翻訳者を目指すなら理解しておきたいローカライズ

翻訳業界ではIT翻訳やマーケティング翻訳の需要が高まっていますが、そんな中、翻訳者を目指すのであれば理解しておきたいのが「ローカライズ」です。翻訳とローカライズは混同されがちですが、両者は全く異なるものです。

また最近ではグローバリゼーションやカルチャライズという言葉も頻繁に使われるようになってきています。そこで今回のコラムでは、

  • ・ローカライズに関して理解しておきたいこと
  • ・学んでおきたいローカライズのポイント
  • ・ローカライズに向いている翻訳者

について詳しく説明していきましょう。

ローカライズの定義とは

ローカライズはローカリゼーションの略称で、オリジナルの言語をサービスや製品などを展開する地域に合わせて最適化することを言います。(ローカリゼーション“localization”のlとnの間に10文字あることから“L10N”(「ライオン」「エルテンエヌ)と表記される場合もあります。)

例えば日本で作られた製品やサービスをアメリカで販売する場合、現地で受け入れられるようにアメリカの習慣や文化などに合わせ、言語翻訳やデザイン修正などサービス全体を最適化することを求められます。ローカライズはいろんな国や地域の人に、伝えたいことを正しく理解してもらうために行います。

元々はソフトウェアなどを特定の言語や対象国の文化的背景に応じて最適化するために使われていた言葉ですが、近年ではゲームやアプリ、webサイトそしてビジネスなど広い範囲でローカライズという言葉が使われるようになってきました。

翻訳とローカライズの違い

翻訳とローカライズには次のような違いがあります。言語を単純に他言語に変換するだけであれば「翻訳」ですが、ローカライズはターゲットとなる地域の文化や習慣を踏まえた上で、その地域の人に分かりやすい表現に置き換えます。マーケティングしやすい形で最適化を行いますので、ローカライズには、翻訳以外の要素としてブランディングやターゲティングなども含まれます。

具体的に見ていきましょう

・翻訳の仕事内容と主な対象

翻訳はある言語を特定の言語で表現することを指します。対象となるのは技術書や論文、Web上のテキスト、映像の字幕翻訳など。

・ローカライズの対象

ローカライズは、上記のテキスト言語の翻訳に加え、デザインや技術仕様の変更なども含みます。対象となるのはアプリ、ゲーム、Webサイトなど。

ローカライズと翻訳の違いを理解する上で分かりやすいのが、アメリカ英語とイギリス英語の違いです。同じ言語ですので基本的に翻訳は必要ではありませんが、ローカライズすることでより現地ユーザーが違和感を覚えないコンテンツを作ることが可能になります。

例えば、“color”と“colour”、 “elevator”と“lift”のように同じ意味を持つ言葉でも米英ではスペルが異なる場合があります。同じ英語でもアメリカとイギリスのそれぞれのユーザーにとって自然な表現にするためには、ローカライズが必要ということです。

またローカライズは言語だけではなく、通貨や日付の表記方法など様々な分野で対象国のルールに合わせて置き換えます。

グローバリゼーションとの違い

ローカライズと似たような使い方をする言葉にグローバリゼーションや現地化という言葉があります。グローバリゼーションとは、ヒト、モノ、カネの流動性が高まり、企業などが国という枠組みにとらわれずに活動することで、地球規模で文化などが移動する現象を意味します。

翻訳者として学んでおきたいローカライズのポイント

翻訳者として様々なメディアをローカライズするには、把握しておかなければならないポイントがあります。ローカライズの対象となる地域や提供するサービスをしっかりと理解できていなければ、ユーザーが違和感なく理解できる自然な翻訳はアウトプットできません。詳しく見ていきましょう。

ローカライズの対象地域についてしっかりと理解する

ローカライズの対象地域で幅広く受け入れられるためには、事前にしっかりと対象地域のリサーチをしておく必要があります。対象地域の言語や文化、習慣や時事ネタなどを知った上で、対象地域に住む現地の人と同じ感覚をつかむことが求められます。

その地域ではタブーとされていることを避ける一方、地域ニーズが高い部分に関しては深く把握しておく必要があります。

用語を統一して自然な翻訳を行う

翻訳者としてプロジェクトに関わる場合、ローカライズするべきサービス用語が統一されていなかったり、スペルや文法のミスがあったりするとユーザーの信頼を損ねてしまうことになりかねません。

そのようなミスを避けるためには、文体や用語、文字表記などのスタイルガイドを必ず用意して翻訳をすることが大切です。

ローカライズ対象サービスをしっかり理解する

きちんとしたローカライズを行うためには、翻訳の対象となるサービスについて翻訳者自身が正しい知識を持つことが求められます。この部分の事前調査が不足していると、ユーザーに違和感を与えたり、求められる世界観を伝えられなかったりします。

翻訳者は、対象サービスの背景をしっかりと把握しておく必要があります。

ローカライズに向いている翻訳者は?

上述したようにローカライズは、単純に言語を翻訳するだけの仕事ではありません。翻訳者として高い語学力を求められるのはもちろんですが、ローカライズが必要な対象国に関する深いリサーチ能力も求められます。

例えば翻訳の需要が高いゲーム翻訳などでは、

  • ・ゲーム好きでゲームに関する幅広い知識を持っている
  • ・対象国における文化や風習についての詳しい知識を持っている

このような造詣がなければ対応することは難しいでしょう。

これ以外にもExcelやWord、PowerPointなどオフィスソフトの操作スキルはもちろん必要となりますので、ある程度の実務経験も必要となります。

ローカライズに対応できる翻訳者を目指すのであれば、翻訳に加えてマーケティングなどに対応できる能力も必要です。

まとめ

このようにITやWeb関連の翻訳におけるローカライズは、翻訳業務必須の工程だと言えます。企業のウェブサイトなどでは特に、ユーザーに刺さる正しくローカライズされたコンテンツが求められます。

例えば、海外のECサイトで商品を紹介する表記が日本語になっていたとしても、サポートが日本語に対応していなかったりすると、ユーザーは「本当に信頼できるサイトなのか」と不信感を抱いてしまうかもしれません。逆に海外企業のウェブサイトだとしても、日本のECサイトと変わらない正しい日本語で対応していれば、多くのユーザーの関心を引くことができます。

ローカライズという仕事は、より良いコンテンツや製品を作り上げるためには欠かせないものだと言えます。現地のユーザーに受け入れられる細やかな配慮は、エンゲージメントや企業の収益に直結する大切なものです。そこにローカライズの大きな意義があると言えます。

このように翻訳者には、今後さらに高いスキルが求められます。そんな状況の中でフリーランスや副業として最短で翻訳者デビューを目指すのであれば、ロードマップをしっかりと踏まえた上で勉強をすることが大切です。

そのためには、

  • ・専門スクールに通って基本的な知識を身につけながら、「アメリア」等の翻訳者ネットワークに登録し情報収集や実務を経験する
  • ・独学で勉強してトライアルにチャレンジする

といったいくつかの方法がありますので、積極的に活用することをおすすめします。

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