ご利用企業インタビュー

DNA Media株式会社

DNA Media株式会社デジタルコンテンツ制作とローカライズの二本柱

1999年6月、ローカライズを事業の柱とするカナダの翻訳会社とのジョイントベンチャーとして創設されたDNA Media株式会社。代表取締役の中尾勝氏が出版などマスコミ業界の実績を積んできた人物だったために、コンテンツ開発部とローカライズ部の2部体制で業務を開始しました。

コンテンツ開発部では、企画・プロデュースから、翻訳、デジタルコンテンツ制作までの幅広いスキルを生かして作品制作を一括して受注。例えば、DVD-ROM版『メッツラー音楽大事典』(教育芸術社)では、日本語版権取得に始まり、ドイツ語の原書とDVD-ROMを元に翻訳、そして音響やDVD編集といったエンジニアリングまですべて行っています。他にも、CD-ROM『国宝上杉家本洛中洛外図大観』(小学館)は、国宝である上杉家本洛中洛外図(近世の京都の情景を狩野永徳が描いた絵図)を研究者が容易に検索したり、拡大したり、さらにはメモを書いたりもできるようデジタル化した作品です。

一方、ローカリゼーション・サービス事業部は、IT企業のマーケティングコンテンツのローカライズをメインに請け負ってきました。

「IT企業には、マニュアルだけではなく、ウェブサイトを中心に膨大なマーケティング関連のドキュメントがあります。それらを、日本語力やデジタルコンテンツ制作のノウハウを活かしてローカライズしていくのが、弊社の特長です」(代表取締役 中尾勝さん)

翻訳のみならず制作も一貫して受注

マーケティング関連のドキュメントには具体的にどのようなものがあるのか、中尾さんに伺いました。

「例えば、営業マンがお客様に説明する際の資料、技術者向けに書かれた新しい技術に関する詳細情報、新商品の機能を紹介する映像コンテンツなどもあり、その場合は、翻訳はもちろん字幕制作やナレーション録りも、すべて弊社で行います」

出版不況が深刻ないま、デジタルコンテンツ制作は減少ぎみですが、その分8割以上を占めるローカライズ関係の仕事に力を入れています。

「マーケティング系の文章は、製品やサービスをお客様に向けてアピールするためのものなので、訳文を作るのは簡単ではありません。技術的な理解度に加えて、日本語に磨きをかけるセンスが必要になります」(中尾社長)

さらに新しいところでは、医療関連企業からの依頼で、エンドユーザー向けの商品説明映像の制作、ウェブサイトの制作、韓国語からの翻訳で研究者向けのシミュレーションサイトなども手がけているとのこと。

「技術系スタッフもいますので、ウェブサイトの制作も一括してお受けできます。字幕制作や吹替の台本作りは、ディクテーション・一次翻訳・リライトと段階を分け、翻訳者は質の良い訳文作りに専念し、リライトの担当者に字幕や吹替に詳しい人を配置することで対応しています」(中尾社長)

少数精鋭で日本語の質を重視する

現在、同社のスタッフは12名。技術系スタッフなどを除き、翻訳に従事しているのはこのうち7名です。

「社内で翻訳だけに従事しているスタッフはいませんが、基本的に全員翻訳もできる者ばかりです。普段は主にQA(QualityAssurance)を担当し、外部翻訳者と連携をとって、翻訳の品質を上げるべく努力してくれています」(中尾社長)

翻訳スタッフのほとんどはアメリアの「JOB」からの採用と、フェロー・アカデミーのカレッジコース(全日制・1年間)の修了生だそうです。先輩が後輩を指導する良い流れがようやく出来上がってきたと中尾社長は言います。

登録翻訳者は、適宜募集を行い、書類選考の後にトライアルを実施し、合格者を決定しています。

「登録翻訳者になるためには厳しい試験を課しています。弊社が目指しているのは、翻訳の品質を徹底的に上げること。英語から日本語へのローカライズがメインですから日本語の質にこだわるということです。少数精鋭の翻訳者さんにノウハウをどんどん蓄えてもらい、品質の向上を目指す、というやり方を取っています」(中尾社長)

トライアルでの合格者は10人に1人程度。どんなに原文の読解ができていても、訳文の日本語に不自然なところがあると合格はできません。正しいだけではなく、読みやすい、あるいは魅力的な日本語を書く必要がありそうです。

わが社のここが自慢!

中尾社長が社員に対して常に言っていること。それは「日本語の品質の高さにこだわれ」ということです。日本語に間違いがないのは当たり前、コンテンツの内容、あるいは読者対象に合った表現を使い、キャッチでは人を惹きつける、そんな日本語を目指しています。

「企業の担当者の方とお話をしていると、『翻訳が上がったのはいいが、自分たちで(日本語を)直すのに非常に時間がかかる』とおっしゃられることがよくあります。また、IT系翻訳会社の中には『原文読解が最重要であり、日本語は直訳調でも構わない』というところもあるようです。しかし私の考えはそうではありません。わが社の特長は、企担当者が極力直さなくても済むような、質の高い日本語の訳文に仕上げること。クライアントからも、その点を高く評価していただき、継続的な依頼をいただいています。その品質を維持するため、社内のQAスタッフはもちろんよく理解して取り組んでくれています。しかし一次翻訳の質が悪ければ、社内スタッフがいくら頑張っても満足のいく品質のものは出来上がりません。登録翻訳者の皆さんにも、ぜひ日本語力を磨いてほしいと願っています」(中尾社長)

スタッフからひとこと!

同社に入社して2年目、主にQAを担当している宇都宮千夏さんにお話を伺いました。宇都宮さんは大学を卒業後すぐにフェロー・アカデミーのカレッジコースに入学。1年間、翻訳について幅広く学び、修了後すぐに同社に入社したのだそうです。

「コースが終わる頃には、産業翻訳の仕事をしたいと気持ちが固まっていました。入社前に会社の方針として『日本語の質を重視する』と聞き、私自身、文章を書くのは昔から好きで、日本語力をもっと磨きたいと思っていたのでこちらの会社を希望しました」

最初はIT用語や文書のスタイルなどを覚えるだけで精一杯だったという宇都宮さん。しかし、自分がチェックした原稿を先輩に見てもらったり、先輩がチェックした原稿を見たりするうちに、少しずつどのような最終原稿に仕上げればよいかが見えてきたといいます。

「まだまだ勉強の毎日ですが、後輩も入ってきて、今度は私が後輩がチェックした原稿を直す立場になりました。他の人の間違いを直すうちに、間違えやすいポイントなどがわかってきて、教えることもまた自分の勉強になると感じています」

登録翻訳者の訳文を数多くチェックしてきた立場から、何か感じていることはあるのか、尋ねてみました。

 

「IT翻訳の場合、解釈が正しければ直訳調でもかまわない、と考えている翻訳者さんもけっこういるのですが、中には日本語として読んだときに自然かどうかを常に意識して訳文を書いてくださっているなと感じられる、そうした跡がうかがえる原稿を送ってくる翻訳者さんもいらっしゃいます。そんなときは、またこの方にお願いしたいな、と思いますね」

翻訳スタッフ、左から多田さん、宇都宮さん、伊藤さん。フェロー・アカデミー出身の先輩後輩トリオです

翻訳スタッフ、左から多田さん、宇都宮さん、伊藤さん。
フェロー・アカデミー出身の先輩後輩トリオです