出版企画と出版社の出会いの場 出版持込ステーション

企画の採用実績

『Mint Love ミントラブ ‐薄荷之夏‐ 1』

『Mint Love ミントラブ ‐薄荷之夏‐ 1』

  • 出版社:KADOKAWA
  • 企画者:りーめい企画さん
  • 原題 :薄荷之夏~mint love~
  • 経緯 :[2021.12.7]企画検討開始
        [2022.6.30] 採用決定
        [2023.3.2] 出版!
  • 出版日:2023年3月
  • 備考 :企画者の方が翻訳者として採用されました

【企画者からのコメント】

 元々漫画を読むことが大好きで、様々なジャンルを読んでいました。
翻訳の仕事を始める前に、「中国にも(中国原作の)漫画ってあるのだろうか?」とふと思い、調べてみるとたくさん漫画があることがわかりました。
日本では白黒の漫画が主流ですが、中国原作の漫画はフルカラーばかりだったので当時はすごく驚いたことを覚えています。
早速読んでみようと思い、初めてフルで読んだ漫画が今回翻訳させていただいた「薄荷之夏」でした。
「この作品を翻訳してみたい」と思い、「出版持込ステーション」に応募することを決めました。
2020年10月に初めて企画書を提出し、最初はこの企画書が通るのか不安でしたが、ずっと提出を続け、提出4回目の2021年10月分で採用が決まり、採用が決定したときは本当に嬉しかったです。
翻訳時は原作の世界観やキャラを崩さないように翻訳することに苦労しましたが、初めて完成した漫画本を読んだ時、自分が翻訳したかった漫画が発売されるという実感が一気に沸き、翻訳を諦めずに続けて本当に良かったと思いました。

 「薄荷之夏」は中国で連載されていたのが2013年なのでとても古い作品ですが、2021年に中国でwebドラマ化され、とても人気のある作品です。
「このままバレエを続けてもいいのか…?」と悶々としていた主人公が幼いころに生活していた地元に戻ったことで、色んな人物との出会いや再会を経験します。
「バレエ」「将来」「恋愛」「友人や家族との関係」など、主人公はたくさん悩みながら様々な困難に立ち向かい成長していくというストーリーです。
原作は「第1シーズン(高校生編)」から「第2シーズン(大学生編)」へと続く長編作品で、ストーリーが進むにつれて、主人公以外のキャラの秘密も掘り下げられます。
絵の色遣いが柔らくて繊細で美しく、恋愛ストーリー、学園ストーリーなどの要素もあって読みごたえがありおもしろいです。
年齢性別関係なく、たくさんの方々が読みやすい作品だと思います。

 表紙の絵柄やタイトル文字なども新たなデザインとなり、さらに帯までこだわりが感じられてとても感動しました。
1冊まるごとすばらしい作品です。
企画書を見つけてくださり、素敵な本に仕上げてくださったKADOKAWA様には本当に感謝しております。ありがとうございました。
この経験を活かし、これからもたくさんの中国漫画の良さを伝えていけるよう努めていきたいと思っております。

【編集者からのコメント】

 「薄荷之夏」は、中国で最初は紙の漫画誌にて連載され、その後ウェブ連載に移行された作品です。弊社のタテスクコミックを編集者の清水の紹介で、初めて企画を拝見したとき、過去の中国漫画作品とは思えないクオリティに納得感を強く感じました。

 「薄荷之夏」の主人公・童夕は、内向的な女の子でお母さんの強引で小さい頃からバレエを学ばされてきました。そのバレエが原因で、小学生の頃、同級生からいじめを受け続けていた。その後都会へ引っ越し平穏に過ごしていたものの、また母親の仕事の都合で、過去のトラウマに満ちた海辺の実家に戻ることになります。それでも、前向きに生きていく童夕の姿は、昔の王道少女漫画の主人公らしいところも感じられました。そして、幼馴染のヒーローと再会し、恋、友情、将来の悩み…どの国にも共通する思春期の物語を繰り広げていきます。著者の火禾さんの美麗なカラータッチは、この王道の青春ストーリーにノスタルジックな舞台の風味を見事に浮きだたせてくれたと思います。読了して、これは確かに日本語刊行して、日本の読者に見せたら新鮮かもしれないと思いました。

 また、名和田耕平デザイン事務所さんが、漫画の本文から1コマをピックアップしてこんなに美しい装丁にしてくださったことも本当に感激しました。著者が自身のSNSで初めて日本版の見本誌を披露した時、長年のファンから「思い出の作品が日本で出版された、しかもこんなにきれいな装丁で!」など、感涙のコメントが殺到したそうです。

 最後にあらためて、企画を紹介してくださったアメリア、企画提案・翻訳者のりーめい企画様にお礼を申し上げます。皆様のおかげで日本語刊行ができたことを、本当に感謝しています。
本作を是非ご紹介頂き、もっと多くの日本の読者に届けられたら嬉しいです。