継続して発注してもらえる翻訳者の特徴と気をつけたいストレスの対処法
英語が好きで翻訳者としてデビューしようと学習を続けている方には、「共通する特徴」が存在します。「向き不向き」が影響する業種ということで、今現在勉強を続けられている方のほとんどは、「向いているから」勉強が継続できていると言えます。
また、英語好きが高じて翻訳者になったとしても、仕事に対するストレスには向き合わなくてはいけません。
今回のコラムでは、フリーランスや副業として翻訳者デビューを目指している方のために、
- ・継続して発注してもらえる翻訳者の特徴
- ・翻訳者を長く続けるために避けなければならないストレス
についてまとめてみました。
継続して発注してもらえる翻訳者6つの特徴
いくら学歴や語学力が高くても、クライアントが理想とする翻訳者になれるとは限らないのが翻訳の仕事です。クライアントから求められる翻訳者の特徴を6方向から具体的に見ていきましょう。
リサーチが得意な人
翻訳の実務分野において非常に大切なのが、リサーチに関するスキルです。最も一般的な英日翻訳の場合でも、原文の正確な意味が理解できないケースに頻繁に遭遇します。そんな状況において翻訳者に求められるのは、徹底した検索能力と推測する能力です。特にネットを使って検索した場合は、ソースの信頼性などもリサーチしなければなりませんので、スキルが高い翻訳者ほどリサーチに時間をかけます。
徹底的にリサーチをしても答えが見つからないケースもあります。そんな時でも推測力で結論を見出し、成果物にして提出しなくてはなりません。こうしたケースでは、クライアントに対してしっかりとしたリサーチの裏付けを提示した上で、「このように解釈して翻訳しました」とコメントするなどの配慮が必要です。このような配慮を示すためには、調べることを得意としている必要があります。
投げ出したくなっても最後までやり切れる人
クライアントからの発注を受けたあと、思ったよりも内容が難しいと感じる場合もあります。またクライアントから渡された原稿の出来が悪すぎる、と感じるケースもあるかもしれません。途中で投げ出してしまいたくなるような案件であったとしても、プロの翻訳者であれば最後までしっかり仕事を完遂して納品しなければなりません。
特にフリーランスや在宅で翻訳の仕事をする方であれば、一人で仕事をすることが多く、周りにアドバイスしてくれる人がいないケースがほとんどでしょう。しかし、どんなことがあってもきちんとやり切る力を持っていなければ、お金をいただいて仕事を請け負うプロの翻訳者とは言えません。
納期を守れる責任感の強い人
クライアントから信頼されて発注してもらっているわけですから、納期は絶対に守らなければなりません。プロとして翻訳の仕事を引き受けた以上、きちんとお金をもらえるレベルの成果物を期日までに納品するのは当然です。しかし、不測の事態が起き期日までに納品できない状況になった場合は、誠意を持って対応する責任感が翻訳者には求められます。
依頼があった案件を期日までに納品できるかどうかは、オファーがあった段階で翻訳者自身が判断しなければなりません。翻訳依頼の明細やタイトルを見て全体的なボリュームを把握し、クライアントが希望する納期までに翻訳を終わらせることが可能かどうか熟考し、その上で案件を引き受けるかどうかを判断する必要があります。
時間管理が優れている人
翻訳の仕事は、一言ひとこと言葉の選択にこだわるライターと共通しているところがあります。翻訳者自身が100%納得できる成果物を納品しようとして、クオリティにこだわりすぎてしまうと、エンドレスのループに陥ってしまうことがあります。
この部分に関して翻訳者には、何時間で終わらせる、という時間管理のスキルが求められます。
一日中PCに向かっても平気な人
在宅やフリーランスの翻訳者として活動する場合、特に一人暮らししている人であれば、他の人と会話をしない日が続くことがあります。忙しい時は長時間のパソコン作業が続くことも少なくありません。人と接する機会が少ないことを気にする方もいますが、翻訳者を目指す方の多くは、人と接しないことを苦痛に感じないようです。この部分はスキルというよりは、性格によるものなのでしょう。
静かな環境でなくても集中できる人
翻訳者は、仕事を請け負った以上、成果物を期日までに納品しなければなりません。翻訳者を取り巻く環境によっては、深夜の時間帯しか翻訳に時間を割くことができない方もいらっしゃいます。また同居人がいるため常に静かな環境で仕事ができるとは限らない人もいます。どんな環境でも集中力を切らさないで仕事に打ち込めるかどうかは、翻訳者に欠かせない要素です。これは、スキルや能力に関係なく環境に慣れる力が長けている人ということであり、生まれ持った資質が大きく影響する部分です。
ここまで翻訳者に向いている方、クライアントから信頼される翻訳者の特徴について書いてきましたが、ここからは、納期に追われるなど常にストレスを感じながら仕事をしなければならない翻訳者のストレス対処法について説明していきたいと思います。
翻訳者として活躍し続けるために避けたいストレスとその対処法
フリーランスの翻訳者として仕事をしていると、色々な場面でストレスを感じます。どのようなことが原因でストレスを感じるのか、具体的に説明していきます。
納期が短い案件
クライアントから発注される案件の中には、納期が非常に短い案件もあります。もちろん納期が短くてもワード数が少なければ、翻訳者はそれほど負担を感じないでしょう。逆に難易度が高かったり、ワード数が多かったりすると納期に間に合わない可能性という大きなストレスを感じることになります。
このようなストレスを避けるためには、仕事を始めた当初は、短い納期の受注をできるだけ避けるなど、ストレスを生まない受注の仕方を心がけましょう。納期に対する焦りがストレスに繋がってしまいます。
単価が安い案件
フリーランスで翻訳をする場合、どうしても仕事の内容と報酬は気になります。ストレスにならないよう安い案件は引き受けない、というスタンスで仕事することも可能ですが、新人の翻訳者がせっかく声をかけてもらった案件を断るというのは難しいでしょう。最初は安くてもクライアントに気に入ってもらえれば、徐々に単価は上がっていくでしょうし、実績を積んでいけば翻訳者の側から値上げ交渉を持ち出せるようになります。
また、同じクライアントから単価の高いものと安いものを同時に発注されるケースも少なくありません。そうなると全ての案件を断るという選択肢はなくなりますが、仮に単価が安くても、
- ・翻訳の勉強になる
- ・テーマそのものに興味がある
など案件のポジティブな側面を見ることで、単価に関するストレスは軽減できるはずです。
納品物に対するコメントやレビュー
クライアントによっては、納品した翻訳に対してフィードバックやコメントを送ってくれるところがあります。新人の翻訳者には非常に勉強になることが多い反面、フィードバックの内容が厳しすぎると感じてしまうこともあります。これも、自分よりも経験のあるレビュアーが成長を促すためにフィードバックしてくれていると考え方を変えるだけで、スキルアップに繋げることができます。
翻訳はフリーランスとして在宅でも十分に活躍できる仕事です。今回のコラムでは、長期にわたって翻訳者として活躍していける方の特徴と、翻訳者が向き合わなくてはならないストレスについて説明させていただきました。
学歴や語学力の高さだけがクライアントから求められる翻訳者の要素ではありません。今回のコラムを参考に翻訳者デビューを目指して勉強を続けてください。また翻訳者としてデビューするためには、
- ・専門スクールに通って基本的な知識を身につけながら、「アメリア」等の翻訳者ネットワークに登録し実務を経験する
- ・独学で勉強してトライアルにチャレンジする
といったいくつかの方法がありますので、これらを積極的に活用し翻訳者デビューを目指しましょう。