ご利用企業インタビュー

株式会社ウィズウィグ

株式会社ウィズウィグ科学分野のテクニカル・ライティングから医薬翻訳へ

1994年に有限会社として設立されたウィズウィグは、宇宙科学や物理、地球環境などに関するNASA宇宙文献書誌や抄訳データベースを制作する業務からスタートしました。代表取締役の安藤惣吉氏が、マニュアル制作を請け負う会社で長年テクニカルライティングに従事していた経験から、そのノウハウを生かしての会社設立でした。

「会社設立当初の主な仕事は、科学的なデータをまとめる学術抄録でした。仕事の量が増え、分野が広がり、内容がさらに高度なものになっていったので、株式会社化した1996年ごろからは科学分野に長けた者を積極的に採用し、科学の知識とテクニカルライティング技術の両面からアプローチして、お客様のニーズに幅広く答えられるように社内の体制を整えました」(安藤社長)

仕事が順調なときにこそ、次のことを考えようということで、1995年には多国語翻訳事業を開始し、翌1996年に医学・薬学翻訳事業を本格的にスタートさせました。「社内には科学、医学に詳しい者、医師の資格を持つ者もいましたし、言語学に詳しい者も揃っていました。そのリソースを生かして医薬を中心に翻訳をやろうと決めました。以来、今でも医薬翻訳と宇宙科学を弊社の業務の大きな柱としています」(安藤社長)

医療系の文書翻訳を中心に特許の分野まで

社員は現在130名ほど。翻訳に関する部署としては、メディカルドキュメント部と特許部があります。

メディカルドキュメント部では、製剤、製造、非臨床、臨床試験から、市販後に関連する文書まで、製薬会社から依頼されるあらゆる文書を翻訳するほか、医薬関係の学術論文、医療機器のマニュアルなどの翻訳も行っています。日英・英日翻訳が9割以上、登録翻訳者は150名ほどで、うち50名ほどは常時稼働している状態だといいます。

一方、特許部では、製薬会社の特許出願書類のほか、特許庁からの依頼で各国語の特許文献を訳す仕事を受けています。「国際特許出願の言語は英語かフランス語なので和文英訳がほとんどですが、文献翻訳になるとギリシア語、フィンランド語、チェコ語など、さまざまな原語から日本語への翻訳依頼があり、これまでに19 カ国語の実績があります」(取締役 渡部和郎さん)

同社が積極的に多言語に取り組むようになったのには、わけがあるそうです。

「英語以外の翻訳になると中身の学術的理解ができておらず誤訳も少なくない、とクライアントが困っている声をよく聞きました。そこで弊社では、英語以外の言語でも誤訳をなくし、専門家のチェックで間違いのない翻訳物を納めるという独自のスタイルを確立しました」(安藤社長)

翻訳力はもちろんコミュニケーション能力も重要

登録翻訳者は、同社HP やアメリアWeb サイトの「JOB」を通して募集し、トライアルを実施しています。

「トライアルはメールから始まりますが、ここで既に社会人としての常識が試されています。中には『いずれこの人と仕事をするようになったときに、質問メールを送ってもきちんと答えてくれないのでは?』と懸念してしまうような文面に出合うことがあります」(メディカルドキュメント事業部部長 川原早霧さん)

トライアルは訳文だけを見られているのではありません。仕事のパートナーとして、うまくコミュニケーションが取れる人物かどうかも判断されています。

「見直す時間も十分にあるトライアルでは完璧に仕上げていただきたいです。ここでケアレスミスをしていたのでは、締め切りの厳しい実際の仕事でも同じようなミスが出ることが多く、翻訳の信頼性に関わってしまいます」(川原さん)

同社では、トライアルで合格ラインに達しなかった人でも、やる気とある程度の実力があれば「指導合格」としてメールや来社による翻訳指導を実施する場合もあるといいます。

「業界にとって必要な翻訳者を育てるのも重要なこと。真剣に取り組んでくれる方には学びの場を与えたい。そこから育って弊社の契約社員になった方もいます」(安藤社長)

わが社のここが自慢!科学知識と実務の融合でクライアントに貢献

ウィズウィグというちょっとユニークな社名は、DTP用語の「WysiWyg(What You See Is What You Get)」から来ています。印刷物を制作する際、ひと昔前は文字と写真やイラストが別々に進行していましたが、コンピュータが一般化しDTPが主流になると、画面上で仕上がりイメージが見られるようになりました。それを業界用語で"WysiWyg" と言ったのだそうです。

「制作物をお客様に見せたとき、品質の良さが一目でわかる、そんな仕事をしていこうという思いと、会社設立時にテクニカル・ライティングのスキルが基礎となったことを残しておきたいとの思いから、この言葉を社名に採用しました」(安藤社長)

そして、科学的な知識を集結した専門部隊と、クライアントからの依頼に効率よく対応していくコーディネーターらの実務部隊を充実させ、それらが融合してうまく機能するようになったことが同社の最大の強みだといいます。

「文章をただ訳すのではなく、目的や主旨、さらには元の文を書いた人が何を強調したいと思っているかをつかんだうえで的確に訳すことが重要。それはサイエンスのバックグラウンドがあるからこそできることなんです」(渡部さん)

「さらに、同じようなドキュメントであっても、取引先によってルールは違います。翻訳はうまいがルールに沿っていない、となると商品としてはダメ。翻訳としてお客様が赤字を入れる必要のないものを作る、それがわが社が目指すところであり、その実現のために尽力してくれているのが専門部隊と実務部隊の融合なのです。」(安藤社長)

スタッフからひとこと!

実際に登録翻訳者さんとやり取りをしている各部署の方々に、ともに働くパートナーとして翻訳者の方々に対する要望を話していただきました。

「翻訳者さんが考える“よい翻訳”とクライアントが求める翻訳は決して同じではないと感じることが時々あります。たとえ文法的に正しい翻訳であっても、クライアントが指示した表現や用語を使っていなければ、決して“よい翻訳”ではないのです。常に『この仕事でクライアントから求められているものは何だろう?』と考えながら取り組んでいただきたいです。クライアントから提供された参考資料では、「および」なのか「及び」なのかなどの用語や表現などを確認し、「あのときはこうだったから、これでいい」ではなく、「今回はどうなのか」という視点で参考資料を使用していただけると助かります。」(川原さん)

「私は営業として常にクライアントから直にご意見を伺う立場にあります。日付の書き方や、漢字・ひらがななどについての指定があった場合、それを守ることも「翻訳」の一部であって、それが守られていないものは「誤訳」と同じ扱いになってしまいます。そのような細かいところも重要だと認識して取り組んでいただける翻訳者さんと仕事をしていきたいと思っています」(営業部課長 天井しのぶさん)

「どんな翻訳でも同じだと思いますが、自分が訳した文章を最低でも2回は見直してほしいと思います。当たり前だと思われる方もいるでしょうが、実際に『見直していないんじゃないか』と思える訳文がけっこう多いのです。訳ヌケはないか、数字の間違いはないかなどをチェックし、内容の整合性が取れているかどうかを見る、これだけでも2回の見直しが必要なはずです」(渡部さん)