医療翻訳求人のハードルが高い理由と求められる専門性
翻訳ジャンルの中でも特にハードルが高いとされているのが医療翻訳です。日英、英日翻訳にかかわらず常に翻訳者の求人も多く、翻訳ジャンルの中でも特に注目されるのがこの医療翻訳です。
専門性の高い医療翻訳ですので翻訳者には高いスキルと専門性が求められます。具体的に見ていきましょう。
医療翻訳の仕事とは
医療翻訳は医学や薬学に関する翻訳のことを指します。翻訳の求人の需要も多くありますが実務翻訳の中では難易度が高い翻訳ジャンルです。
また医療翻訳で対象とされる範囲は広くあります。医薬品以外でもサプリメントや化粧品などが含まれる場合もあります。
また医療翻訳の仕事を専門的に行っている翻訳者は「メディカル翻訳者」と呼ばれます。医療翻訳の仕事で扱う文書は幅広くありますが、以下のような四つのジャンルに分類できます。
- ・学術系翻訳
- 論文や医学書、医学系ジャーナルなどの翻訳が学術系翻訳の仕事です。
- ・医薬品に関する翻訳
- 医療翻訳の中でも特に需要が高いと言われているジャンル。新薬の承認調査書類の翻訳や報告書の翻訳などのドキュメント作成です。
- ・医療機器に関する翻訳
- 医療機器に関する承認申請書類などのマニュアルの翻訳などですが、海外の医療機器メーカーの資料なども翻訳するケースも少なくありません。
- ・医薬部外品などの翻訳
医療翻訳が他の翻訳と比べて難易度が高い理由
医療関係のメーカーでは常にさまざまな書類の医療翻訳が求められてます。このジャンルの特徴は日常ではまず目にすることのないような専門用語が頻繁に使用されていることです。
また医療翻訳が求められる文章では必ずしも英語だけではなくラテン語で表記されている場合もあります。
したがって翻訳者には専門知識を正確に理解して正しい翻訳を行うスキルが求められます。翻訳だけではなく医療分野の知識も必要とされるのが医療翻訳の世界です。
また医学の世界は日々進歩しているため次々に新薬や新しい技術が開発されています。医療翻訳者は常に関連情報をアップデートしておく必要があります。
医療翻訳者に求められるスキル
翻訳の中でも特に難易度が高いとされる医療翻訳ですが、翻訳者には当然高い能力が求められます。
精度の高い翻訳を行うための英語力
医療翻訳で求められるものは「翻訳の正確さ」です。そのためには翻訳者は高い英語能力を持っていることが大前提。
英検であれば1級程度、TOEICであれば850点以上の英語力は必須だとされています。
特に医学論文などの翻訳の場合は専門家による査読が行われますので、正確で読みやすい翻訳である必要があります。
特に医薬品などに関する文書(医薬品の安全性情報や適正使用に関する資料などの翻訳)で誤訳は決して許されません。 人命に関わるケースもありますので、高い英語力で正確な翻訳をすることが医療翻訳者には最低限のラインとして求められます。
翻訳テーマに対する専門知識
医療翻訳でのテーマは他の翻訳と比べて専門性が高いのが特徴になっています。英語力だけではなく高い専門知識も必須。
例えば製薬関連の文書で求められるものは基本的な理系知識だけではありません。それ以外にも薬理学などの知識も必要です。
また治験領域での翻訳作業には一般的な医学知識以外にも治験の工程などを理解しておく必要もあります。
医療翻訳は規制業界と呼ばれるほど多い規定ルールを守る
医薬品業界や医療機器関係の業界においては、販売に至るまでの工程でさまざまな強い規制が敷かれています。
従って医療翻訳者は常にそのルールに従った文章を執筆しなければなりません。また書式の形式などもガイドラインの基準に合うものである必要があります。
医療翻訳者に必要な資格
医療翻訳者になるために必須とされている資格はありません。ただほとんどの企業では翻訳者のスキルを図るためのトライアルが行われますので、医療翻訳能力を証明する資格を持っておくことが有利に働く場合もあります。
代表的には以下のような資格がありますので、これから医療翻訳者としてのスキルアップを求めるのであれば資格を取っておいてマイナスにはならないでしょう。
- ・JTFほんやく検定
- ・翻訳実務検定TQE
- ・JTA公認翻訳専門職資格
- ・治験実務英語検定
- ・アメリアクラウン会員資格(メディカル、メディカル英訳)
求人需要も多い医療翻訳の仕事。翻訳者にはこのような高いスキルとレベルが求められます。 専門性の高い医療翻訳ですが、需要はこれからもさらに増えていくでしょう。