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翻訳会社などに翻訳を発注したいけれど、どこから手をつけていいか分からない、そんな発注者が多いようです。
今回のコラムでは、翻訳発注に至るまでのポイントとなる注意点を具体的に紹介していきます。
翻訳の発注前に確認しておきたい項目は数多く存在しますが、
このコラムを参考にして、一つずつ確認していくことをお勧めいたします。
英日翻訳の場合、翻訳者は原文である英語の文章を理解して、日本語の訳文としてアウトプットします。
翻訳者のスキルをチェックする上で大切なのは、もちろん英語読解力ですが、それ以上に重要なのは
「分かりやすく読みやすい」日本語のライティングスキルがあるかどうかです。
ここで求められるものは、翻訳者の知識とスキル、そしてセンスです。
単純に必要な情報を伝達できればいい事務的な文書であれば、文調が問われることはありませんが、
専門性が高い案件の需要が増えている現在、
翻訳者にその専門性が備わっているかどうかのスキルチェック
は絶対に欠かせないポイントです。
したがって翻訳の発注は、高いレベルの技術を持つ翻訳者を見つけることから始めなければなりません。
翻訳会社に発注するにあたって、
文体や文調などは事前の打ち合わせで最低限決めておかなければならない項目です。
特に日本語への翻訳で注意したいのは 「敬体(です・ます)」「常体(だ・である)」
のどちらの文体にするかによって、文章全体の雰囲気が大きく異なってくる点です。
どちらの文体を選択するかは、
翻訳を発注する文章の種類や性質によって決まります。
オーダーの出し方によって、上記のような違いが生じてきます。
ただし訳文のテイストやスタイルは、翻訳者の日本語ライティングスキルによって大きく異なってきます。
前述したように翻訳者の英語読解力と日本語の文章作成スキルは、必ずしも合致するものではないので、
文体に関する要望に関しては、限界があると考えておいた方がいいでしょう。
それでも発注前の打ち合わせでは、文体に関する要望をできる限りしっかりと伝えるようにしましょう。
基本的に翻訳料金は、文字数や単語数を基準にして決められます。
例えば原文の言語が英語であれば1ワードあたりいくら、
そして日本語が原文の場合は文字数で算出します。
さらに翻訳料金を決める方式には以下の2つがあります。
多くの翻訳会社では原文方式が採用されています。
訳文方式の場合注意したいのは、事前に把握できるのはあくまで見積額であるということです。
翻訳が完了し文字数が確定して初めて実際の翻訳料金が確定します。
基準となる単価は、原稿の専門性や訳文のクオリティによって異なる場合もあります。
単純に英語を日本語に置き換えるような翻訳と、専門知識が必要なジャンルの翻訳では、
翻訳者に求められるスキルや労力、知識レベルなどが大きく異なります。
場合によっては、翻訳者に文学的なセンスが必要なこともあります。
そのような専門性を求めると、当然ながら見積金額は高くなります。
また翻訳発注するにあたって、いろいろな翻訳会社に見積もりを出してもらって比較する場合は、
料金体系や文字数カウント方法などについて細かく確認しておく必要があります。
具体的な発注先が決まったら、訳文の仕上がりレベルを決めて、実際に依頼する文書で見積もりを取ります。
以下参考までに文字数の確認方法について説明いたします。
日本語の場合は「文字数」、英語の場合は「単語数」がカウントの単位となります。
文字数、単語数のカウントは、Microsoftの「Word」などを使うと簡単に確認することが可能です。
例えばWordなら、「校閲」にある「文字カウント」という機能を使えば簡単に調べることができます。
日本語の文字カウントの場合、「スペースを含めない」数字で確認するようにしてください。
なお、日本語の原稿でもWordでは「単語数」も表示されますが、正確な数字ではないので参考にはなりません。
英語の単語数を確認するには「半角の単語数」に表示されている数字を参考にしてください。
紙原稿などでどうしてもWordが使えない場合は、1行あたりの文字数もしくは単語数をカウントし、1ページあたりの行数にページ数をかけ、
そこに1行当たりの字数もしくは単語数をかけると、文章全体のおおよその文字数もしくは単語数を知ることができます。
翻訳発注の見積もりを取ると「原稿用紙1枚400文字」というフレーズを目にすることがありますが、
実際の翻訳ビジネスシーンにおいて原稿用紙を使って文章を書くことはほとんどありません。
A4原稿用紙1枚の平均的なフォーマットは「1行あたり40文字」「1枚あたり35行」で、1枚1,400文字となります。
もちろんこれは改行などがなく文字がびっしりと詰まった状態の文字数ですので、実際にはこれよりも少なくなります。
目安としてはA4原稿用紙1枚あたり1,200文字程度と思っておくと良いでしょう。
原稿をすでにWordの状態でお持ちの場合は、文字カウント機能で簡単に文字数を確認することができますが、
紙ベースの原稿の場合や、まだ完成していない原稿を発注した場合の大まかな金額を知りたい場合は、
1枚あたり1,200文字を目安として全体の文字数ボリュームを把握するようにしましょう。
見積もりの際の基準になる文字数は、翻訳会社によって異なりますが、大まかに日本語400文字はおおよそ英語の200ワードとして計算されます。
ざっくりとした数字ですが、日本語の文字数を2で割った数字が英語の単語数となります。
もちろんこれは英語におけるケースで、中国語などその他の言語の場合は、当然この比率は当てはまりません。
英語と同じアルファベット表記の言語でもドイツ語などは一つの単語が長いため、多くの場合原文より翻訳した後の単語数の方が少なくなります。
通常、翻訳発注する際、原稿はデジタルデータでやり取りされます。
そこでデータのファイル形式には注意が必要になってきます。
必ず対応する入稿形式を翻訳発注前に確認するようにしましょう。
例えばオフィスソフトで作成した文書ファイルであれば、保存形式は一般的なオフィスソフトで扱えるファイル形式に変換することが可能です。
DTPソフトなどで作成されたファイルなど特殊なデータ形式の場合は、入稿前に必ず翻訳会社が対応できるかどうか確認しましょう。
翻訳発注の際に注意しなければならないのは
翻訳対象の明確性です。
翻訳のクオリティに一番影響するのは翻訳者のスキルですが、
それ以外の要素も翻訳のクオリティに影響を及ぼします。具体的には
などですが、クオリティの高い翻訳を望むのであれば、
「原稿や翻訳対象の明確性」は必ず押さえておきたいポイントです。
発注先の翻訳者やチェッカーがその能力を最大限発揮するためには、翻訳以外の作業に気を取られないことが大切です。
したがって、あちこちに視点を移さなければならないような入稿の仕方は避けるべきです。
例えば、編集しにくい画像やグラフなどを含む原稿や、細かな文字が不規則に記載されている原稿などには注意しましょう。
そのような原稿であれば、少しでも見やすく編集しやすくしてから入稿する必要があります。
クオリティの担保が難しい原稿の具体的な例としては、次のようなものが挙げられます。
翻訳依頼をExcelフォーマットで行う場合、どうしても行や列が多くなってしまいます。
例えば調査結果をExcelフォーマットでまとめた原稿の場合、すべてのセルが翻訳対象ではなく特定セルのみが翻訳対象になるはずです。
もちろんこの原稿形式は発注側にとっては必要なものなので、最終的には同じ形式で翻訳言語に置き換えられます。
ただしそのままの形式で翻訳を始めてしまうと、翻訳の対象となる文章があちこちに分散していて、
翻訳者やチェッカーが思わぬミスを犯してしまうかもしれません。
このような原稿の場合、「Excelで必要な部分だけを表示させる」「翻訳が必要な部分だけをWord形式で抜き出す」
などの事前作業を行ってから発注することで、スムーズでミスのない翻訳作業が期待できます。
取扱説明書などは日々アップデートされたり更新されたりしていますので、改訂版などの翻訳発注には注意が必要です。
これまでの取扱説明書の原文と訳文を参考資料として渡して翻訳発注すると、
翻訳者は改訂されていない翻訳が不要な部分にも目を通す必要が出るなど余計な作業に時間を取られることになり、
それがコストアップにつながることもあります。
このような文章の翻訳発注では、「翻訳が必要な箇所のみを抜き出した原稿を準備すること」で無駄な作業を減らすことが可能になります。
レポートなど画像やグラフが多く含まれているケースは、特に注意が必要です。画像に関しては簡単に編集できるものではありません。
またグラフなどもプロパティからの変更を求められることがあり、直接編集しにくいことが少なくありません。
パワーポイントなどで作成された画像やグラフには、ほとんどの場合元データが存在します。
入稿の際に原稿に加えて元データも翻訳会社に渡しておくと、作業がスムーズに進みます。
元データを提供できない場合は、翻訳会社の方で画像などに記載されている文字の対訳表を作成した上で、翻訳作業に取りかかることになります。
翻訳者も実際の画像やグラフと対訳表を見ながらの作業となりますので、翻訳作業の負担が増えクオリティが下がってしまう可能性が出てきます。
翻訳を正式に発注する前に、一部の翻訳をテスト的に依頼できるトライアル制度を取り入れている翻訳会社は少なくありません。
トライアル制度の大きなメリットは、実際に発注する前にお試しすることで、
訳文のクオリティやテイストをチェックしたり、
文書の内容や形式が希望通りなのかを確認できたりすることです。
その上発注までのフローも確認できますので、原稿のやり取りから作業の流れまで、事前に多くのことを確認することが可能です。
翻訳会社によってトライアルの条件などは異なりますので、事前に確認するようにしましょう。
発注に際し翻訳会社に渡す必要のない部分が含まれる場合があります。
そのような原稿の場合は、翻訳発注を依頼する前に、
翻訳の必要がない部分を省いて渡すようにしましょう。
そうしておけば、発注する文章の文字数が減って料金が下がりますし、確認の手間も減らすことができます。
ほとんどの言語には、使用される地域や文化圏によって微妙な違いが存在します。
特に英語翻訳では、翻訳の精度に大きな影響を及ぼすことがあります。
英語翻訳には、
という区分が存在します。
主な違いを例示すると
などがあります。それ以外にも大きく異なることがあり、
例えばアメリカで一般的に使われる1st floorは、日本と同じように1階を意味しますが、イギリス英語では2階のことを指します。
また日付の表記順序もアメリカ英語とイギリス英語では異なります。翻訳する原稿の文化圏や地域はしっかりと発注前に確認することが大切です。
発注にあたって、原稿全体の分量も伝えるようにしましょう。
そうすることによって作業の全体像がつかみやすくなります。
翻訳者は1行1行を入念に検討しながら作業を進めます。
したがって、文書の量が多ければそれに伴う作業時間も増えていきます。
また翻訳後のチェックも下記の項目ごとに入念に行われます。
また、分量が多く同じような内容が繰り返し出てくる文章などは、
見積もりの段階で値引きをしてくれるケースもありますので、発注前の打ち合わせで説明するようにしましょう。
翻訳を依頼する原稿の分量や文書の専門性などによって、翻訳作業にかかる時間や作業量は異なりますから、当然翻訳作業に必要な日数も異なってきます。
そのため、見積もり依頼の際は
目安となる納期を確認するようにしましょう。
ほとんどの翻訳会社は、納期に関してはある程度発注者側の意向に合わせてくれます。
例えば膨大な文章量の発注を請けた場合、翻訳会社は人員を増やすなどして指定の納期までに仕上げてくれます。
ただし、通常より短い納期で発注すると、費用がかさむことがあるので、極端な納期短縮は避けましょう。
納期も発注する際の大事なポイントなので、提示された納期に問題がないかしっかり確認してください。