ご利用企業インタビュー

株式会社川村インターナショナル

専門分野を限定し、その中で広く深く翻訳を追究する

川村インターナショナルはIT関連の翻訳を中心に受注する翻訳会社です。創業は1986年で、1990年代には航空機のマニュアルやそれに搭載されている電子機器のマニュアルの翻訳を多く請けていました。航空機のマニュアルは、書類を積み上げると5mの高さになるほど膨大な量のものもあるそうで、その翻訳は大勢の翻訳者が関わる大規模なプロジェクトでした。大量かつ精密な内容の翻訳品質管理を行いながら、納期を守って仕上げるノウハウは、その後、ITの時代が到来した際に生かされ、仕事が拡がっていったのです。時代のニーズに応じて、その後はITの受注が逆転し、現在ではIT関連を中心に、電気機器、航空宇宙などの翻訳を受注しています。

同社の方針としては、当面は受注する翻訳分野をこれ以上拡げることなく、得意とする分野の枠の中で、受注するドキュメントの種類を増やしていくこと、また新規のお客様を獲得していくことを目指しています。

「例えばひとくちにIT関連と言っても、ソフトウエアのローカリゼーション、マニュアル翻訳、カタログ、プレゼンテーション資料、プレスリリース、契約書など、さまざまなドキュメントがあります。すべてを均等に受注できているわけではなく、ドキュメントによっては不得意では?と見られているものもありますので、まずは専門分野の中で、まだ十分に受注できていない部分を補っていく作業を優先して行っていきたいと考えています」
(シニアマネージャー 立花岳志氏)

『選択と集中』でノウハウを蓄積する

専門分野を拡げすぎないというのと同じ理由で、創業以来一貫して同社では翻訳の対象言語を日英と英日に限って業務を行ってきました。

「社員数約30名規模の弊社では、『選択と集中』が重要だと考えます。分野や言語を拡げていくと、ノウハウの蓄積が困難になってきます。特に最近は、どの分野も先進的な内容が多く、難易度が上がってきていますので、幅を拡げすぎずに全勢力を集中させて、お客様に満足していただける品質のものを作り上げていくべきだと判断しています」(立花氏)

実は、この信条は変えないまま、この4月より多言語翻訳をスタートさせることになりました。欧州・アジアを中心に世界10 カ国以上の翻訳会社と外部パートナー契約を結び、社内ではこれまでどおり日英・英日をメインにしながらも、お客様のニーズに応じて外部パートナーと連携することによって、その他の言語への翻訳も提供できるようになったというわけです。

「社内では日英・英日翻訳に集中できる状況は変わらず、一方で多言語翻訳も受注できるようになります。これによって新しい顧客、新しい案件を増やし、会社としての新たな展開を模索していきたいと考えています」(立花氏)

翻訳者の採用はプロジェクトごとに行う

同社では翻訳者の募集はなるべくプロジェクトごとに行っています。ある程度、仕事の内容が見えていたほうが、細かい条件を提示することができ、採用後のミスマッチが防げるし、そのプロジェクトにマッチしたトライアル課題で実践力をより正確に計ることができると考えるからです。同様に社内スタッフも、繁閑の時期、プロジェクトの規模、お客様の要望など、さまざまな条件を検討して、案件ごとに最適のプロジェクトメンバーを組むようにしています。

プロジェクトごとに条件は異なりますので、翻訳会社が仕事をお願いしたいと思う外部翻訳者もいつも同じ条件ではないはずです。例えば、今回はオンサイト可の方にお願いしたいとか、IT の中でもより狭い範囲の知識が必要だとか、その時々にぴったり合う方に仕事を依頼できれば、翻訳会社と翻訳者の両者にとってより仕事をしやすい状況が生まれるというわけです。

「なかには、実務経験豊富で自分のやり方が確立されている方よりも、柔軟性を求めてなるべく新人の方にお願いしたいと思える案件が出ることもあります」(立花氏)

また、同社ではどんな案件でも、未経験だからトライアルをお断りするということはしていないということです。職歴、学習歴も含めて、募集している案件に必要なバックグラウンドがある方なら、実務経験にはそれほどこだわらず、トライアルの結果で採用を判断しています。

わが社のここが自慢! 独自の品質管理システムTAFT

同社が長年にわたりこだわってきた翻訳品質を明確にするために、ひとつのシステムとして作り上げたのが、このTest Analysis Feedback Translation、通称TAFT です。翻訳には多かれ少なかれエラーが発生しますが、TAFTではその科学的根拠を突き止めてデータ化を行います。

具体的には、チェッカーがチェックする際に、翻訳に発生するエラー、例えばタイプミス、誤訳、表記ルール間違いなどをエラー情報として収集し、評価用データベースに入力します。このデータを活用して、それらのエラーがどのようなドキュメントに現れるのか、あるいはどの翻訳者に現れるか、といったことをさまざまな方法で分析し、結果を工程内のあらゆる部分にフィードバックしていく仕組みがTAFTです。

翻訳者には、エラーがTAFT のデータベースに登録された段階でフィードバックシートが送られるようになっており、そのプロジェクトにかかわった翻訳者も、いち早く自分のエラーが確認できるようになっています。

「TAFT は一応の完成をみましたが、品質についてはゴールはありませんので、システムを活用しながら、さらに改善を加えていく、この繰り返しで、常にワンランク上の翻訳品質を目指したいと思います」(翻訳事業部マネージャー 森口功造氏)

また、翻訳にはこれらエラーをなくすことがもちろん重要ですが、一方でお客様の好みの言葉使い、言い回しに合わせるということも必要です。さらに納期を守るためのスケジュール管理も重要です。

「お客様の好みの部分も将来的にはシステムに組み込んでいきたいと考えています。スケジュール管理に関しては、Web を活用して、主に弊社で仕事をしていただいている登録翻訳者さんには、受注できる日にちをWeb 上のインターフェイスに書き込んでもらい、仕事の依頼をスムーズに行えるようにしています」(森口氏)

エラーなど科学的に分析できるところはシステムを組み、社内スタッフ、翻訳者ともに人を動かすところではプロジェクトごとに最適を目指して臨機応変に配置する。このバランスの良さが同社の品質管理の基本になっています。


スタッフからひとこと!

あるトライアルでは合格するけれども、他のトライアルでは不合格になる、という方はたくさんいらっしゃると思います。まず、不合格になることのほうが多いという方は、例えば一度チェッカーの業務に携わってみて、翻訳者の書く文章をたくさん見ることが勉強になるのではないかと思います。

合格も不合格も半々という方は、専門知識の問題かもしれません。一緒にお仕事をする翻訳者、チェッカーの方を見ていると、皆さん本当に勉強熱心です。そして、そういう方は必ず翻訳者として伸びていきます。トライアルの合格率を上げるのは、そのあたりがポイントかもしれません。

勉強熱心という点では、ベテラン翻訳者も同じです。どんなに実績がある方でも、翻訳は常に新しい未知の技術などを訳すことが多いので、かなり熱心に勉強されているように見受けられます。また、翻訳は正しくても、お客様の好みといった理由で翻訳会社のほうで直しを入れてフィードバックをすることもありますが、それをネガティブにとらえることなく、常に一緒に良いものをお客様にお納めしたいという気持ちで仕事をしていただける翻訳者がありがたいですね。