英語字幕翻訳の特徴とは?映像の魅力と文化を伝える仕事
海外ドラマや映画を楽しむ上で重要な役割を果たすのが字幕の存在です。
映像翻訳は広義的には「字幕翻訳」と「吹替翻訳」の二つにカテゴライズされていますが、それぞれ翻訳者に求められるスキルは異なってきます。
またビジネス文書を翻訳する実務翻訳や出版物を翻訳する文芸翻訳とも異なる制約やルールが存在するのが特徴です。
そんな字幕翻訳ですが、海外ドラマや映画をネット発信するプラットフォームが増えてきたこともあり英語字幕翻訳者の需要が高まってきています。
今回は字幕翻訳にスポットを当てて、その特徴やどんな人が字幕翻訳者に向いているのかをお伝えしましょう。
英語の字幕翻訳は制約とルールが多いのが特徴
字幕翻訳で最も重要視されるのは「可読性」です。視聴者は映画やドラマの中で描かれている状況を理解しながら、字幕の内容を理解しなければなりません。
したがって視聴者が直感的に理解できるよう要約する必要がありますので、字幕として表示させる文字数が大切になってきます。
海外ドラマや映画での画面は考え抜いて構成された一つの大きな絵のようなもの。そこに日本語の字幕が入りますので翻訳者が特に注意しなければならないのが「画面とのバランス」です。
また文字数にも制限がありますので、字幕は出来る限りコンパクトにまとめなければなりません。
一般的に視聴者が目で追えるのは1秒間に3文字程度だと言われています。そんな字幕は「読んで理解する」という手間がかかりますので、耳で聞いて理解するのとは全く状況が異なります。
視聴者が見たいものはもちろん映像ですので、字幕翻訳者は3秒のセリフなら10文字以内で表現できるスキルが求められます。
具体的にどんな人が英語の字幕翻訳者に向いているのか見ていきましょう。
英語原文のポイントをつかむのが得意な人
海外ドラマや映画における日本語字幕の役割はあくまでオリジナル版を楽しんでもらうためのものです。
例えばブラッドピットが画面でセリフを言う場合視聴者は、
画面に表示される日本語字幕を読むことになります。
俳優の声に合わせて画面の下などに表示される日本語字幕ですが、文字の配列や長さに考慮して視聴者にストレスなく楽しんでもらう必要があります。
したがって字幕翻訳者には
- ・セリフのエッセンスをしっかり読み取る
- ・英語原文の意図を理解した的確な日本語表現
ができるスキルが求められます。
このように英語原文のポイントをつかめる人に向いているのが字幕翻訳です。
向上心をもってルール変更などに臨機応変に対応できる人
英語の字幕翻訳に限ったわけではありませんが、翻訳者の業務一般で必要なのは常に素直な向上心を持つことです。
特に字幕翻訳の場合にはあくまで映像がメインですので、作品ごとにルールや条件が異なる場合が少なくありません。
映像が好きな人でエンターテイメントを理解している人
これは特に英語の字幕翻訳に限ったことではありませんが、吹替やボイスオーバーでも翻訳者に求められるのは「映像が好きである」ことです。
文章翻訳とは異なり字幕翻訳の主役はあくまで「映像」。 その魅力を100%引き出すためには、視聴者の年代層や性別に関係なく誰にでもわかりやすい字幕翻訳が求められます。
字幕翻訳の場合、映像コンテンツの多くががエンターテイメント系となりますので、そこでは翻訳者自身が楽しむこともとっても大切。
映像を見てすぐその世界に入り込めるような切り替えができる人、そして多少遊び心がある人に向いている仕事です。
英語の字幕翻訳まとめ
このように字幕翻訳は一般の翻訳作業とは異なるのが特徴。日本語という言語の特性を生かしつつ漢字やひらがなを組み合わせて最小限の文字数で表現するのが字幕翻訳の仕事となります。
映画やドラマなど映像が中心のコンテンツでの字幕翻訳は、英語を機械的に日本語に移し替えるだけでは成立しません。
そこで求められるものは翻訳者の感性です。想像や共感など、人間だけが持っているすばらしい能力を駆使して行うのが字幕翻訳の世界です。
映像を見てる人が字幕に集中しなくてはいけないような翻訳ではなく、読んだことを忘れる位の字幕、それが字幕翻訳者に求められるゴール地点となります。
また日本語はとても読みやすい言語ですので、英語のスペリングでは長くなるような言葉でも漢字であれば見た目だけで意味を判断することができます。
そこにひらがなをうまくブレンドすることで誰にでもわかりやすい字幕を作ることができますが、視聴者の属性なども考慮して「漢字を開く」ことにも注意する必要があります。
字幕翻訳は視聴者が映像に集中できる環境を与えることを最優先として考えつつ、時数制限など細かなルールもしっかり理解していなければなりません。
俳優が喋っている間に読みきれる日本語に翻訳する、それが字幕翻訳における一番の基本となります。これが他の翻訳業務と全く異なる字幕翻訳の特徴だと言えるでしょう。