翻訳の仕事でのスキルアップには欠かせないローカリゼーションの知識
翻訳の仕事で求められるスキルの中に「ローカリゼーション」という知識があります。
例えば英語と言っても、アメリカとイギリスでは表現は異なり、また地域によって細かい文法や言い回しなども異なってきます。
英語から日本語に翻訳する場合でも、ただ単純に作品を日本語化するだけではなく、時代背景や文化などを踏まえた上での適切な日本語表現が求められます。
英語の意味を理解して訳すだけが翻訳の仕事ではありません。読み手の年齢や地域などを総合的に考慮した上で、翻訳として適切な表現ができることがローカリゼーションです。詳しく説明しましょう。
ローカライズ(ローカリゼーション)と翻訳の関係
ローカリゼーション(英語:localization)は「L10n」とも呼ばれています。これはlocalizationという単語が10文字で構成されておりlとnの間には10文字あるからです。
日本語では一般的に「地域化」と訳されたりしますが、翻訳の仕事ではそれぞれの国や言語と、文化的背景に会うようにコンテンツを最適化することを指しています。
翻訳の仕事ではあくまで言語にのみ焦点を当てて行うのが一般的ですが、ローカリゼーションはその国の文化や国民性などあらゆる背景を想定した上で行います。
例えば一つのウェブサイトをその国や地域に合わせて翻訳するとしましょう。そのためには原語で書かれたテキストをそのまま別の国の言葉に置き換えるだけではなく、よりその地域に馴染むような翻訳を行う必要があります。
日付や名前、そして住所表記など日本語のサイトを英語に翻訳するだけでも表示形式を変更したりする必要が出て来るかもしれません。それがローカリゼーションと呼ばれるものです。
翻訳と似ているもののように見えますが、実はローカライズの一部が翻訳の仕事となります。
翻訳とは周知されているように「ある言語を他の国言語に移し替えること」を指します。
そして「翻訳には正解がない」とよく言われていますが、例え原文に即した翻訳であってもその内容は翻訳者によって異なってくる場合もあります。ここで求められるのが翻訳者のローカリゼーションに対する知識となります。
例えば日本語で「美味しい」という言葉を英語に置き換えるだけでもいくつかの候補となる単語が存在します。
それを英語に置き換える場合どの翻訳が最適になるのかは、発信者と翻訳された文章を読むユーザーの文化的背景や文脈など多くの要素を考慮することで全く異なってきます。
その地域に最適化するように地域的なバックグラウンドもしっかり調査した上で文章を翻訳する。それにはしっかりとしたローカリゼーション意識が必要となってきます。
翻訳仕事で知っておきたいローカライズ(ローカリゼーション)の目的
一般的にローカリゼーションを行う目的は、ターゲットとする国や地域にサービスが受け入れられるようにすることです。
適用範囲は幅広くゲームやソフトウェアから各種ウェブページやアプリなどです。それらはすべて異なる国に応じて現地語化する必要があります。
Web上でサイト訪問者の信頼を得るためにはユーザーの母国語での対応は欠かせません。今では世界中のサイトを簡単に閲覧することができますが、その分世界のユーザーの求めるものはよりクオリティの高いコンテンツとなります。
このようにWeb上での翻訳にはローカリゼーションは「必須」とも言える時代になってきています。
また最近ではIT関連業界にとどまらず様々な分野でのローカリゼーションが求められています。
食べ物に例えるとすればカレーが分かりやすいかもしれません。インドを発祥とするこの食べ物ですが、地域や国によって必ずローカライズされています。
日本ではご飯と一緒に食べることが多いカレーですが、これも「カレー」をローカライズした結果のものだと考えると分かりやすいかもしれません。
質の高い翻訳の仕事に欠かせないローカリゼーション
IT分野に限らず多くのジャンルでグローバル化が進んでいます。そんな中で情報を共有するためにはクオリティーの高い翻訳が求められるようになってきています。
ここで言う「質の高い翻訳」とは現地マーケットを十分に調査してローカリゼーションを行い、ユーザーに訴えかけることができる翻訳を行うことを意味します。
海外進出を果たしているコンテンツで世界に受け入れられているものは必ずローカライズされています。日本のアニメなどの海外人気もタイトルを単純に翻訳するだけではなくローカライズすることで成功を収めています。
ただ単純に日本語を翻訳しただけではユーザーのアクションには繋がらず、購買意欲を高めることができないからです。
翻訳の仕事において今後求められるのは、それぞれの国や文化的背景に合わせてローカライズできるスキルを持った翻訳者になるでしょう。