【アメリア】対談の部屋 13-5 マンガ専門の出版社が翻訳出版に新規参入! 翻訳書未経験の編集者とフィクション未経験の翻訳家が二人三脚で歩んだ奮闘記
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第13回 マンガ専門の出版社が翻訳出版に新規参入!翻訳書未経験の編集者とフィクション未経験の翻訳家が二人三脚で歩んだ奮闘記

5.編集者と知り合えるチャンス! 作品の持ち込みは「会社の営業マン」になったつもりで

――翻訳出版をスタートさせたばかりですが、作品の持ち込みについてはどのようにお考えですか?

佐藤:基本的には歓迎です。編集者は常におもしろい企画や作品を探していますが、体は1つしかありませんから。ただ、「自分がいい!」と思った作品をやみくもに持ち込まれるのは困ります。各出版社の傾向は事前に研究しておいてもらいたいですね。

小林:ミステリを一冊も出版していない出版社にミステリ作品を持ち込んでもボツにされるのは当然ですものね。マッグガーデンとしてはどのような作品を求めているのでしょうか。

佐藤:先に話したことと重複しますが、コンセプトは「活字で読むマンガ」です。若者向けのエンタテインメント性が強いフィクション作品で、内容があまり難しくないものがいいですね。ミステリでも恋愛ものでもジャンルは問いません。英語以外の言語でも構いません。当社のHPの「翻訳小説」カテゴリにも詳細を記していますので、持ち込んでいただく前にご一読をお願いします。添え状には「その作品を面白いと思った理由」以外に「翻訳出版する意図」を必ず書いてもらいたいです。

小林:「翻訳出版する意図」というのは?

佐藤:「なぜこの作品を翻訳して日本で紹介したら出版社の得になるか」という客観的な視点のことです。持ち込みにいらっしゃる方の多くは、作品内容には真摯な態度で臨まれているのですが、その作品がどういうターゲット向けで、どんな売り方があるのかまで考える方はあまり多くありません。

小林:ターゲットという点では、確かに欧米と日本では物差しが異なることがありますね。欧米では、初めて会ったその日にベッドを共にした、という設定でもその内容によっては純愛ストーリーとなりますが、日本ではまだそれを「純愛」と呼ぶには早すぎるような(笑)。

佐藤: ええ。原産国ではヤングアダルト扱いでも、日本ではもう少し上の年齢層に該当するというようなケースが翻訳書ではよくあるようなんです。持ち込みの場合、自分が発掘し売り込むわけですから、映画のプロデューサーと同じ立場なのです。「私の企画は、どういう特性があり、誰々(読者)にアプローチすれば必ずや、御社の売上にプラスになるでしょう」ということを簡単に表していないといけないと思います。たとえば原書がどこどこの書店で何位まであがっていますとか、××の雑誌でとてもいい評価を受けているとか、映画になるとか、近頃の日本での××のブームに相応しい作品だとか、○○な世の中はいままさにこんな作品を求めているのです!とか・・・・・・。

小林:営業マンみたいですね(笑)

佐藤:営業マンですよ、作品を売り歩くわけですから。そしてその作品に乗せて自分の翻訳力も売るわけでしょ? 立派な営業です。持ち込みっていうのは押し売りに近いわけですから、会った途端(=企画書を見た途端)に興味をひく言葉をパッと見せないと玄関を閉められちゃうわけですよ。だから簡潔な「出版意図」で玄関を閉めさせないで、ここではなんですから、座敷にどうぞ、と言わせるのです(笑)

小林:作品が見事、出版となった場合、持ち込んだ方に翻訳をお願いする可能性はどのくらいなんでしょう。

佐藤:全く経験がない方にお願いするのは難しいのですが、まずトライアルを受けていただいて、その結果次第ですね。でも、例え翻訳は別の方に依頼することになったとしても、持ち込んでいただいた方とのご縁は大切にしたいです。場合によっては下訳や、他の作品のリーディングをお願いすることもあると思います。その人の紹介でいい本が何冊か出ることになれば、出版プロデュース的な意見を伺うことにもなるかもしれません。

小林:本当、「縁」は大切ですよね。私自身、人脈によって生まれた訳書が何冊かありますから。そういう意味でも、編集者の方と知り合える「作品の持ち込み」は積極的に行った方がいいのかもしれません。もちろん、常識を踏まえてのことですけど。
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