書など様々です。ただそこで使われる文章が同じ種類のものであったとしても、翻訳の分野が異なると使用される用語や対訳も異なってきます。
そのようなケースでは翻訳者にも専門的な知識が求められる場合も少なくありません。そのために多くの翻訳者は自分の専門分野というものを持って翻訳業務を行っています。
例えばソフト開発の契約書の翻訳であればそこで翻訳者に求められるスキルは
- ・ソフトウェアに関する専門的な知識
- ・法律関連の文書のライティング
となります。
したがって翻訳発注する側が依頼する翻訳の内容(分野や種類)をしっかり把握しておくことが必要です。判断しにくい部分があれば、積極的に翻訳会社やアメリアのような翻訳者ネットワークに相談してみるのも良いでしょう。
希望する仕上がりのレベルを伝える
発注側が希望する仕上がりレベルを翻訳依頼先にはしっかりと伝えるようにしましょう。どうしても起こりがちなのが、希望する仕上がりレベルと納品物の間のズレです。ここで注意したいのは翻訳料金が高いからといって必ずしも希望通りの納品になるとは限らないと言う点です。
経験豊富な翻訳依頼先であれば、このあたりのフォローは適切にしてくれるはずです。そのためにも発注側が最低限伝えたいのは以下の三つのポイントとなります。
- 1.訳文の使用目的
公式サイト公開用、社内資料用、印刷物用など - 2.訳文の読者層
一般的なユーザー向け、技術者や研究者、特定分野の初心者など - 3.訳出
正確な翻訳、読みやすい意訳など
最低限これらのポイントをしっかりと伝えておけば、納品のために最適なプロセスをデザインしてくれるでしょう。
翻訳依頼先の実績を確認する
翻訳の発注者としてある程度、翻訳依頼先の絞り込みが終わった段階で、依頼したい分野の実績などについて詳しく聞いてみましょう。
実績がある翻訳会社や翻訳人材サービス会社であれば専門外の仕事を引き受けたりはしないものです。実績だけでは仕上がりのイメージができない時には、積極的にトライアル翻訳を利用するのもいいでしょう。
実際に翻訳したい原稿の一部を翻訳依頼先に送り、トライアルとして翻訳してもらうことで仕上がりを確認することができます。会社によっては無料でトライアルを提供しているところもありますので、積極的に活用するのがおすすめです。
継続案件では用語集やスタイルシートを共有する
例えば毎年改訂版を翻訳する必要がある場合、用語集やスタイルシートの作成は有効的です。この作業で得られるメリットは「品質の安定」と「翻訳依頼先の手間を省けることによるコストカット」などがあります。
具体的に説明しましょう。
言葉の揺れが生じない
特定の翻訳依頼先に発注していたとしても必ずしも毎回同じ翻訳者が対応するわけではありません。翻訳者が異なれば同じ用語だとしても別の訳文として翻訳される可能性もあります。
もちろん用語集に含む用語は「揺れる可能性のあるもの」だけで問題ありません。例えば「横浜」という用語を英訳する場合「Yokohama」となります。したがってこの場合は用語集に入れる必要はありませんが、「横浜市」の場合「Yokohama city」、「Yokohama-shi」など訳出できますので揺れる可能性がある場合は用語集に入れた方がいいでしょう。
事前に用語集を共有することでそのような言葉の揺れが生じるリスクを低減することができます。
リサーチ時間を短縮できる
依頼された原文に地名や商品名など固有名詞が記載されている場合、翻訳者は情報確認のために訳語の正式名称などをリサーチします。
特に固有名詞などが多い観光案内などに関しては、翻訳よりもリサーチに時間を取られるケースも少なくありません。特にネット検索ではなかなか見つからないような用語が含まれる場合、用語集がなければ翻訳の品質低下などのリスクも生じてしまいます。
発注側が用語集を用意して提供することで翻訳者の作業軽減につながるなど多くのメリットが得られるでしょう。
用語集はエクセルベースでシンプルな構造に
用語集を準備するにあたっての注意点は以下の三つになります。
- ・Excelファイルでできるだけシンプルな構造
用語集を翻訳会社に渡す場合PDFなどのファイル形式ではそのまま翻訳作業では使えません。PDFで書き出されたものは再度翻訳依頼先でExcel形式にまとめなおす必要があります。またExcelファイルを作る際にはできるだけコンパクトにするようにしましょう。何列もの情報を記載したり、行や列を結合するのも控えましょう。 - ・余分なスペースや連番などは使わない
用語集に余分なスペースや連番などが入っていると機械的な処理の際に、処理上のミスが起こってしまいます。
個人に直接発注する際の注意点
翻訳の発注に関しては翻訳会社以外にも、
- ・クラウドソーシングなどで個人の翻訳者に依頼する
- ・知り合いのバイリンガルの人に翻訳を依頼する
このような方法も選択肢として入ってくるかもしれません。
ここで注意したいのは、たとえどれだけ特定分野に精通していて語学能力が高かったとしても、読み手にとって「わかりやすい」訳文に仕上げられるという保証はありません。
読者に理解できないような難解な用語を使ったり、あまりにも直感的な訳文に仕上がったりするリスクの方が高いと言えます。
例えば英日翻訳の場合、翻訳者に求められるものは英語読解力以上に高い日本語のライティングスキルです。言語を理解できる能力と日本語の文章作成能力は基本的に全く異なったスキルとなります。
このようなケースでお勧めできるのは、
- ・専門の翻訳会社に依頼する
- ・アメリアなどプロの翻訳者が登録している人材ネットワークを利用する
この2点となるでしょう。
翻訳の発注前に原稿を完成させる
プロジェクトを早く完成させるために未完成製品のマニュアルを並行して翻訳を進めてしまうとプロジェクトの完成時に差異が出てしまうことがあります。
そのため翻訳の発注の際には出来る限り完成した原稿を準備しておくと間違いがなさそうです。
もちろん案件の性質によっては翻訳の発注前に原稿を完成させることが難しい場合もあります。そのようなケースでは作業がスムーズに進むように、翻訳者に相談をしながら完成された部分から随時翻訳を進めるなど連携をとりながらプロジェクトを進めるようにしましょう。