翻訳者を目指すなら学んでおきたいトランスクリエーションの役割 | 【Amelia】在宅でできる英語などの翻訳の求人・仕事探しはアメリア

翻訳者を目指すなら学んでおきたいトランスクリエーションの役割

近年急激に進む様々な企業のグローバル化、特にIT関連や海外向けマーケティングにおいては、トランスクリエーションという翻訳手法がグローバル化に際しよく使われるようになってきました。

今回のコラムでは、トランスクリエーションの概要や一般的な翻訳との違いについて説明していきましょう。トランスクリエーションとローカライゼーションはときに似た意味を持つ言葉と言われることもありますが、そのニュアンスの違いも理解しておきましょう。

トランスクリエーションとは

「transcreation」は翻訳を意味する「translation」と創造を意味する「creation」を組み合わせた造語です。主にIT関連やマーケティング翻訳などで多用される用語で、文章に込められたメッセージの意図やニュアンス、文脈などをしっかり維持しながら別の言語に翻訳するプロセスを指します。

またトランスクリエーションでは、単なる翻訳の範疇にとどまらないコピーライティング的なクリエイティビティも翻訳者に求められます。一般的な翻訳では、「正確性」が最も重要なポイントですが、トランスクリエーションでは、原文の意図をしっかりと把握した上でのクリエイティブな意訳も求められます。翻訳における自由度は高くなりますので、翻訳者にはキャッチコピー的な表現力も必要です。

トランスクリエーションの概念そのものは昔から存在していましたが、グローバルなネット環境が進化した現代では、IT翻訳やマーケティング翻訳の分野でトランスクリエーションの重要性が一層重要視されるようになりました。

ローカライゼーションとの違い

翻訳者を目指して学んでいる方であれば、ローカライゼーションの重要性は理解されているでしょう。ターゲットとなる地域のユーザーの文化や習慣などに合わせた翻訳を指すローカライゼーションと、トランスクリエーションとは以下のような相違があります。

・ローカライゼーション

原文をできる限り自然に分かりやすく翻訳する

・トランスクリエーション

翻訳者の創造性を活かした翻訳を行うことによって、ユーザーにインパクトを与え訴求効果を高める

ほかにも、似たような意味を持つ言葉に「クリエイティブライティング」という言葉があります。クリエイティブな翻訳を行うということではトランスクリエーションと同じなので混同されがちですが以下の点が異なります

  • ・クリエイティブライティングは原文がない状態で別言語のコンテンツを作成する
  • ・トランスクリエーションは原文をもとに作成する

一般的な翻訳とトランスクリエーションの違い

翻訳の仕事で行うことは、ある言語で書かれた内容を別の言語に置き換えることです。できる限り原文の意味が伝わるようにすることが翻訳の目的です。それに対してトランスクリエーションは、広告やブランディングで使用されることが多いこともあり、メッセージの背後にある意図なども汲み取って伝えることに重きを置きます。

翻訳した文章が使用される地域に合わせてローカライズを行い、その上でその翻訳文がどのように使われるのかも加味した、コピーライティング的な要素も求められるのがトランスクリエーションです。従ってトランスクリエーションを行う翻訳者には、コンセプト作りやコピーライティングなどクリエイティブな能力も必要です。

ITやマーケティング翻訳で重要視されるトランスクリエーション

翻訳の正確性が求められる医療や法律などの翻訳とは違い、企業がグローバルなマーケティング展開する際にマーケティング訴求力を求めて用いるのがトランスクリエーションです。

企業ウェブサイトの翻訳などでは、現地の文化・地域的背景に合わせた翻訳を行うだけではなく、現地ユーザーを惹きつけるようなマーケティング訴求力のあるテキスト翻訳が求められます。そんな背景もあり、マーケティング関連の翻訳では特にトランスクリエーションの需要が高まってきています。

トランスクリエーションに期待される効果と企業のメリット

トランスクリエーションによる翻訳に期待されるメリットは、何と言っても訴求力の高さです。また文化や習慣の違いなどから発生しがちな「伝わりにくさ」も解消してくれます。

企業の海外進出に伴うマーケティングに欠かせないトランスクリエーションですが、具体的に期待できる効果とメリットには以下のようなものがあります。

企業やブランドに対する信頼性を高める

トランスクリエーションによる翻訳で得られる大きなメリットは、現地ユーザーからの信頼性を高めることができる点です。グローバル展開を目指す企業にとって商品やブランドに対する信頼性は絶対に欠かせないものです。

例えば海外企業の日本のウェブサイトに少しでも違和感のある日本語表現が使われていたら、我々日本人はそのサイトで紹介されている商品やサービスの購入を躊躇するでしょう。逆に自然な表現を使ったトランスクリエーションによる翻訳文であれば、その商品やサービスに信頼を寄せるでしょう。

現地ユーザーの共感による訴求力の向上

グローバルレベルでのマーケティングを成功させるための最も効果的な方法は、現地ユーザーの共感を得られるインパクトのある訴求です。そのためにはトランスクリエーション翻訳を使ったメッセージ性のあるテキストをユーザーに伝えることです。これができれば、印象に残る上に企業のブランディングにも大きく貢献します。

マーケティングに必要なユーザーからの共感が得られれば、ブランドや商品のファンが増え、しっかりとした信頼関係が生まれます。その結果として商品やサービスの長期にわたる購入が期待できるようになります。

現地ユーザーに合わせたローカライズとユーザーの心を惹きつけるトランスクリエーションによる翻訳は、企業に大きなメリットをもたらしてくれます。

トランスクリエーションでは翻訳者に高いスキルが求められる

企業の商品やサービス、そしてメッセージなどを分かりやすく伝えられブランディングにも最適なトランスクリエーションは、企業サイト、SNS、商品パッケージ、広告のキャッチコピーなど多くの場面で活用できる翻訳手法として注目されています。

トランスクリエーションは、文化や言語の壁を越えてユーザーにポジティブな印象を与えることができることから、企業ブランディングをはじめとする幅広い用途に対応することが可能です。

当然ですが翻訳者にも多くのスキルが求められます。ローカライズスキル、対象となるマーケットに対する知見、マーケティングに関する知識など、全てにおいて高いレベルの能力が求められますので、一般的な翻訳力だけでは十分とは言えません。今後需要が高くなるのが明らかなトランスクリエーションには高度な専門性が求められます。企業のグローバル化に合わせてしっかりと勉強しておくことが大切です。

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