リーガル翻訳の特徴と翻訳者に求められる7つのスキル

近年、企業やサービスのグローバル化が加速し、国際的な契約や法的な文書に対する翻訳の需要が増加したことにより、正確かつ適切なリーガル翻訳が必要とされるようになってきました。

リーガル翻訳とは、主に契約書、各種証明書、裁判関連文書など法律に関する文書の翻訳全般を指します。

法令のような間違いが許されない文書の翻訳に携わる翻訳者には、法的な文章を他の言語に正確かつ適切に翻訳する高いスキルが求められます。今回のコラムではリーガル翻訳を専門分野としようとしている方のために、リーガル翻訳の特徴と求められるスキルについて説明していきましょう。

専門用語の精密性:法律専門用語や概念の高精度な翻訳スキル

法律文書を扱うリーガル翻訳では、翻訳者に高度な法律専門用語の知識や概念への理解が求められます。

特に専門用語の翻訳精度の高さは、法的文書の正確な理解を保証するために欠かせないファクターです。法律が絡む紛争や契約書の解釈などで求められる翻訳では、厳密で適切な言葉を高い精度で選択する必要があります。

法的な文書において使用される独特の言葉や言い回しに精通し、文脈を正確に把握して翻訳するスキルが、リーガル翻訳者には求められます。クオリティの高い訳文は、文書の信頼性と法的効力を担保します。

文脈の理解と地域差異への対応:異なる法域に対応するローカライズスキル

リーガル翻訳者は、文書全体の文脈を正確に理解し、原文とは異なる法域でどのように解釈されるのかをしっかりと把握しておく必要があります。

リーガル翻訳では、国によって異なる法体系や文化背景があることを理解した上で、法律用語や文章を正確かつ厳密に伝達できる翻訳をしなければなりません。

ここで翻訳者に求められるのは、目的言語の地域性などをしっかりと理解し、法的な効力が保たれるローカライズを行うスキルです。

法律は国や地域によって異なりますので、法的文書も地域の法体系に合わせて翻訳する必要があります。そのためリーガル翻訳者には地域差異に対応できるスキルが求められます。

国によって、そして地域によって文脈や専門用語が異なりますので、翻訳者には高いローカライズ能力が求められます。例えば契約書であれば、国によって契約に関する用語や商習慣が異なりますので、翻訳者はそれに合わせた訳文を作る必要があります。

慎重な翻訳:誤解を生じさせない翻訳スキル

リーガル翻訳では、精密で正確な表現が絶対的に必要です。翻訳者はしっかりと全体の文脈や法的なニュアンスを理解し、専門用語を正確に翻訳して、誤解が生じないようにしなくてはなりません。法的な文章の翻訳において翻訳者はあいまいな表現を避け慎重な翻訳を心がける必要があります。

また法的な文書は厳密に解釈しなければならないので、翻訳者は過去の判例を確認したり、法令の変更に対応したりすることも必要です。翻訳者は常に情報をアップデートし、クライアントや関係者が理解しやすい正確で分かりやすい翻訳を行わなければなりません。

専門的な表現を用いながらも厳密で誤解を招かない翻訳をすることが、翻訳者に求められる「慎重さ」です。

機密情報への対応スキル

クライアントから受け取る情報や法的文書には、機密情報が含まれていることが少なくありません。翻訳者にはその機密に対する厳密な対応が求められます。機密情報を漏洩させないことは翻訳者の義務と捉え、クライアントから預かった情報は慎重に扱う必要があります。

機密情報の取り扱い例としては、

  • ・情報をやり取りする際の安全な通信手段の確保
  • ・機密保持契約の締結
  • ・データの暗号化

などが挙げられます。

リーガル翻訳者は、法的文書の内容を慎重に取り扱うことによって、クライアントからの信頼を得て、業務を任せてもらえる関係を築くことができます。機密情報に触れることの多いリーガル翻訳者を目指すのであれば、機密情報を厳格に扱えるスキルを身につけておく必要があります。

クライアントとのコミュニケーションスキル

リーガル翻訳者には、高度なコミュニケーションスキルが求められます。翻訳者はクライアントや法律専門家とのコミュニケーションを通じて文書の意図を正確に把握し、その上で翻訳文章にその意図を落とし込む必要があります。

翻訳分野の中でも特に専門性が高いリーガル翻訳では、翻訳者は不明な点やあやふやなことがあれば、クライアントに遠慮せずに質問し理解を深めておく必要があります。クライアントとの密なコミュニケーションが、訳文の正確性に繋がります。

リーガル翻訳におけるクライアントとのコミュニケーション不足は、誤訳や法的な問題を引き起こしてしまう可能性がありますので、クライアントとのやり取りは徹底的に行うようにしましょう。

変更に素早く対応するスキル

法律は頻繁に変更されますので、リーガル翻訳者はその変更に敏感でなければなりません。情報を常にアップデートし、最新の情報に基づいて翻訳するスキルが求められます。

どの国でも法律は絶えず変化していますので、翻訳者が最新の法的知識を身につけておくことは重要です。また、業務遂行中に法律が変更されることもあります。その場合、変更に即座に対応できる柔軟性もリーガル翻訳者には求められます。

法的な変更があった場合には、クライアントと直ちに協議し、できる限り迅速に対応する必要があります。ここで対応が遅れてしまうと、クライアントとの円滑なコミュニケーションが損なわれ、以後の業務に支障を来すことになります。

複数の対訳文書の整合性を保つスキル

リーガル翻訳者には、対訳文書の整合性の保持が求められます。複数の法的文書を翻訳する場合、文書間の整合性を保ちながら翻訳を行わなければなりません。法的な文書には正確性が最重要事項として求められますので、法的な表現や用語が一貫していることが不可欠となります。

従って翻訳者は、原文に記載されている法的概念を正確に理解し、その概念を対訳文書に反映させる必要があります。また整合性は文体にも関係しますので、各文書のトーンを維持して読み手が違和感を持たないようにすることも翻訳者には求められます。

まとめ:リーガル翻訳者を目指すための日々の勉強方法

リーガル翻訳者を目指すのであれば、法的な知識と言語スキルは最重要要素です。法学書や関連記事を読むなどしてスキルアップに励みましょう。

また法的な手続きや契約書の構造を学ぶことも、専門性を向上させる上で重要です。頻繁に行われる法改正や最新の判例に注目して、法令変更などに迅速に対応できるスキルを身につけましょう。

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