【アメリア】伝・近藤のトライアル現場主義!

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  Q. 己の優柔不断さに悩むナイスミドル(死語)です。体脂肪を減らすお茶を買いにコンビニに行ったらいろいろな種類があって決められず、ひとまず買わずに家に帰ってビールと焼き鳥をお供にネットでどのお茶がいいのか情報を集めているうちにすっかり夜更かししてしまい体脂肪かえって増えとるやないかい!というような、生活習慣病というか病的生活習慣で毎日が暮れていきます。

 そんな私は、朝、玄関で傘を持って行くべきか行かざるべきかで迷うことがよくあります。一応、

「降水確率」イコール「傘持ってく指数」

と考えることにして、
「40%以上なら持って行く、それ以下なら持って行かない」

と決めてはいます。ところが、プラスマイナス5%ぐらいはその日の気分ですぐふらついてしまい、45%でも持って行かずにずぶ濡れになったり、35%で持って行っては帰りの電車に置き忘れたりしています。どうすれば、悩まずに傘を持って行くか行かないか決めることができるでしょうか?こんな私に、良い知恵をお授けください。(東京都:置き傘はなしよ 47歳)

A.
置き傘はなしよさん、初めまして。コンビニのお茶ぐらい、迷ったら全部買ってください。さて傘の件ですが、あなたの場合、基準が「降水確率40%」という1つしかない。これがいけません。だから、40%付近になると決断がふらつくのです。明日から、こう変えてください。「30%以下なら絶対持って行かない」「50%以上なら絶対持って行く」つまり、基準を2つ作るのです。30%と50%の間のときは、前日の天気を参考にすればよろしい。「前日が雨なら持つ。晴れの次の日なら持たない」どうですか、こうすればプラスマイナス5%、合わせて10%迷っても大丈夫。なぜなら、その10%のふらつきは、30%と50%の間(50−30=20%)にすっぽり入っているからです。持つか持たないか、ずっと決めやすくなること請け合いです。ついでに、もっとよい方法をお教えしましょう。それは置き傘です。(回答者)
 
 
     
 
   「ヒステリシス(Hysteresis)」のお話でした。前回の課題文に出てきましたね。Hysteresisの訳語は、「ヒステリシス」でも「履歴」でも、その他文脈に沿うものなら何でもよかったのですが、ヒステリシス(今回はこれで行きます)についてどんなイメージをお持ちか、ここには並々ならぬ関心を持って訳文を見させていただきました。

 以前、「バックグラウンド・ノイズという考え方は、いろいろなところに出てくるので大切だ」というお話をしたことがありますが、「ヒステリシス」も非常に大切な概念で、あちらこちらの分野に顔を出してくる用語です。今回は、そのヒステリシスについて、優柔不断な中年男性(くどいようですが、決して私ではありません)の悩みを解決しながら解説してみようと思います。

 
 
     
   
   まず、おじさん(‘置き傘はなしよ’さんは、わざとらしいので却下)の悩みを図にしてみましょう。回答者は、「基準が1つしかないから、決断がふらつく」と言っています。どういうことなのか。

 おじさんは「降水確率」イコール「傘持ってく指数」と決めているので、迷いがなければ、毎日の「傘持っていく/いかない」は、こんなイメージになります。

 
 
 40%という基準を境に、降水確率がそれより上なら「持って行く」、下なら「持って行かない」、実に明快ですね。

 ところが実際のおじさんの気持ちは、いつもプラスマイナス5%ぐらいはゆれている。すると、こうなります。
 
 
 気分がゆれて、1つしかない基準線を行ったり来たりするたびに判断が変わっているのがわかります。なるほど、どっちかに決まらないというのはこういうことだったわけですね。
 
   
 
     
 
 
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