翻訳の将来は?「AI翻訳」と「人間翻訳」―求められる共存

ChatGPTなどが注目を浴びるなどAI技術の進歩により翻訳業界にも大きな変革が起こり、一般的な文章の翻訳であれば、AI翻訳でも一定の品質の翻訳を提供できるようになってきています。

それに対して、専門的な知識が必要な分野やローカライズなど文化的背景が重要な文章、微妙なニュアンスを伝えたい文章などは今も変わらず、優れたクオリティを提供できる人間の翻訳者の手を経る必要があります。

今回のコラムでは、AI翻訳と人間の翻訳者との違い、それぞれのメリットとデメリット、AI翻訳と人間の翻訳者が協働できる可能性などについて説明していきましょう。

AI翻訳の特徴と人間による翻訳との違い

AI翻訳の大きな特徴は効率性にあります。技術が日々進化するにつれ、翻訳の精度の品質も向上しています。特にニューラル機械翻訳(NMT)の登場により、これまで以上に自然で正確な翻訳ができるようになってきました。

ニューラル機械翻訳には、大量のテキストデータを短時間で読み込んで翻訳できるという大きなメリットがありますが、その反面、細かなニュアンスを伝えなければならない文章や専門用語の正確な翻訳が求められる分野では、人間による翻訳のクオリティには及ばない部分があります。AI翻訳は文法の正確性という部分では優れていますが、文脈の理解などが不十分な場合があります。

AI翻訳のメリットとデメリット

AI翻訳のメリットは大きく以下の3つを挙げることができます。

  • ・業務効率の向上
  • ・ローコスト
  • ・一般的な文章であれば一定のクオリティ

逆にデメリットとして挙げられるのは、

  • ・限定的なローカライズ能力
  • ・繊細なニュアンスを伝えるのは不得意

などです。

一方、人間の翻訳者であれば、文章の背景にある文化的な背景や細かなニュアンスなどを文脈から読み取って翻訳できます。また一番適切な訳語をアウトプットできるのも人間の翻訳者ならではと言えます。

話題のChatGPTによる翻訳とAI翻訳の違い

翻訳業界に限らずいろいろなところで最近目にするようになったのがChatGPTの話題です。ChatGPTはOpenAI社が開発し、2022年11月に公開された人工知能チャットボットです。翻訳はあくまでその機能の一部に過ぎません。情報の要約や提供が主な機能です。一般的な文章に対しては比較的高品質な翻訳を提供することが可能ですが、翻訳専用のAIと比べるとそのクオリティには及びません。

翻訳AIの場合、使用目的が翻訳に特化されているため翻訳の品質や対応している言語の数が優れています。日常的な会話などの翻訳や文章の校正などは、ChatGPTでも十分こなすことができますが、目的に応じて最適な翻訳を必要とする場合はAI翻訳に一日の長があります。

AI翻訳と人間翻訳者の共存

今後の課題として考えられるのは、AI翻訳と人間の翻訳者との共存ということです。今後は様々なプロジェクトにおいて、AI翻訳と人間の翻訳者が協働する可能性が高くなってくるでしょう。具体的な例を挙げて説明します。

・翻訳プロジェクトの管理

AI翻訳が得意とするところの大量のデータ処理能力を利用して、プロジェクト全体の効率を向上させることができるようになります。大規模なプロジェクトにおいて人間の翻訳者は、AI翻訳が対応できない部分をカバーすることになります。専門用語や繊細で適切な表現を必要とする部分などを人間の翻訳者がチェックすることによって、翻訳の品質をより高いものにすることが可能となります

・訳文のポストエディットや編集

一旦AI翻訳でアウトプットした訳文を人間の翻訳者が校正することで、AI翻訳が見落とした部分をチェックすることができます。表現の誤りを修正して適切な表現に置き換えるのは、高いスキルを持ったプロの翻訳者にしかできません。

AI翻訳の進化による翻訳業界の変革と翻訳者の未来

AI翻訳の進化は翻訳業界にも大きな変革をもたらしています。AI翻訳は、多くの翻訳プロジェクトにおいて積極的に活用されるようになってきました。とはいえ現実的にはAI翻訳にはたくさんの課題があります。誤訳や細かなニュアンスなどに関しては、まだまだ懸念される部分も多いようです。その部分をカバーするのが人間の翻訳者です。したがって、今後の翻訳業界はAI翻訳と人間の翻訳者との共存が求められるようになってくるでしょう。

AI翻訳の進化により翻訳者に求められる仕事は、より専門性があり付加価値の高い部分ということになります。そのため翻訳者は人間にしかできない部分の仕事に集中でき、より品質の高い製品に仕上げることができるようになります。今後翻訳業界で求められるのは、「高い専門性+表現力」のある翻訳者です。

またAI翻訳の技術進歩に適応したスキルも必要となってきます。そうなると翻訳者は常に、自分自身のスキルを向上させながら時代に合わせた対応ができるようにしていかなければなりません。経験値の高い翻訳者でも自分が対象としている言語だけではなく、専門知識を掘り下げるなどして今まで以上にスキルの向上に努める必要が出てきます。

まとめ

AIによる翻訳技術は日々大幅に向上しています。翻訳の正確さが向上し機械的に感じるような文章は大幅に減少しています。また細かなニュアンスが伝わるような翻訳も、徐々にではありますが可能になってきています。ローカライズに関しても、文化的な違いを理解する能力が改善されてきました。

それでも現時点においてAI翻訳には、数多くの課題が残っています。訳語の選択が適切でなかったり、細かなニュアンスが伝わらなかったりと、まだまだ人間の翻訳者には及ばない部分は少なくありません。そこで求められるのは、AI翻訳と人間の翻訳者との連携です。機械と人間がそれぞれの強みを生かすことで、より高品質な翻訳が期待できます。

これから翻訳者を目指すのであれば、AI翻訳の現在地点などをしっかりと理解し、常に最新の情報に触れるようにすることが大切です。AI翻訳との共存が求められる状況を把握してスキルアップすれば、クライアントから信頼される翻訳者を目指すことが可能になるでしょう。

今後はさらに高いスキルが人間の翻訳者には求められます。そんな状況の中でフリーランスや副業として最短距離で翻訳者デビューを目指すのであれば、ロードマップをしっかりと踏まえた上で勉強をすることが大切です。

そのためには、

  • ・専門スクールに通って基本的な知識を身につけながら、「アメリア」等の翻訳者ネットワークに登録し情報収集や実務を経験する
  • ・独学で勉強してトライアルにチャレンジする

といったいくつかの方法がありますので、積極的に活用することをおすすめします。

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