夏の怪談翻訳コンテスト

ピンク千代乃 さんの訳文

課題

A young woman was walking home from work on a dark night. Due to road construction, she needed to take a path through a darkened cemetery. As she approached the cemetery gates, she was overcome by fear and began to shake. Suddenly, she saw a policeman walking along the road. She ran to him and asked for an escort home. He agreed and as they passed through the cemetery, the woman began trembling.
“Why are you shaking?” asked the policeman.
“It is horrible,” replied the woman. “I am terribly afraid of the dead.”
The policeman was surprised and asked with a laugh, “Why be afraid of us?”



訳文

ある闇夜のことだ。若い娘が仕事を終え、家路についていた。しばらく歩くと工事中の道路にさしかかり、娘は暗い墓地を抜ける道を通らざるを得なくなった。墓地の入り口に近づくにつれ、娘は恐怖に襲われ、がたがたと急に震えだした。とそのとき、娘の前に道を歩いている警察官の姿が見えた。娘はすぐに警察官に駆け寄り、家まで送ってもらうように頼んだ。警察官が娘の話を聞き入れ、二人で墓地を通り抜けたときだった。再び娘がぶるぶると震えはじめた。
「なぜ震えているのですか。」警察官が訊いた。
「怖いんです。」娘は答えた。「あの世にいった人たちが、私はとても怖くて。」
警察官は驚いて、笑いながら言った。「どうしてそんなに怖いんですか。僕たちのことが。」



レーティング参加者からのコメント

1. 全体的に文章が自然で良かったです。 (評価3)

2. あの世に逝った人 の言い方があったか、と思いました。
また、”僕たちのことが。”を最後の最後に持ってきてることが、このストーリーのオチをしっかり表現していると思いました。 (評価5)

3. 警察官の最後のセリフが倒置になっているのが上手いなと思いました。全体的に表現は上手だなと思ったのですが、「若い娘」という表現が若干古風に感じられました(これはただの個人的な好みです)
 (評価4)

4. 日本語がとても自然でよいと思います。 (評価5)