【アメリア】対談の部屋 14-2 全米大人気ARGがついに日本初上陸!子どもから大人まで楽しめる 壮大なアドベンチャー・シリーズを訳す
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対談の部屋
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第14回 全米大人気ARGがついに日本初上陸!子どもから大人まで楽しめる壮大なアドベンチャー・シリーズを訳す

2,版権取得で思わぬ障害。それを乗り越えて……

――「39クルーズ」の情報が版権エージェンシーからもたらされたのが2007年暮れ。米国で出版されたのが2008年秋ですから、1年近く間がありますね。新刊書の情報はそんな早くに出版社に届けられるものなのですか?

豊田:ものによって違いますが、これは特殊なケースだったと思います。ARGというまったく新しい規格のシリーズを立ち上げるにあたり、事前のマーケティングに時間をかけたのでしょう。また、書籍はスコラスティック社から出ていますが、Webを含めた全体の仕掛けはARG専門の別の会社が担当していて、そのあたりからも注目度を高めるために情報が流れたのではないでしょうか。

――すぐに版権取得に乗り出したとのことですが、それはスムーズに行きましたか?


三原:それが結局、版権が取れたのは2009年1月ですから、丸1年掛かりました。難航した一番大きな理由は、米版元が世界同一規格・同時進行の“コ・プロダクション”を条件にしたことでした。

豊田:“コ・プロダクション”とは、装丁やイラスト、レイアウトなどはすべて英語版原書と共通にし、翻訳テキストの部分だけを差し替えて製造する方法です。このやり方のメリットは、世界各国版の印刷を一気に行うので、低コストで出来上がるということです。

でも、日本の場合には、それを阻む要因がいくつもありました。まず日本語は縦書きだということ。また英語版の装丁は大人っぽいデザインで、児童書売り場になじみにくいと思いました。さらに、英語版の書籍にはカードが付いていたのですが、日本の書籍流通のルールでは、本に何かが付いている場合は、特殊な加工をしないといけないなど様々な事情があり、そのままの形で販売することは非常に難しかったのです。でも、それをアメリカの出版社に説明しても、なかなかわかってもらえなくて……。

三原:そうこうするうちに、2008年夏ごろになってハリウッドで映画化が決まり、あのスピルバーグが監督を務めるらしいというニュースが流れ、他の出版社も一気に興味を示し始めたのです。

結果的には、コ・プロダクションは無理だという我々の主張がわがままではなく、日本の市場はそういうものだということをわかっていただき、さらにいち早く興味を示していたこと、日本国内でARGの実績を持っていることなども考慮していただいたようで、2009年に入ってすぐ版権が取得できました。

実は、翻訳者は2008年6月には決定して、既に8月には訳文が上がってきていたということもありましたので、取れなかったらどうしようかとひやひやしました。
 
――版権が確実に取れるかどうかわかっていない状態で、翻訳を先行して始めていたということですか?

三原:そうです。多少のリスクを負ってもやるだけの価値はあると信じていましたし、版権が取れてから翻訳を始めていては間に合わないことが分かっていたので、社長や取締役に掛け合い、承認を得て進めていました。

――翻訳者選びはどのようにしましたか?


三原:私は翻訳書の経験がなかったので、どうやって翻訳者さんを探せばいいのか、まったくわかりませんでした。そこで、豊田のところに相談に行って、アメリアの協力を得てオーディションを行うのが一番よいのでは、とアドバイスをもらいました。

豊田:以前アメリアを通してオーディションを行い、翻訳者さんとのよい出会いがあったので、その方法を三原に教えたのです。今回は、まだ版権取得前の微妙な時期だったので、情報をオープンにすることはできません。その点も十分にくみ取って相談に乗っていただけるので、間違いなく最適の翻訳者選びができると思いました。

三原:さっそく担当者の方に連絡をして、今回のプロジェクトの内容を説明しました。今回、私の方からは、「調べ物がきっちりできる方」「できればゲームについて詳しい方」という希望を出させていただきました。調べ物については、この物語は舞台が現実世界で、さまざまな国を飛び回っていますし、歴史上の人物もたくさん出てくるので、そうした背景についても調べて正しく理解していただけるような方でないと、お願いできないなということをすごく感じていました。結局8名の方にトライアルに参加していただきました。
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