翻訳者の将来性と人工知能(AI)の関係。今後仕事を続けるために大切なスキルとは
「翻訳の仕事って定年はあるの?」
「将来なくなったりしない?」
専業の翻訳者として長く働いていくことを考えるなら、このように仕事の将来性が気になるところです。
翻訳の仕事において、もっとも大きな懸念の一つは人工知能(AI)の存在です。
人工知能(AI)という言葉は最近よく使われていますが、その意味をはっきり理解している方はあまり多くはありません。なんとなく、SFの世界で勝手にしゃべるロボットのようなものを連想している方も多いようです。
そこで、人工知能(AI)とは何か、翻訳の仕事とどのように関わってくるのかなどをご説明します。
そもそも人工知能(AI)とは何?
人工知能(AI)とは、「繰り返し学習することで、ある問題を解決するコンピューター」を言います。言葉を理解したり推論したりする様子が人のふるまいと似ていることからついた名前です。
もっとも有名な人工知能(AI)はボードゲームでしょう。
将棋の世界では、毎年プロ棋士vsコンピューターによる対局「電王戦」が行われており、コンピューター側が高い勝率を上げています。
囲碁の世界では、「AlphaGo」というソフトが毎日100万局以上のシミュレーションを繰り返し、想像を絶する打ち筋で囲碁界の歴史を引っくり返したとまで言われています。
翻訳の仕事と人工知能(AI)の関係とは
急成長を遂げつつある人工知能(AI)は、「いずれ人間の仕事を奪ってしまうのではないか?」と言われてきました。
これは翻訳の仕事も例外ではありません。
今でも、Google翻訳やExcite翻訳などのツールがあり、年々精度が上がっていることで注目を集めています。
実際の現場でも、まずは専用のソフトに機械翻訳をさせてから、細かい部分を修正していくという方法が取られるようになっています。まだ完全な品質とは言えないものの、すでに人工知能(AI)はこのように実用されている段階です。
人工知能(AI)が発展した未来、人々が翻訳の仕事を続けるためには
人工知能(AI)はすでに翻訳の現場に活用され始めていると言えます。
それでは、人間の仕事はなくなってしまうのでしょうか? 専門家たちの意見・予想は次のようなものでした。
- ・低品質な翻訳者は機械翻訳に置き換えられるだろう
- ・書き手の意図を読み取るなど、人間にしかできない翻訳がある
- ・機械翻訳後に修正できる、高い校正能力を持った翻訳スキルが重要視されるだろう
まとめると、人工知能(AI)が発達した後でも翻訳の仕事はなくなりません。
しかし、そのためにはスキルを磨くこと。機械にはできないような豊かな表現力、もしくは機械翻訳をサポートする校正能力など、人工知能(AI)とは別の価値を作り上げていくことが重要です。
現在、人工知能(AI)はまだそこまで普及はしていません。
ある現場ではすでに導入を始めている一方で、「なんとなく好まれない」と受け入れられないところもあるそうです。
数年後、数十年後に訪れる人工知能(AI)の時代を生き延びるために、今から実務を通して経験とスキルを養っておきたいですね。