出版企画と出版社の出会いの場 出版持込ステーション

出版持込ステーションから生まれた本

『はじめまして量子力学: ふしぎがいっぱいミクロの世界』

  • 出版社:化学同人
  • 企画者:鈴木真奈美さん
  • 原題 :My First Book of Quantum Physics
  • 経緯 :[2019.06.17] 企画検討開始
        [2019.08.02] 採用決定
        [2020.11.30] 出版!
  • 出版日:2020年11月
  • 備考 :企画者の方が翻訳者として採用されました

【企画書リストでの企画紹介文】

 私たちが住む世界は、原子や、原子よりももっと小さな粒子からできている。そんな粒子たちが活躍するミクロの世界は、とても不思議なところだ。粒子たちは、ちょっとヘンテコでややこしい規則に従って活動している。本書は、そのややこしい規則を、平易な言葉と、カラフルで美しい絵と、可愛らしい粒子キャラを使って紹介する。「量子力学と絵本?」と驚く人がいるかもしれないが、本書は、この魅力的なミクロの世界を簡潔明瞭に解説している。入門書としては最適だ。小学校高学年から中学校までの理科の学習内容に触れる部分もあり、ためになること間違いなし。大人も子供も偏見を捨てて、まずはこのワンダーフィジックスに触れてみよう!

【企画者からのコメント】

 この作品の原書を海外のアマゾンで見つけた時は、かなり驚きました。「量子力学」と「絵本」という組み合わせが想定外だったからです。実際、日本アマゾンを探しても、量子力学をメインに扱った絵本は、1冊も見つかりませんでした。この作品を翻訳出版すればきっと面白い本になる、とすぐに思ったのですが、一方で、子供に量子力学なんて突拍子もないのでは、という不安もありました。

 そんな不安も、実際に原書を読むことで解消されました。量子力学を理解するためには、ミクロの世界や、量子力学が生まれた経緯について知る必要があるのですが、この作品は、まず、その2つを丁寧に説明していました。また、量子力学のメインとなる理論も、ひき続き、やさしい言葉で丁寧に説明していました。もちろん、この作品だけで量子力学のすべてがわかるわけではありませんが、子供たちに入門書として読んでもらうにはぴったりだと思いました。また、子供には理解できないだろう、などと決めつけたりしない作者の姿勢にも共感を覚え、企画書を書くことに決めました。

 この企画を採用してくださった化学同人の後藤さんと、企画を同社に紹介してくださったアメリア事務局の河原さんには、大変感謝しています。私は、翻訳の仕事はこれが初めてでしたので、出版までの何もかもが新鮮に感じられました。特に、初めてゲラを見た時の感動は忘れられません。訳文がぴったりと原書の絵におさまり、まるで初めから日本語で書かれていたかのような仕上がりになっていて驚きました。また、児童書の翻訳に慣れていない私の訳文を、子供向けに修正していただいていて、なるほど児童書ではこんなふうに訳すのか、と勉強になりました。一連の作業を通じ、色々なことを学ばせていただいた後藤さんには、本当に感謝しています。

 今回、企画書の作成から本の出版までの流れに関わることができ、翻訳出版の面白さを知ることができました。企画の採用までこぎつけるのはとても難しいですが、これからも「出版持込ステーション」にチャレンジしていきたいと思っています。また、多くの企画が採用されることを願っています。

【編集者からのコメント】

 もともとは、理系分野の翻訳者がなかなか見つからず、アメリア様にご相談をしたのがきっかけで、コンテストをしていただくなどのご縁ができ、このたび、「出版持込ステーション」から、鈴木真奈美さんの企画をご紹介いただきました。

 これまでも様々な方から翻訳書のご提案をいただくことはありましたが、詳細な分析をされた企画書と、ほぼすべて訳してあるものをご提示いただくのは初めてでした。絵本で分量が少ないということもありますが、どんな本なのかがすぐに把握でき、企画の採否の検討が非常にスムーズにできました。

 本の内容も、超難解な「量子力学」を小学生向けに解説する絵本ということで、これまでにないユニークなものでしたので、やってみようということになりました。もちろん、すでにひととおり翻訳されていらっしゃった鈴木さんにそのまま訳者となっていただきました。また、同じシリーズで「相対性理論」もあることがわかり、そちらもアメリア様を通じてご縁ができました齋藤慎子さんに訳者を引き受けていただきました。

 「量子力学」も「相対性理論」も、数多くの入門書が出版されていることからもわかるように、非常に難解で、多くの人が何度もチャレンジしては挫折するようなものです。それを子供向けに説明しようというのですから、翻訳も苦労されたことと思いますが、かみ砕いた用語と柔らかい言い回しで、子供でも読めるように仕上げていただき、感謝しております。かといって、不正確でいい加減なものにならないよう、科学的な面もきちんと調べていただきましたので、大人でも十分に読みごたえがある、素敵な絵本になったと思います。多くの方に、手軽に物理学の最高峰に触れていただく機会になればよいなと願うばかりです。