翻訳者を目指す方に求められるスキルと日本語力・英語力のレベルアップ方法
翻訳はパソコンとインターネット環境があれば、時間や場所にとらわれることなくできる仕事です。在宅での仕事が可能なこともあり、副業やフリーランスとして翻訳者を目指す方が増えてきています。そんな翻訳者を目指すための勉強方法は、
のいずれかが基本です。
一般的に翻訳者に求められるものは英語力だと思われていますが、翻訳者に必要なスキルはそれだけではありません。今回のコラムでは、翻訳初心者の方に向けて翻訳者に求められるスキル、中でも一番大切な「英語力」と「日本語力」をレベルアップさせる方法について詳しく説明していきます。
英語読解力は必須なスキル
英語読解力は翻訳ジャンルや希望する専門分野に関係なく絶対的に必要なものです。文法構造をしっかりと理解した上で翻訳しなければ、正しい翻訳はできません。例えば技術分野の翻訳などは、原文の文章構造そのものが非常に複雑です。
また法律や契約書関係の文章も、一つのパラグラフが極端に長い上、関係代名詞などが入り組んだ複雑な構造になっていますので、簡単に翻訳できるものではありません。
場合によっては原文に間違いがあるようなケースもあるので、翻訳者は文章全体の内容を踏まえて執筆者のミスを訂正し、矛盾のない文章に翻訳できるスキルも求められます。
具体的なレベルアップ方法を説明しましょう。
ベースとなる勉強方法
英語翻訳者を目指すのであれば、英語力を毎日確実に上げていくことがとても大切になります。スクールで学ぶにしても独学で翻訳者を目指すにしても、効率よく楽しみながら勉強することがレベルアップにつながります。
日々の学習において、ルーティンとして組み込みたいのは以下の2項目です。
1.英文法の勉強
英文法の勉強は苦手という方は少なくありません。実際に翻訳の仕事を始めると、書かれている文章の構造がきちんと理解できないといったケースに遭遇することが多々あります。そんな時「英文法をしっかりと勉強しておけばよかった」と後悔しても遅いので、プロの翻訳者を目指しているのであれば、英文法はしっかり理解できるようにしておきましょう。
2.英単語の勉強
英単語が分からなければ辞書を引けばいいと思われるかもしれませんが、そのような翻訳スタイルで翻訳していたら、仕事の効率は下がるでしょう。翻訳を仕事にするのであれば、基礎的な単語は最低限覚えておく必要があります。
英単語帳などを使って暗記をする場合は、1つの章を最後まで読んで覚えるようにしましょう。読み終えたらまた始めに戻って読み直す。これは一つのやり方ですが、このような繰り返し学習を行うことで、単語が記憶に残るようになります。
最初から日本語で書いたのではないかと思われるレベルの日本語能力は必須
英語読解力と同じレベルで求められるのが日本語のライティングスキルです。 どれだけ高い英語読解力を持っていても、訳した文章が稚拙な日本語で書かれていたら、プロの翻訳者として失格です。
翻訳者として目標にすべきは、訳文にもかかわらず最初から日本語で書かれた文章だと思われるような翻訳です。直訳ではないにしても日本語の文章から原文が透けて見えるような訳文は、読み手からすると稚拙な印象が気になって内容が頭に入ってきません。
文法的に間違っていない翻訳をすることが翻訳のゴールではありません。その文章を読む人がストレスなくスムーズに読める文章にすることが求められます。そのような文章が書けるようになるには、日本語のライティングスキルを磨く必要があります。
翻訳初心者によくあるのが、「英語の意味は理解できるけど適切な日本語が出てこない」。このようなケースでしょう。
日本語力を高めるために、以下の5つの方法を翻訳の学習に取り入れることをおすすめします。
1.新聞を読む
新聞の記事はしっかりと校閲されている上に、不特定多数の読者に伝わりやすい文章で書かれていますので、新聞を読めば言葉の使い方の勉強になりますし、ボキャブラリーも増えます。
2.興味のある分野の専門サイトや専門誌を読んで勉強する
ウェブ上には様々な技術系やガジェット系の記事が無料で読めるようになっています。興味のある記事などを読むことで、最新技術の知識が身につきます。
3.小説を読む
好きな作家の小説であれば夢中で読める上に、作家の文体や表現を学べるという利点があります。
4.日本語の文章作成に関する参考書を読む
日本語力を向上させるための文献や参考書が様々販売されていますので、それらを読んで勉強し、積極的に日本語のスキルアップを図りましょう。
5.良質な文章を書き起こしてみる
句読点やカッコ、助詞などが正しく使われている新聞を参考にすると良質な文体を学べますので、自然な日本語が書けるようになるために新聞の文体を参考に自分の言葉で文章を書き起こす練習をしてみましょう。
必須となる専門分野の選択スキル
これから翻訳者を目指す方が一番悩むのが専門分野の決め方かもしれません。どの分野が向いているかはその人次第ですが、専門分野の選定のための判断基準を以下に示しておきますので参考にしてください。
実務経験がある分野を選ぶ
実務経験がある分野であれば、ある程度の知識を持っているため翻訳の学習がスムーズに進みます。また、見慣れた(聞き慣れた)言葉が出てくるので、翻訳した日本語が適切かどうか判断することができます。
トライアルなどを受ける際にもこれまでの実務経験をアピールできるので、翻訳者としてのキャリアのスタートの後押しになるでしょう。
興味を持っている分野を選ぶ
グローバルなデジタル化は、翻訳対象となるコンテンツの多様化をもたらしました。その結果、翻訳者は、「自分が興味のある分野を専門とする」ことができるようになりました。翻訳という仕事には膨大なリサーチが求められます。そのため翻訳対象に興味がなければ、翻訳業務が苦痛なものになってしまうかもしれません。
翻訳の仕事そのものにストレスを感じるようなことになれば、仕事の効率は低下しますので、結果的にクオリティの高い納品を行うことができなくなります。翻訳者として長く活躍したいのであれば、「自分自身が興味の持てる」ジャンルを専門分野として選ぶことが大切です。
翻訳者に求められる技術的なスキル
翻訳の技術的スキルは、英語の文章を数多く読むだけでは身につくものではありません。よりよい訳文を書くのに必要なのは、自分の翻訳と対訳言語を比較検証するスキルです。
その検証をするためには、日本語と英語の対訳を使って確認する必要があります。具体的には自分で翻訳した文章と原文を比較し、
- ・どの部分が間違っているのか
- ・どうすれば良い訳文になるのか
を確認することが重要です。
このような翻訳テクニックの向上に関する情報は、様々な文献やツールなどで得ることができます。
まとめ
今回のコラムでは、翻訳者を目指すために求められる基本的なスキルや勉強方法について述べましたが、これ以外にも翻訳者に求められるものは多数あります。
フリーランスや副業として翻訳者を目指すのであれば、翻訳のスキルだけでなく、コミュニケーションスキルも求められます。発注元のクライアントとのやり取りや営業活動なども翻訳者として活動していく上で欠かせない要素です。これから翻訳者を目指すのであれば、効率よく毎日勉強を続けスキルアップを図りましょう。