ゲーム翻訳者を目指すなら理解しておきたいローカライズ

世界中でゲームに対する需要が伸び続けています。それは、スマホなどの普及により気軽に遊べる環境がマーケットの拡大を押し上げているからです。マーケットの拡大に伴いゲーム翻訳者の需要も高くなってきていますが、ゲーム翻訳者としてデビューを目指すのであれば、絶対に学んでおかなければならないのが「ローカライズ」です。

ゲーム翻訳者は、メーカーが制作したゲームを世界中の人が楽しめるように翻訳しなければなりません。その際、言語能力以上にゲームの世界観を壊さない翻訳スキルが求められます。また、配信する国の文化的背景などを理解した上で翻訳しなければならないので、ローカライズのスキルも求められます。

今回のコラムでは、翻訳者に求められるローカライズに関する知識や具体的なローカライズのフローなどについて説明していきます。

ゲーム翻訳では絶対に欠かせないローカライズとは

ゲーム翻訳では基本的に以下の3つを行います。

  • ・ゲームに登場するキャラクターのセリフの翻訳
  • ・ゲームマニュアルの翻訳
  • ・ゲーム画面に出てくる文字の翻訳

さらにゲーム翻訳ではローカライズを行わなければなりません。

日本で制作されたゲームが世界中で楽しまれるようになってきましたが、逆に海外で制作されたゲームが日本で爆発的にヒットすることも珍しくありません。同じゲームが世界中で楽しまれているわけですが、ゲームによっては全く同じ内容のものが販売されているわけではありません。

国ごとに異なるのは言語だけではなく描写や表現に関する規制があったり、さらに文化的な背景の違いから考え方や概念などが異なったりします。そのため翻訳者は、それぞれの国に合うように表現などを変える必要があります。この一連の業務をローカライズと呼びます。

ゲームの世界観を損なわない翻訳が求められるのはもちろんですが、世界中の人に楽しんでもらえるようにするには、その国の習慣や文化なども踏まえた上で翻訳する必要があります。

また、日本のゲームを海外販売用に翻訳するだけではなく、海外のメーカーが制作したゲームを日本人が楽しめるように翻訳するケースもあります。この場合もローカライズが必要で、日本独特の文化背景などを十分に踏まえた上で翻訳する必要がありますので、翻訳者には言語能力とともに高い知識レベルも求められます。

翻訳者がローカライズを行う上での注意点

上述したようにゲーム翻訳では、配信先の国のルールに沿った翻訳が求められますが、特に注意したいのは配信先特有の文化的な背景です。タブーとなるような言葉などもしっかりリサーチしておく必要があります。

また、ゲーム画面にテキストがどのように表示されるのかということも意識しなければなりません。なぜなら、翻訳者が翻訳することによって文字数が原文とは異なることで表示スペースに影響を与えるからです。

ゲーム翻訳におけるローカライズのフロー

では、具体的にローカライズのフローについて説明していきましょう。

ゲームのシステムや世界観を理解するファミリアライゼーション

ゲーム翻訳をする際に絶対に必要な工程となってくるのが、登場するキャラクターの性格やゲームの世界観に対する理解です。これをファミリアライゼーションと呼びます。

ゲーム翻訳というジャンルにおいては、ゲームの世界観を壊さない翻訳スキルが特に求められます。例えば、登場するキャラクターが強気な性格なのにそれにそぐわないテイストで翻訳してしまうと、それだけでゲームの世界観を壊してしまうことになってしまいます。

そのようなことにならないよう翻訳者はまず「自分が翻訳するのがどんなゲームなのか」をしっかりと理解する必要があります。実際にゲームをプレイしたり、しっかりと資料を読み込んだりして、翻訳者自身がゲームの世界観の中にどっぷり浸かることから始めましょう。

翻訳に統一感を持たせるためのグロッサリーとスタイルガイド

ゲーム翻訳の場合、タイトルによっては10万ワード以上という大規模なプロジェクトあります。そのようなゲームでは、1人の翻訳者に全てを任せず複数の翻訳者が分担するのが一般的です。その場合に問題になってくるのが、翻訳における言葉の統一感です。

何の基準も設けずに進めてしまうと、翻訳者1人ひとりの翻訳個性が出てしまいゲーム全体の統一感がなくなってしまいます。そうした事態を避けるために必要になってくるのがガイドラインです。大勢のスタッフが携わるゲーム翻訳においては、翻訳者全員がゲームの世界観を共有するためにスタイルガイドやグロッサリーが作成されますので、ゲーム翻訳者はその決まりの中で翻訳するスキルを身につけておく必要があります。

ゲーム翻訳者に向いている人とキャリアパス

ゲーム翻訳というジャンルは、他の翻訳ジャンルと同様高い言語能力が求められます。また、ゲームに対する知識や好奇心も必要ですので、ゲーム好きであることもゲーム翻訳者としては最低限必要なファクターとなります。

そこでゲーム翻訳者になるためには、ゲーム好きからさらに進んで以下の3つのポイントを押さえておく必要があります。

  • ・ゲームの世界観だけではなく色々な国の文化などを深く理解していること
  • ・ゲームの世界観をそれぞれの国の文化的背景に合わせてローカライズできること
  • ・言語能力だけではなくクリエイティブなセンスを持っていること

これからゲームというジャンルの翻訳者を目指して勉強するのであれば、高い言語能力とともにローカライズもしっかり学ぶことが大切です。したがって、言語学習に取り組むと同時にローカライズについての知識も身につけるようにしましょう。

また翻訳者としての経験値を上げるために、インディーズゲームなどのプロジェクトに参加するのもおすすめです。最近では海外で数多くのインディーズゲームが制作されています。インディーズゲームのプラットフォームはいくつかありますので、その中から自分の好きなジャンルのタイトルを翻訳することができれば、ゲーム翻訳者として成功するための大きな体験となるでしょう。

また、以前からゲーム翻訳者になることを夢見ている方には、翻訳スクールなどで学ぶという選択肢もあります。翻訳スクールでは、語学知識だけではなく翻訳者に必要なスキルや情報も得ることが可能です。
ゲーム翻訳に特化したコースを設けている翻訳スクールもありますので、夢を実現させたいのであればそのようなスクールを探し新たな一歩を踏み出してみましょう。

今回のコラムでは、ゲーム翻訳者になるために理解しておかなければならないローカライズの必要性について説明しました。翻訳スキルだけではなく、色々な国の文化やエンターテイメントに関する知識も求められるのがゲーム翻訳です。

ゲーム翻訳者の求人では実務経験が求められますので、インディーズゲームのプロジェクトに参加するなどして、翻訳者としてアピールできるように準備しておきましょう。

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