ご利用企業インタビュー

株式会社ヒューマンサイエンス

株式会社ヒューマンサイエンス

時代の流れに応じて幅広いサービス提供を

ヒューマンサイエンスの創業は1985年。精密機器のマニュアルなど、日本語によるドキュメント制作からスタートしました。翻訳部門が加わったのは1994年です。日本語ドキュメントの多言語化と、ソフトウエアのローカリゼーションの2本柱で実績を積み上げてきました。

また、そのほかにも、制作物のデザイン編集を担当するDTP編集、Webアプリケーションを中心としたシステム開発、会社・商品紹介ムービーなどの企画から撮影・編集までを一手に引き受けるコンテンツ制作、社内研修教材をはじめ
とするeラーニング制作など、業務の幅を広げてきました。

翻訳部門のなかでも、主に英日翻訳を行っているのが、グローバルビジネス部ローカリゼーショングループです。社内スタッフは、プロジェクトマネージャー(コーディネーター)とレビューアあわせて26名。翻訳者は基本的に外部登録制ですが、2008年から翻訳者育成のためにインターン制度を導入しました。

また、最近はローカリゼーションに限らず、契約書など各種書類、会計、経営、マーケティングや、ムービースクリプトのナレーションの翻訳など、翻訳分野の幅が広がりつつあり、それに合わせて登録翻訳者の補強も随時行っています。

フィードバックで翻訳者のスキルアップを

翻訳を提供する企業として同社が最も重視しているのは、翻訳の質の向上です。そのために大切なのは「翻訳者がいかによい仕事をしてくれるか」だとローカリゼーショングループ課長の林信吾さんは言います。

もちろんこれは、翻訳者の力にだけ頼るという意味ではありません。同社には社内スタッフと翻訳者が一緒になって翻訳の質を上げていくための仕組みがつくられています。

そのひとつが、翻訳者に対するフィードバックシステムです。フィードバック専用に構築されたデータベースがあり、社内のスタッフがそれぞれ案件ごとに、翻訳の内容に関して8項目4段階評価を行い、その点数と具体的な改善点を書き込んでいきます。仕事の終了時に、翻訳者にその内容がメールで送信されるようになっていて、改善してほしい点がもれなく、明確に伝わるようになっているのです。

「フィードバック作業は、忙しいとついおろそかになりがちです。そうならないためにも、仕事の各段階でデータが蓄積でき、最後に自動的に送られるようにしています。登録翻訳者の方とのコミュニケーションをよくして、信頼関係を築いていきたい。長いつきあいの中でスキルアップを図ってほしい。そのための会社としての取り組みです」(林さん)

分野別採用で翻訳者に合った案件の発注を

登録翻訳者の募集は、主に同社HPとアメリアの「JOBINDEX」にて応募を募り、年間を通して行っています。同社のトライアルの特徴は、課題を分野別に細かく分けているところ。「IT 全般、マーケティング関係などいくつかあって、ご本人の希望で、得意分野だけ受けていただいても、全部受けていただいても構いません」と担当の中嶋梓さん(ローカリゼーションエンジニア)。

翻訳者には分野による得意、不得意が多少はあるので、トライアルの段階でそれを見極めて、情報としてとらえておくと、登録後の仕事もスムーズにお願いできるということです。「合格率はだいたい1割くらいでしょうか。背景知識がしっかりしている方が合格しているように見受けられます」(中嶋さん)

IT分野のトライアルを受ける場合は、翻訳メモリTradosの使用経験を条件のひとつとしているという。
「Trados に限らず、最近はさまざまな翻訳メモリを使用する案件が多いからです。依頼主の独自開発の翻訳メモリを支給されることもあります。その場合、仕事が始まってから慣れていただかなければならないのですが、Trados の使用経験があれば、だいたい使いこなせると思います」(中嶋さん)

インターン制度導入で翻訳者育成を

同社では、2008年に初の試みとしてインターン制度を導入しました。フリーランス翻訳志望者で、まだ実績のない方に、契約社員として社内で翻訳業務に携わることにより仕事を覚えて独り立ちしてもらおうという制度です。

「最終的には、弊社の登録翻訳者として活躍していただきたいと思っています。外部スタッフである翻訳者の方は非常に重要だと考えていますので、実力のある方と契約するだけではなく、自社でも育てていこうということです」(林さん)

昨年の第1回募集はアメリアを通しても行われ、最終的にアメリア会員の松田栄さんが採用されました。

「フェロー・アカデミーの通学講座でコンピュータと実務英訳の講座を受講しましたが、翻訳者としての実務経験はありませんでした。インターンになって2カ月経ちますが、翻訳したものをレビューアの方が丁寧に見てくださり、直接指導していただけるので、とても勉強になります。このような機会に恵まれて、本当に幸せです」(松田さん)

「半年、1年などの区切りごとに成果をチェックし、独り立ちしても大丈夫だろうという評価が下れば、インターンを卒業して登録翻訳者になっていただく予定です。人にもよるでしょうが、おそらく1年か2年で卒業ではないでしょうか。募集は定期的に行い、常時1、2名のインターンが社内にいるようにしていきたいと考えています」(林さん)

翻訳者とのコミュニケーションを重視

同社では、登録翻訳者の方に向けて、月に1回「翻訳マガジン」というメルマガで情報配信をしています。このメルマガの目的は主に2つ。スキルアップの助けとなるような翻訳に関する情報提供をすることと、社内の情報を共有し、少しでも親近感を持ってもらうことです。

「スキルアップのためには、ツールの使い方、翻訳技術に関することなど、社内のスタッフが『これはぜひ翻訳者さんにもお伝えしたい』と思った内容を取り上げています。それから、これは今後の課題ですが、親近感を持ってもらうために、弊社のスタッフが毎回1名登場して趣味を語るといったコンテンツも盛り込もうと思っています」(ローカリゼーションエンジニア片山恵介さん)

仕事上のやり取りは、どうしてもメール主体になりますが、申し送りが細かい方、フィードバックにきちんと反応してくれる方は、翻訳者として伸びていく素質を持っているとか。そのような密な関係を築ける環境づくりのひとつとして、メルマガが活用できればと同社では考えています。

さらなる分野の開拓を

同社では、これまでに実績のあるIT分野に加えて、医薬、特許などの新たな分野にも業務を拡大しつつあります。特に医薬の分野では着々と準備を進めており、新たに医薬分野に強い翻訳者の補強も行い、体制を整えています。

「われわれがこれまでローカリゼーションの分野で培ってきたノウハウが生かせる分野へは、積極的に進出していきたいと考えています。そんな中、翻訳メモリを使っての翻訳のニーズはありそうだが、まだ進んでいない、という印象のある医薬分野を最初のターゲットとして考えています」(林さん)

同社はそもそもIT分野の印象が強いため、トライアルの応募もITに集中しているとか。今後は、多方面の分野での募集も積極的に行っていきたいとのこと。アメリアの「JOBINDEX」でも募集があると思いますので、ぜひ注目していてください。