ご利用企業インタビュー

(株)ランゲージドキュメンテーションサービス

翻訳の品質レベルを高く維持するためには

産業翻訳、特にIT分野を中心に、例えば日本製のプリンタなどハードウェアを輸出する際に発生するマニュアルの英訳、それらにかかわる契約書などの英訳、反対に海外の製品やサービスを日本に輸入する際に発生する和訳(ローカリゼーション)の翻訳を主に請け負っています。

「ITといってもコンピュータだけではなく、電気や機械の分野が関係してきます。弊社はそうした技術系の翻訳を得意としています。もうひとつ、弊社の特徴を申し上げると、社内で翻訳者を育てる体制を取っていることでしょうか」と代表取締役の星田和惠氏はおっしゃいます。

創業は1980年。星田氏は、以前は大手翻訳会社で翻訳コーディネーターをしていたそうです。「当時は経済が上向きで、翻訳の依頼も多く、かなり忙しく働いていました。そんな中で、コーディネーターとして翻訳者の上げてくる訳文の質にばらつきがあることに気づき、なんとかならないものかと思っていました」

深い理解力と、高い翻訳力を持つ上に努力も怠らない素晴らしい翻訳者との出会いがあり、自分自身がそれだけの翻訳者になるのは難しいだろうと思う一方で、実力に問題のある 翻訳者にもどんどん仕事をお願いしなければならない現状を 改善できないかと感じていたそうです。そして、自身で翻訳会社を立ち上げ、仕事のあり方について模索していくことになったのです。

「すぐには解決策が見つかりませんでした。翻訳の品質についてクレームがついて、クライアント企業まで謝りに行ったこともあります」

試行錯誤をするうちにたどり着いたのが、自社内で翻訳者を育てるというやり方でした。「英語はできるが翻訳の経験がない、という若手をプルーフリード要員として採用していました。あるとき、翻訳者の上げてきた原稿の質が悪く、試しに彼に翻訳してもらったところ、そのほうがよかったんです。それなら基礎力のある新人を採用して、質の高い翻訳ができる人材に育てていこう、そう思ったのです」

英語や日本語の基礎力とやる気さえあれば、むしろ翻訳者としての経験は白紙のほうが、ゼロから育てるには成功しやすい。こうして1992年から毎年1回、適性試験を実施して見習い翻訳者を採用するシステムを始めました。

難易度の高い試験問題で“やる気”を試す

今年度、採用した見習い翻訳者は4名。「1月の書類による応募の時点では約50名でしたが、課題を送り返してきた方は21名、成績上位の方に面接をした結果、4名の方に来ていただくことになりました」

適性試験の問題は、実際に依頼された文書を元に守秘義務に注意しながら作成したもので、難易度が高く、分量もかなり多いといいます。試験問題の制作に関わったプロジェクト・マネージャー新江氏によると「本気度を見るためにも難しめの設定にしています。でも、締め切りまでには土日を3回挟みますから、無理な量ではありません」とのこと。

翻訳者としての実績は採用の際の判断材料にはされません。英語、日本語の基礎能力が高く、ポテンシャルが感じられる人材であればOK。契約社員としてオンサイトで2〜3年仕事を覚え、その後は在宅翻訳者として同社の仕事を受注するしくみなのです。

「毎年1月下旬に弊社ホームページやアメリアのJOBなどで募集をしています。興味のある方は、来年ぜひ受けてみてください」(星田氏)



前から翻訳者になりたいと考えていたのですが、実際には翻訳にまったく関係のない仕事に就いていました。新聞でこちらの見習い翻訳者募集の広告を見つけて応募しました。翻訳のことをまったく未経験の私でも、OJT で教えていただきながら実力を付けていけるというのは、画期的なシステムだと思います。このシステムがなければ、私は翻訳者を目指すことはできなかったと思います。

見習い中ですので、知らないことに対して聞いても怒られることはありません。「わかりません」と言えば丁寧に教えてくれます。在宅翻訳者の方も、見習いから始めた方がほとんどなので、質問すると忙しい中でも丁寧に教えてくれます。まわりから本当に支えられている感じです。あと1年頑張って、念願の在宅翻訳者になりたいと思っています。

訳者を目指して前職を辞め、フェロー・アカデミーで学習中に、アメリアのJOBで求人募集を見つけて応募しました。学習はしたものの、在宅翻訳者としてはまだ未熟だと思い、オンサイトの仕事を探していました。

現在、入社2週間目で、チェックの仕事をしている段階ですが、プロの翻訳者の洗練された訳文に触れられるので、とても勉強になっています。よいところを、ぜひ盗んでいきたいです。



プロジェクト・マネージャー
新江裕吾氏


翻訳者の方には、プロジェクトごとに決まっている作業要件にきちんと従っていただくようお願いしたいと思います。弊社は見習い制度をとっているので、社内にいる間にルールの大切さについても学んでいただくのですが、3年5年と経験を積むうちに慣れが悪い方に出てしまって、クライアントごとに違うルールの細かい点を見落としたり、新しいクライアントの新しいルールに注意を払うのを忘れたり、といったことが出てくるようです。

また、見習い期間中はコーディネーターの業務も担当していただくことがあります。在宅では経験できない、クライアントとの直接のやり取りで、先方の要求を汲み取ることの重要さなどを身をもって経験していただきたいと思います。



プロジェクト・コーディネーター
奈良健二氏

翻訳者の癖というか、この英文には、この日本語訳、と固まってくる方がいらっしゃるようです。同じような英文でも、クライアントによって要求される訳文が違ったりします。自身の癖に気を付けて、クライアントの要求をきちんと把握した訳をしていただきたいと思います。

難しい試験を突破してくる見習い翻訳者の方々は、基礎力は備わっています。社内では、翻訳で使用するツールの使い方を覚えていただきます。何種類かのツールの使い方を覚えていただくのはもちろん、今後新しいツールが出てきても対応できるように、ツールの概念について理解していただくことが重要と考えています。