ご利用企業インタビュー

株式会社中之島翻訳センター

株式会社中之島翻訳センター特許翻訳を中心に多言語翻訳にも強みを発揮

中之島翻訳センターは、大阪の中心部、中之島というオフィス街の高層ビルの20階に事務所があります。1987年に同社を設立した山川さんは以前は別の翻訳会社で営業やコーディネーターの仕事をしていました。しかし自分の考え方とその会社の経営方針とが合わず、独立を決めたといいます。

「私は翻訳者さんは社員と同じ会社の財産だと思っています。何かのご縁で知り合えたわけですから、“ギブアンドテーク”の精神でお互いの信頼関係を持ち続けたいと願っています」(山川社長)

会社を設立した当初はバブル景気の真っ只中。大阪にはエレクトロニクスや医学、化学関連の企業が多く、そうしたクライアントから翻訳の仕事を多く受注していたそうです。しかし、その後バブルの崩壊に伴って受注減という試練に立たされました。このままではいけないと、まだ実績やノウハウも乏しかった特許翻訳に力を入れるようになりました。失敗もあったそうですが、苦労の末、徐々に優秀な翻訳者も確保し、今では特許翻訳が同社の中核を占めているとのことです。

現在は、エレクトロニクス、化学関係の特許翻訳を中心に、ビジネス翻訳全般を幅広く受けています。日英が全体の5割、英日が1割、その他、仏語、独語、西語、中国語からタイ語、インドネシア語などの多言語翻訳の実績も数多くあります。

翻訳者と協力体制で時代を乗り切る

ここ数年来の傾向として、競争見積もりが増え全体的に単価が下がってきたことが苦労の種だといいます。

「品質よりも価格で他社に流れるケースが度重なるとさすがに動揺が隠せません。仮に低価格で仕事を獲得しても翻訳者さんに対しては、ここ何年も翻訳料のアップを行っていないところに値下げのお願いはできません。従って会社の利益率の低下ということになりますが、そこは仕事量を増やして効率化を図ることで切り抜けたいと思っています。仕事量を増やすには新しいクライアントを見つけなくてはなりません。今後の成り行きは営業力にかかっています。

また、このような時代になると、質の良い翻訳者とそうでない者との格差が出てきます。良い翻訳者はミスがなく、安心でき、社内チェックにかかるコストの低減にもつながります。依頼する場合は優先的に仕事を回して、できるだけ途切れないようにしています。またクライアントからも良い翻訳者に対し指名を受けることがよくあります。会社としては良い翻訳者を多く確保し、よい翻訳をお届するのが生き残る道だと考えています」(山川社長)

翻訳の仕事は翻訳会社と翻訳者の二人三脚。厳しい時代でも翻訳者と協力することで、お互いによい結果が得られるように頑張っていきたいと山川社長はいいます。

クライアントは全国的に

関西をベースに仕事を続けてきた同社ですが、インターネットの発達とともに変化がありました。今はメールを通して仕事ができるので、クライアントは全国的だといいます。

「翻訳者同様、お客様も地域に関係なく仕事が成り立つ時代になったというわけですが、とはいうものの近くはメールだけに頼らず自転車で直接まわっているんですよ」(山川社長)

社員数は現在社長以下6名。チェッカー2名、コーディネーター2名が業務に当たっています。登録翻訳者は約200名。同社のウェブサイトやアメリアの「JOB」を通してトライアルの受け付けをしています。

「トライアル実施には実際、手間がかかりますので、今のところは残念ながら応募者すべての方にすぐに受験いただける体制ではありません。翻訳会社や特許事務所などでの実績のある方に優先して受けていただいています。合格後は、翻訳者の希望単価をうかがい、弊社の基準と合うようであれば登録をお願いしています」(山川社長)

先のとおり、よい翻訳者には依頼が集中する傾向があり、同社の主力翻訳者は、同社の仕事のみを受けている方が多いのだそうです。そうなると、会社側としても翻訳者の生活を支えているという責任感が生じ、スケジュールを把握して仕事が減ることのないような配慮も行っているそうです。

わが社のここが自慢!  会社の発展は翻訳者、お客様とともに

そもそも、「翻訳者とともに歩む会社経営を」との理念を持って会社を設立した山川社長。この考え方は今でも変わっていません。

「弊社の理念は『翻訳者と、お客様と、会社がともに発展すること』です。それはつまりは良い翻訳をすること。翻訳者さんが良い翻訳をしてくれれば、お客様に喜ばれますし、翻訳者さんも仕事が続き、わが社の利益になります。だからこそ、翻訳者さんはわが社が発展していくために非常に大切な存在であり、社員と同じだと思っているのです」(山川社長)

24年におよぶ経験において、担当者が代わってもずっと続いているクライアントもあれば、いつのまにか途切れてしまったところもあるそうです。

「その時は自社の翻訳がベストだと思っていても、他社の方が対応が良かったのか、翻訳が気に入られたのか、それとも低価格につられたのか、たえず一喜一憂の繰り返しでした。これは翻訳者との関係にも当てはまります。長年続いている方もいれば、いつの間にか疎遠になってしまった方もいます。

最近は英語以外の需要も増えています。インターネットが発達した現在、世界中のほとんどの言語が対応可能になりました。弊社ではたえずアンテナを張りめぐらせて優秀な翻訳者の発掘に力を入れています。翻訳会社は翻訳者あってこそ仕事が成り立つわけですから、翻訳者に対して単に外注者としてではなく、対等なパートナーとして接しています。

それから翻訳者は孤独な世界に閉じこもって仕事されますので、外部との触れ合いで少しでもストレス解消になればと思い、時々食事会や飲み会に誘って交流を温めています」(山川社長)

スタッフからひとこと!  たえず勉強して表現力を磨いてほしい 代表取締役 山川泰朗さん

弊社で主力翻訳者として活躍している方を見ていると、次のような傾向があることがわかります。

まず勉強熱心であること。専門知識についてはもちろん、表現法についても常に学ぶ姿勢を持っていることが見受けられます。そして、そういう方はインターネットの活用法が上手なように思います。今の時代、インターネットの活用は翻訳者にとって必須事項です。

知らない事象が出てきたときに調べる、専門知識が不十分でわからないことを調べる、といったことは多くの方がしていると思いますが、さらに進んで、翻訳表現を学ぶのためにインターネットを活用している方がいて、これは学習中の皆さんにも真似をしていただきたいと思います。例えば日英翻訳では、その分野やテーマに関連する英文のサイトを調べて、それを読みながら使えそうな英語の表現を抜き出してストックするというようなやり方で自身の英語表現をさらに増やすことができます。

弊社に応募してくる方の中には、英語に関する経歴は素晴らしいし、TOEICの点数も900点以上、海外に住んでいらっしゃる、でもトライアルをお願いしたら、翻訳はよくない、という方がときどきいらっしゃいます。つまり翻訳は英語力だけではできないということですね。原語の文章は何を言わんとしているのか、どのように表現したらお客様に伝わるのか、そこは英語力以上のところであり、ある意味、翻訳者としてのセンスでもあります。それを養うためにも、表現法はぜひ磨いていただきたいと思います。

それから、ひとつ翻訳者の皆さんに心がけてほしいことがあります。それは、当然とはいえ翻訳後のチェックを念入りにするということです。ある翻訳者は必ず3度見直しを実行しています。そのことによって品質を高め、ミスがないという大きな信頼感が共有できるわけです。英語なら社内でもチェックできますが、他の言語は翻訳者さんに頼る部分が多くなります。最近はお客様の方が翻訳者よりよくできるケースが多々ありますので、気が抜けません。厳しい時勢の中で生きていくためには、より高い品質をめざす努力が求められています。