金融翻訳で求められるスキルと欠かせないローカライズ

金融業界における取引がグローバル化していることもあり、金融関連のコンテンツの翻訳のニーズは日々高まってきています。翻訳者としてこの分野で活躍したいと思っているのであれば、金融系の商品や用語に精通し、適切にローカライズできる高いスキルを身につけましょう。

今回のコラムでは、金融関係の翻訳者に求められるスキルやレベルアップに必要なローカライズについて説明をしていきます。

金融翻訳とは

金融翻訳とは金融業界全般で使用されている文章の翻訳を指しますが、企業のグローバル化に伴い翻訳の分野は日々広がっています。一般的には銀行や証券会社、保険会社などで使われる書類の翻訳がこれに当たりますが、それ以外にも、

  • ・収益レポート(アナリストレポート)
  • ・市場調査書
  • ・企業の決算報告書
  • ・プレスリリース

など幅広い分野の翻訳が対象です。

翻訳の対象が広がるにつれ、専門性の高い翻訳が求められるのが金融翻訳の特徴と言えます。そのため金融翻訳では、翻訳者にも高い翻訳スキルとローカライズ知識が必須です。具体的に翻訳者に求められるスキルについて説明していきましょう。

金融翻訳者に求められる5つのスキル

フリーランスや副業で金融翻訳を行っている翻訳者はたくさんいらっしゃいますが、この分野で活躍するためには主に以下のスキルが求められます。

金融に関する全般的な知識

金融翻訳者を目指すのであれば、金融知識は絶対的に身につけておかなければなりません。どれだけ高い英語の読解力や日本語のライティングスキルを身につけていたとしても、金融に関する知識が身についていなければ金融翻訳で正確な翻訳をすることはでません。金融翻訳を専門分野にしようと思っているなら、日常的に金融関連のメディアに触れて情報をアップデートしておく必要があります。またローカライズの視点からも、翻訳の対象となる地域の情報にも精通していることも必須です。

金融業界独自の表現方法への対応力

金融業界は独特の表現が数多くあるのが特徴です。また金融業界ならではのルールも存在しますので、翻訳者にはそれら全てに対応できるスキルも求められます。こうしたスキルを身につけるためには、日々金融分野に関する情報に触れ深く理解しておくことが大切です。また、金融翻訳の分野は多岐にわたるため、企業によっては、翻訳の分野ごとに専門の翻訳者をアサインするケースが少なくありません。

クライアントに対する迅速なアフターフォロー

世界の経済情勢は日々目まぐるしく変化しているのが現状です。そのため、クライアントから情勢の変化に伴う修正を依頼されることがあります。その依頼に対し金融翻訳者は素早いレスポンスで対応することが求められます。例えば金融業界で扱う数字は頻繁に変化しますので、クライアントから数字の変更に伴う文書の内容の変更を依頼されることがあります。こうした依頼に対して金融翻訳者は簡潔で分かりやすく、かつ素早い対応をしなければなりません。

徹底したリサーチスキル

翻訳の仕事ではジャンルに関わらずリサーチは絶対に欠かせない業務ですが、金融翻訳においては特に高い情報収集能力が求められます。世界各国の経済動向や金融業界におけるトレンドの移り変わりは早く、それに伴い投資家の興味も日々変化していきます。

そのため翻訳者には「金融関連に関する興味や関心を持つこと」が求められます。この部分に興味がない翻訳者は、常時変化するグローバルな情報をリアルアイムでアップデートすることはできないでしょう。

また金融知識だけではなくクライアントに関する事前リサーチも非常に重要です。クライアントの公式ウェブサイトをくまなくチェックするなど依頼を受ける前にしっかりとクライアントに関する情報を深くリサーチしておかなければ、クライアントの要望に応えることはできません。

語学力と文章能力

翻訳者を目指すのであれば当たり前ですが、ハイレベルな語学力や文章力は絶対に欠かせないスキルです。特に変化の激しい金融関連の翻訳では、メディアや専門書などを読んで内容を要約するなどの方法で常に文章力を鍛えておくことが大切です。

企業からの依頼を受けられる翻訳者を目指すなら覚えておきたいローカライズの注意点

「企業から求められる」ワンランク上の翻訳者を目指すのであれば、金融・ファイナンス関連のコンテンツをローカライズする際の注意点をしっかりと把握しておきましょう。ローカライズにおける具体的な注意点について説明していきます。

専門用語の多い金融翻訳で注意したい誤訳

金融業界では業界特有の専門用語が頻繁に用いられます。そのため、翻訳のプロセスにおいて誤訳が起きてしまうケースが少なくありません。プロの翻訳者としてミスは許されませんので、誤訳の原因を知りミスのない翻訳を心がけましょう。誤訳につながる原因には以下のようなことが考えられますので注意が必要です。

・国や地域による使用する用語の違いによる誤訳

金融翻訳で使われる専門用語は地域によって異なります。アメリカ英語とイギリス英語では使用される専門用語が異なりますので、翻訳者はしっかりと地域性を考えて適切な訳語を選択するようにしましょう。

・金融プロセスや慣例の違いによる誤訳

翻訳者は対象となる分野・地域の法令などをしっかりと把握した上で、適切な専門用語に置き換えるスキルを身につける必要があります。正確な翻訳ができるだけではなく、対象地域特有の法令などについてのしっかりとしたリサーチは欠かせないファクターです。

・使用される用語の変化による誤訳

新商品やサービスのアップデートなどを受けて、金融業界においても新たな業界用語が日々生まれています。翻訳者は常に新しいトレンドをインプットし対応する必要があります。

金融翻訳で多い数字や単位の表記ミス

金融関係の翻訳者として一番注意したいのは数字や単位の誤りです。金融翻訳において数字に関するミスは致命的です。翻訳者には、ターゲットとなる国や地域で使用される数字表記や単位などをしっかりとリサーチしておくことが重要ポイントです。

具体的な例を見てみましょう。

・小数点や桁区切りに関する表記の違い

英語圏の多くの国や日本では小数点はピリオド表記し、桁区切りの記号はカンマで表記するのが一般的です。例えば「1,500」であれば千五百を意味し、「1.500」であれば「1」が1の位で、ピリオド以下は小数点以下の数字を意味します。

この表記は国によって異なることがあります。例えばドイツでは「小数点はカンマ」で表記するのが一般的ですので、翻訳者は対象となる国の数字表記に細心の注意を払う必要があります。普段から対象言語とソース言語の表記ルールに慣れておきましょう。

金融翻訳のまとめ

今回のコラムでは、金融翻訳の概要とローカライズスキルの重要性について解説しました。金融翻訳は他のジャンルと比較して高い翻訳スキルが求められる上に、ターゲットとなる国や地域の文化や経済情勢もリサーチしながら翻訳を行わなければなりません。

金融関連企業のグローバル化に伴い、今後も金融翻訳の需要は増えていくと予想されます。金融翻訳者としてデビューするには、

  • ・専門スクールに通って基本的な知識を身につけながら、「アメリア」等の翻訳者ネットワークに登録し実務を経験する
  • ・独学で勉強してトライアルにチャレンジする

といったいくつかの方法がありますので、これらを積極的に活用し翻訳者デビューを目指しましょう。

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