翻訳者としての仕事探しで重要な職務経歴書の書き方
翻訳者デビューを目指して副業やフリーランスで、あるいは正社員として翻訳の仕事を探す際に必ず必要になってくるのが「職務経歴書」です。
基本的に翻訳者が提出する書類は以下の三つとなります。
- 1.履歴書
学歴や職歴など自分自身を簡潔に紹介するものです。
- 2.翻訳実績
基本的には翻訳者として実務経験のある人が作成する翻訳案件の一覧。
- 3.職務経歴書
翻訳者としてこれまでの職歴を詳しく書いたものです。翻訳者デビューを目指して勉強している方の場合には、これまで学んだことのあるスクールなどを記載します。
この三つの中でこれから翻訳者として仕事を探す場合に、求人応募で一番重要になってくるのが職務経歴書となります。
応募する会社がどんなポイントをチェックしているのか、採用の担当者が職務経歴書のどこを中心に見ているのか、などを今回のコラムで詳しく説明していきましょう。
職務経歴書で使用するフォーマットは
まず最初に翻訳者としての職務経歴書作成のポイントですが、これまで職務経歴書を書いたことのない人の場合、
- ・そもそも何を書けばいいのか?
- ・どんなフォーマットで作ればいいのか?
そんな疑問を持たれる方も多いでしょう。では詳しく説明していきましょう。
職務経歴書に記載する内容は?
基本的に職務経歴書を作成する際に記載が必要になってくるのが以下の5つの項目となります。また一部の内容は履歴書と重複しますが、職務経歴書ではその部分をさらに詳しく説明するイメージです。
- 1.これまでの職務経歴
- 2.翻訳学習歴
- 3.保有している資格
- 4.作業環境
- 5.自己PR
翻訳者としての仕事を始めるためにはそれなりの書類の準備が必要となります。特に職務経歴書に関しては時間に余裕のある時にしっかりと作成しておくことが大切です。
また履歴書には記載しませんが、職務経歴書で書かなくていけないのは翻訳の学習歴・作業環境、そして自己PRの部分となります。翻訳学習歴に関してはこれまで翻訳の勉強に利用した学校や講座名などを記入します。
そして作業環境ですが、現在使用しているPCやOSのバージョン(Win10など)、翻訳支援ツールなど、翻訳の仕事で使用するPC周りの情報を記載するようにしましょう。
また自己PRですが必ずしも書かなくてはいけないと言う「必須項目」ではありません。ただきちんと自己PRでアピールした方が他の応募者との差別化ができるようになります。
職務経歴書の作成フォーマットについて
基本的にはA4サイズで職務経歴書を作成します。また作成の際にはエクセルやワードなどを使いますが、翻訳会社などに書類を添付送付する場合には必ずPDFファイルに変換するようにします。
A4サイズのPDFで提出する職務経歴書で大切なのは「見た目」です。見栄えをできるだけ良くするためにPDF出力する前に調整するようにしましょう。
使用するフォントや文字サイズにも気を遣い、当たり前ですが誤字脱字などはないようにすることが大切です。職務経歴書では内容以外にも、応募者のPCスキルなども判断されます。
職務経歴書で翻訳会社が確認しているポイント
職務経歴書を受け取った会社はどんなポイントをチェックしているのでしょうか?翻訳者としての仕事を始めるためにも、できるだけ書類審査で有利になるような内容を記載することが重要です。担当の採用者視点で具体的に見ていきましょう。
翻訳学習歴があるかどうか
これから翻訳者デビューを目指す方で、これまで実務経験のない方でも、翻訳学習歴があれば他の応募者よりも高く評価される傾向にあります。
「未経験者可」の求人を見かけることもありますが、たとえ実務が未経験でも「スクールでの学習歴があれば応募可能」そんな条件が設定されているケースも多いようです。
翻訳スクールでの学習歴は翻訳会社に評価されるポイントとなります。もしスクールで学んだ経験がある場合には、積極的にアピールしておいて損はないでしょう。
専門分野での職歴は大きな評価対象
職歴の記載に関しては履歴書の項目と一部重複しますが、職務経歴書では「より具体的な経験値」が担当者によって確認されます。
具体例ですが、
- ・もしあなたがシステムエンジニアの経験があるならIT関連の翻訳の仕事
- ・製薬会社などで勤務経験があれば医療翻訳などの仕事
このような関連ジャンルでの実務経験は評価ポイントとなります。これから求人に応募しようとしている翻訳ジャンルに関連のある職歴がある場合には、出来る限り具体的に書いておきましょう。
専門分野での経験値は書類審査でとても有利になりますので、出来る限りわかりやすく詳細に記入するようにしてください。ただし情報過多は逆効果になってしまう場合もあります。情報は簡潔に、そして冗長にならないようにまとめるのがポイントです。
翻訳支援ツールを使うことができるか
翻訳支援ツールに関しては自分自身で持っている方は少数派かもしれません。これらの支援ツールは高額なものも多く、翻訳者としての仕事を始める場合に自己投資として購入が可能であれば試してみるのもいいかもしれません。
代表的な翻訳支援ツールは以下の三つです
- ・Trados
- ・Memsource
- ・memoQ
特にIT系の翻訳者を目指しているのであればTradosはあった方がいいかもしれません。またそれ以外の分野で翻訳の仕事をする場合にも、翻訳支援ツールを持っていれば必ずプラス評価になるでしょう。持っている場合は忘れずに記載するようにしましょう。
翻訳実務に適したPCの作業環境は大切なチェックポイント
基本的に翻訳の仕事は一人作業が多くなりますので、PCは絶対に必要な仕事道具となります。またフリーランスで活躍される人も多い業界ですが、翻訳者に最低限のITスキルが求められるのは当然でしょう。
翻訳の仕事をするために高性能スペックのPCは特に必要ではありませんが、最低限の機能は求められます。
もし不安があるようであれば一通りの知識を身につけておくことが必要でしょう。最近は特にセキュリティ面での対策も求められますので、例えばすでにサポートが終わっているOS(win7など)を使っている場合はすぐにWin10にアップデートするなど、最低限のITリテラシーも必要になってきます。
また翻訳の仕事ではWordを多用するようになります。それ以外にもExcelやPowerPointなども高頻度で使うようになりますので、最低限のPCスキルを身につけておくことが大切です。
意外かもしれませんが、この作業環境やPC周りに関しては採用担当も細かくチェックしてくるポイントです。
翻訳仕事のための職務経歴書まとめ
これから翻訳者デビューを目指す方は、多くの翻訳会社のトライアルを受けることになると思います。そのための書類選考のキモとなるのが、今回説明した「職務経歴書」です。
このような書類作成には十分な時間をかけて、書類選考をクリアできるように「しっかりと作り込まれた職務経歴書」を準備することが重要となります。
また翻訳会社の採用担当者はたくさんの応募書類を確認することになります。アピールをしたいばかりに多くの情報を詰め込んでも読んでもらえませんので、
- ・簡潔にまとめられた
- ・アピールポイントがわかりやすい
職務経歴書を作ることを心がけましょう。