ご利用企業インタビュー

株式会社インプレオ

インプレオは現在、社員数9名、翻訳部門、クリエイティブ部門、そして派遣部門と主に3つの分野で業務を展開しています。2001年に有限会社としてスタートしましたが、その時点では社長1人の会社でした。社長の加藤成子さんは、5年間の専業主婦の後に仕事を再開し、フリーランスで通訳や翻訳の仕事をしていましたが、次第に仕事の依頼が増えていき、性格上断れずに引き受けてしまう仕事を、なんとかうまくこなしていきたいと、約1年後に会社を設立したのです。

何度か事務所を移転し、そのたびに社員が少しずつ増えていきました。翻訳の仕事が増えたのは、年に赤坂にオフィスを移転した頃です。需要の増加していたローカライズと、テレビドキュメンタリーなどの映像翻訳の依頼が少しずつ増えてきていましたが、まったくタイプの違う分野だったため、今後どのような方向性にしていくか決断が迫られました。

「自分たちにはどちらの翻訳が向いているか? どんな翻訳をやりたいか? と考え、結局映像翻訳を選びました」と加藤社長。現在は、映像翻訳部門が業務全体の約5割を占めています。残りは、Web制作、エディトリアルデザイン、グラフィックデザインなどのクリエイティブ部門が3割、ディレクターなどの専門スタッフを派遣する人材リソース部門が2割という内訳です。

社長の加藤さんは、子どもができる前、フリーランスで工業翻訳や翻訳会社で翻訳コーディネーターの仕事をしていました。出産後もしばらくフリーで翻訳の仕事を続けましたが、あることをきっかけに子どもが大きくなるまで仕事を休むことを決心したと言います。

「子どもが6カ月くらいの頃だったでしょうか。起きている間は仕事ができないので、寝たらパソコンに向かうという日々。早く寝てくれないかな、と思う気持ちが子どもに見透かされたのか、だんだん子どもの顔から表情がなくなっていく気がして……。このままじゃだめだと思い、第2子がおなかにいることがわかったときに、思い切って休業することに決めました」(加藤社長)

下の子が幼稚園の年長さんになった年にフリーランスの翻訳者として仕事を再開。再開直前には通訳学校に通うなど、準備もしていたので、復帰はスムーズでした。もともと、頼まれたら断れない性格で、できますか?と問われるととりあえず引き受けて、引き受けてからわからないことは調べて勉強するという具合。そんなふうにしているうちに、通訳、翻訳にとどまらず、その頃需要が増えていたウェブ制作の仕事などもやるようになり、仕事の幅がどんどん増えていき、会社を設立することになったのです。

現在、映像翻訳を担当するリンガル・セクションには3人のスタッフがいます。主な仕事はテレビドキュメンタリー番組の英語版制作です。字幕の場合はSSTを使って最終データ作成まで、ナレーションの場合はスタジオでの録音・編集まですべてワンストップで受注します。スタッフ3名の仕事は、翻訳コーディネートにとどまらず、英語版制作のディレクションまですべてを行います。

スタッフは、翻訳コーディネーター経験、海外経験、また映像翻訳学習経験などを持っていますが、映像翻訳のディレクションに関してはゼロからのスタートだったと言います。

「だれしも最初から知識があるわけではありません。語学力やコミュニケーション能力など基礎的なものがあれば、業務に関する特殊な知識は興味を持って集中的に勤勉に学べば問題ありません。みんな習熟度が速く、経験を積み重ねて一人前に育ってくれました」(加藤社長)

翻訳者は、同社のホームページとアメリアの「JOB INDEX」から応募を受け付けています。トライアルを受けてもらうか、実績のある方は短めの案件をお願いして、実際のパフォーマンスを見て正式登録へという流れになります。現在は日本語番組の英語版制作がメインですが、今後は英語番組の日本語版制作にも力を入れていく予定です。

2007年7月に、メインクライアントであるNHKのスタジオが近い東京・富ヶ谷にオフィスを移転。その後、 社員が増えオフィスが手狭になったことと、派遣社員9名を含めたスタッフ全18名が一堂に会する場所がほしかったこともあり、2009年6月、オフィスから道路を隔てた向かいに打ち合わせスペース『インプレオカフェ・ イースト』を開設しました。「小さな会社なのに同じようなオフィスを2つつくってもつまらない!」「打ち合わせなどで訪れた方にちょっとしたサプライズを」という社長の考えのもとつくられたこちらのスペースのコンセプトは“アナログ・ アンティーク”。曲線美の家具、ア ンティーク電話などに囲まれた部屋には、パソコンは1台もありません。狙い通り、評判は上々。打ち合わせのほか、月1回の社員交流パーティもここで開かれるようになり、社員の絆も深まりました。

リンガル・セクションを支える3名のディレクターに尋ねました。ディレクターとして、どのようなことに気をつけて日々仕事をしていますか?そして、御社にとっての理想的な翻訳者とは?

芹沢さん「ある番組を英語版にローカライズするとき、元の番組の制作意図を読み解くことが、まず大事だと思っています。どのような番組なのか、何を大切に思っているのか、それを自分なりに見つけ、咀嚼して英語版にするのです。ディレクターとしての自分の経験をフルに生かして、力のおよぶ限り最高のものを作る、それが私の役割です。そして理想の翻訳者さんとは、この思いを共有してくださる方です。翻訳者さんに質問を返すこともありますが、どんなに手間のかかる質問をしたときでも、丁寧に答えていただける方だとうれしいです。翻訳が終わったら翻訳者の仕事はすべて終わり、ではなく、最高のものを作るべく、仕上げの段階まで一緒になってやっていただける方が理想ですね」

南さん「すべてのスタッフとのコミュニケーションを大事に考えています。制作物には、制作段階での人間関係が色濃く反映されると感じています。私はこう伝えたつもりなのに、相手は違ったとらえ方をしていた、となると、最初はちょっとした行き違いでも、結果として大きな問題になる可能性もあります。ですから、お互いに気持ちよく仕事ができるように、自分の考えをきちんと伝えることが、良い番組制作につながると思っています。翻訳者さんに対しても、気持ちよくお仕事をしていただけるよう調整したり、ちょっとしたことでも質問をしていただけるような雰囲気を作るように心がけています。翻訳者さんの側でも、コミュニケーションを大事に考え、何でも相談したり、伝えたりしていただければうれしいです」

及川さん「私は付加価値のある仕事をしたいと思っています。例えば、翻訳をすぐに 使いたいクライアントには代案をいくつか用意してその場で選んでいただけるように する、出版物に翻訳を使うクライアントには、表記の申し送りを通常以上に多くする、 など、クライアントの立場に立って仕事をするようにしています。また、同じ英語版 を作る際にも、ターゲットとなる視聴者が英米など英語ネイティブか、アジア圏など ノンネイティブかによって作りかたは違ってきます。翻訳者さんにも、目的によって訳し分けをしていただくこともありますが、一緒になって作っていっていただける方が理想です」