翻訳者として求人応募に専門分野が必要な理由とジャンル

副業として、あるいはフリーランスとして翻訳者を目指して勉強している方が抱えている一番の悩みが「専門分野の選び方」でしょう。今回のコラムでは、特に多くの需要がある実務翻訳にスポットを当てて、

  • ・専門分野の特徴
  • ・専門分野が必要な理由

について解説していきましょう。

翻訳の専門分野は、求人応募の際必ず必要となりますが、実務翻訳だけでも大きく分けると5つの専門分野が存在します。求人に応募する際、それぞれの特徴を理解しておくことが大切です。

各専門分野の特徴

以下それぞれの専門分野の特徴をまとめてみました。

主にソフトウェアのローカライズなどを行うIT翻訳

この分野の特徴としては、

  • ・Tradosなどの翻訳支援ツールの利用が多いこと
  • ・スタイルガイドなどといった使用されるルールが多いこと
  • ・案件そのものにボリュームがあり、他の翻訳者との分業作業になるケースが多いこと

などが挙げられます。

IT関連ビジネスのグローバル化が進む現在、クライアントの要望がめまぐるしく変化しますが、翻訳作業のメインとなるのは、ソフトウェア・ハードウェアに関する文章のローカライズで、Webサイトのローカライズや各種プレスリリースなどのマーケティング案件などのニーズも高まってきています。

このジャンルで特に求められるのは、PCやITに関するベーシックな知識です。またツールを利用することが多いので、PCスキルも求められます。

専門性が高い特許翻訳

特許申請などに関係する文章を翻訳する仕事が特許翻訳です。このジャンルは日本の企業が海外に特許出願をするケースが多いこともあり、日英翻訳が中心となります。また法律に関する文書を扱う関係上、独特な表現を使用することが多く、翻訳者には高い知識が求められます。

このジャンルで翻訳者に求められるのは、

  • ・内容を正しく理解できる技術的な知識
  • ・原文を正確に翻訳できる英語力

です。かなり高度な専門知識が必要なので、これから翻訳者として求人に応募しようとしている方には、参入ハードルが少し高いかもしれません。

とはいえ、特許翻訳者として活躍している文系の方がいるくらいなので、メーカーの技術部門に勤めていたなどのバックグラウンドがある方なら、積極的に挑戦してみてはいかがでしょうか。

医薬・医療関連の翻訳

このジャンルには薬学と医学、そして医療機器という三つの分野の翻訳が含まれますが、それぞれの分野ごとに必要とする知識は異なります。主要な業務は、承認申請文書など国に対して提出する書類や文書の翻訳、そして医学関連の論文や学会の資料などの翻訳です。

翻訳業界でもこのジャンルのニーズは、今後も安定して増えていくと予測されています。その背景には、

  • ・医療関連メーカーのグローバル化が進み翻訳するべき文章が増えている
  • ・医療機器の進歩により、取扱説明書やマーケティング用コンテンツなど翻訳の需要が高まっている

といったことがあります。

金融・経済関連の翻訳

このジャンルの業務は、金融業界でやり取りされる文書の翻訳がメインとなりますが、特徴として挙げられるのは、景気変動の影響を受けやすい分野だということです。翻訳者の業務の中心となるのは、個人投資家や機関投資家に向けた金融レポートなどの翻訳です。

このジャンルの中でも特に専門性が高いのが、機関投資家向けのレポートです。専門家に向けて出す文書ですので、特に専門性が高くなります。

さらにこのジャンルの多様性から翻訳者に求められるのは、翻訳スキルとともに幅広い知識と常にアップデートされた情報を得るための「情報感度」です。

またこのジャンルは短納期の案件が多いので、スピーディに作業をこなせる翻訳スキルも必要になってきます。

法律や契約書関連の翻訳

法律や契約書に関する翻訳を行うこのジャンルは、他の分野に比べて景気変動の影響を受けにくいという特徴があります。このジャンルで求められるものは、文章の構造を読み解く力なので、それに伴う高度な文法力が必要となります。

また、契約書関連には法令に基づく独特の言い回しにルールが存在しますし、一文一文が非常に長いので、翻訳者にはそれに対応できる力量が求められます。

翻訳求人応募に専門分野が必要な理由

このように実務翻訳だけでも多くのジャンルと専門分野が存在します。ではなぜ、翻訳者を目指す方は専門分野を持っておく必要があるのでしょうか?具体的に説明していきましょう。

専門分野を絞ることで効率的に収入を得ることができる

基本的に翻訳業務はジャンルや分野に関わらず、ほとんどが専門性の高いものです。どんな優れた翻訳者でも、慣れない分野の翻訳は作業効率が下がってしまいます。したがって専門分野を持つことで、より効率的に翻訳作業を進めることが可能になります。

翻訳者の収入は原則、文字単価×ワード数で計算されますから、翻訳に時間がかかればかかるほど収入は下がってしまいます。できる限り効率よく翻訳作業を進めるためには、自分が得意とする分野の翻訳に絞り込んで、時間をかけずに翻訳する必要があります。

しっかりした専門分野を持てば翻訳スピードは上がりますので、結果としてそれが収入増につながります。

専門分野を持っている翻訳者は求人募集で選ばれやすい

確固とした専門分野を持っている翻訳者には、クライアントが発注しやすいという大きなメリットがあります。

案件に適した翻訳者を探す際クライアントが重視するのは、「専門分野」です。同じレベルの能力があり、翻訳経験も同等の翻訳者が求人に応募してきた場合、依頼する側が発注しやすいのは専門分野を持っている翻訳者です。

逆の見方をすると、専門分野を持たない翻訳者にはなかなか発注が来ないということになります。クライアントに信用され仕事を得るためには、しっかりとした専門分野を持つことが重要です。

納品のクオリティが安定する

ジャンルにかかわらず、翻訳には専門分野ごとに決まった用語や表現があります。専門分野を決めて翻訳作業をこなしていけば、そのジャンル特有のルールや言い回しなどは自然に身についてきます。

例えば、一つの単語を翻訳するにしてもAとBどちらの訳語を使うのか、あるいは表記をカタカナにするのかひらがなにするのか、など翻訳の仕事には細かなルールが存在しますし、分野ごとに取り入れているルールが異なります。しかし、自分の専門分野の文章であれば、分野外の人が見たら気がつかないレベルの誤りでも、ちょっと見ただけで気がつくようになります。

専門分野に絞って翻訳をしていれば、誤訳や表記揺れなどが起きてしまうリスクが少なくなる上、クライアントから評価されるクオリティの高い翻訳文を納品できるようになります。

今回のコラムでは実務翻訳の専門分野に関する説明と、なぜ専門分野を持つ必要があるのかについて説明しました。これから翻訳者として求人に応募しようと考えているのであれば、専門分野をしっかり決めておくことが、クライアントへの大きなアピールポイントになるということを忘れないでください。

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