独学で翻訳者デビューを目指す初心者が仕事応募に必要なスキル
翻訳という仕事はとても自由度が高いということもありフリーランスで活躍されている方も少なくありません。副業として、あるいは在宅で子育てをしながら、また定年を迎えた方なども翻訳者を目指して勉強されています。
今回はこれから翻訳者として仕事を目指す方のために、独学で翻訳者デビューするために必要な勉強方法について述べていきたいと思います。
独学で翻訳者デビューをするために必要なこと
フリーランスとして翻訳者デビューをしたいけれども出来る限りお金はかけたくない。そんな方も多いでしょう。結論として独学でも翻訳者として仕事を始めることは可能ですが、当然そのためにクリアしなければならないハードルは決して低くはありません。
具体的に「これだけは絶対に必要」という項目を見ていきましょう。
翻訳の技術を徹底的に身につける
仕事として翻訳をする場合、当たり前ですが私たちが過去に学校で習ってきたような英訳、和訳のレベルでは翻訳者として仕事をすることはできません。
独学で勉強するのであれば、必要となる「翻訳の専門書」などを購入して基本的な翻訳技術から学ぶようにしてください。
独学での勉強の場合、最初から高い翻訳スキルを身につけることは簡単ではありませんので、まずは「翻訳者に求められる技術」などをしっかりと理解するところから始めます。
初心者向けの翻訳スキルブックなどが多数販売されていますので、翻訳者としての仕事を始める第一歩としてしっかりと読み込むようにしましょう。
TOEIC850点を最低ラインとして点数を上げる
全て独学で翻訳者を目指すのであれば、絶対に必要になってくるのが「高い英語力を証明すること」です。
翻訳者として仕事をするために必要な英語力は一般的に、
が目安とされますが、最近の傾向として応募資格には英検ではなくTOEICが使われることが多くなってきています。
また正社員として求人に応募する場合には、TOEICの点数が応募資格になっているところも存在します。
またここで注意したいのは例えTOEICで高得点を得たとしても、その点数=翻訳ができるという証明にはなりませんので注意しましょう。
多くの求人案件で、参考としてTOEICの点数を例として挙げているのは、あくまで語学力の目安判断のものです。要するに独学で翻訳求人や案件に応募するのであれば、最低限この程度の語学力は必要ということを示すためのTOEICの点数です。
これをクリアすることはあくまで通過点であって、850点をクリアしたからといってすぐに翻訳者として求人に応募できるわけではありません。
出来る限り翻訳者として必要な専門知識を身につける
独学で学ぶには相当レベルは高くなりますが、翻訳者を目指すのであれば「専門知識」は絶対的に必要となってきます。
従って翻訳技術を学びながら同時に、まず自分の専門分野を決めて関連書籍を読みながら専門的な知識を蓄積して行くことが必要です。多くの分野やジャンルで専門の翻訳関連書籍が出ていますのでぜひ参考にしてみてください。
訳例がついた教材で実際に翻訳してみましょう
翻訳者デビューを目指しての独学での勉強ですが、難しいのが客観的に自分の実力を判断することです。本などの教材で勉強しながら実際に翻訳をしていくわけですが、ある程度スキルが身につくまでは訳例がついている教材を使用するのが一番のお勧めです。
たくさんの教材が存在しますが、以下のような教材であれば訳例がついていますので、積極的に利用するのもスキルアップに役立ちます。
- ・アメリアの定例トライアル
- ・TQEの過去問題集
- ・ほんやく検定の過去問題集
- ・各専門分野の専門書籍
ここまで独学で翻訳者デビューを目指すために必要な勉強方法について述べてきました。独学の場合には同時に知っておきたいデメリットも当然ありますので、それも合わせて見ていきましょう。
翻訳者デビューのハードルがとても高くなる
例えば翻訳スクールなどに通っている場合であれば、卒業する際に提携会社のトライアルを受けることができるところもあります。
トライアル受験ができない場合は「未経験者可」の案件に応募するわけですが、スクールで学んでいない場合には応募すらできないケースも出てきます。これは独学で翻訳者を目指す一番大きなデメリットかもしれません。
たとえ「未経験者可」の求人があったとしても、どうしても応募できる案件の数は限られてきてしまいます。結果、実務翻訳者としての入口は狭くなり、その分ハードルが高くなってしまいます。出来る限り多くのところに応募したいのであれば、独学は大きなハンディキャップになってしまうかもしれません。
独学での勉強が続かず挫折してしまう
これは翻訳という仕事に限りませんが、独学の場合どうしても継続するモチベーションが途切れてしまうことが少なくありません。
もしスクールで学んでいるのであれば、同じ受講生仲間と情報を共有したりすることでお互いにモチベーションを上げたりすることもできます。
またスクールでは定期的な課題などもありますので、自分自身の勉強のタイムスケジュール管理もとても楽になります。一人で続けることは難しいかも、という方には是非スクールをお勧めします。
分からないことがあっても教えてくれる人がいない
独学で翻訳者を目指す場合の一番大きなポイントとなるのがこれかもしれません。自分が書いた訳文を第三者に評価してもらうことは大きなスキルアップに繋がります。
例えば大学受験の英作文や和訳を思い出してみてください。解答を見ると、答えが正しいことは理解できても「自分の翻訳のどこがいけないのか」分からなかったりする経験は皆さんあるでしょう。
翻訳の学習においても同じことが言えます。教材として使っている本には模範訳が回答として記載されています。独学の場合「自分の訳のどこを直せばいいのか」を理解できない場合も出てきます。
スクールなどに通っていれば先生に質問するだけで答えは得られますが、独学ではその部分の理解は難しいものになってしまいます。
独学での翻訳者デビューまとめ
出来る限りお金をかけずにフリーランスの翻訳者として活躍したい、そんな方のために独学での勉強方法を紹介しましたが、やはり全体的なハードルは高めになってしまいます。
もちろん独学で翻訳の仕事を始めることは可能ですが、少なくとも以下に述べる三つの条件をある程度クリアしているかどうかまず確認してみてはいかがでしょうか?
- 1.自分一人でもコツコツと勉強が続けられる
- 2.高いモチベーションをキープできるメンタルがある
- 3.特定のジャンルで専門的な知識がある
過去の社会経験などである程度専門的な知識を持っている方でなければ、スクールに通う方が翻訳者デビューへの道は近くなると言えるでしょう。
また翻訳スクールはオンラインで全国どこからでも受講することも出来る上に、費用的にもそれほどかかるものでもありません。
それでもどうしても独学で翻訳者としての仕事を始めたい、という方は前述した三つのポイントをちゃんとクリアしているかどうか、まず自分自身で判断するようにしましょう。