ご利用企業インタビュー

株式会社エイブス

株式会社エイブスいち早くTradosを導入して顧客ニーズに応える

株式会社エイブスは今から16年前の1996年にIT・ローカライズを専門とする翻訳会社として設立されました。当時、普及し始めたばかりの翻訳支援ツールTradosをいち早く導入して翻訳体制を整えると同時に、主にIT企業向けにTradosが使える人材の派遣・紹介サービスもスタートさせました。また、翻訳、人材派遣・紹介の両方において必要な人材を育成するために技術翻訳スクールも開講しました。

「当時、IT系の翻訳会社さんから"Tradosを使える翻訳コーディネーター、プロジェクト・マネージャーがほしい" というニーズが高く、ポテンシャルのある人材には無償でTradosの実務研修を実施し、派遣社員や正社員などさまざまな形で人材をご紹介していました。最近は特許英訳のプロ養成に力を入れています」(人材コンサルタント部長 菱沼建太郎さん)

現在ではTradosはIT分野では一般的になり、人材育成のニーズはなくなりましたが、常に時代の先を読み、クライアントのニーズに合わせたサービスを提供するという姿勢は変わっていません。ITをベースに、翻訳部門では10年ほど前から医療機器に関する翻訳も受注するようになりました。さらにITの中でもセキュリティ、通信など特定の分野の強化も始めています。また昨年秋には中国大連に複数の翻訳会社とともに合弁会社を設立しました。

「中国系IT企業様からの新規のお問い合わせが増えてきたことをうけて、中国における拠点を作りました。また信頼できるベンダーなど取引企業を拡大し、増加する需要に備える意味合いがあります」(菱沼さん)

IT全般を網羅しつつセキュリティに特化したチームも

ドキュメント部門では、IT系と医療機器の2つの分野のプロジェクトを担当していますが、2年前にIT分野でセキュリティに特化したチームを立ち上げました。

「会社としての独自性を打ち出したいと模索していたのですが、セキュリティ分野のバックグラウンドがあるスタッフがいたことがきっかけになり、まずはこの分野から強化することにしました」(ドキュメント部 プロジェクトマネージャ 杉浦理紀さん)

セキュリティ分野の翻訳とは、例えばセキュリティソフトのヘルプファイルやマニュアルといった一般ユーザー向けの文書や、ウィルス対策や社内LANの運用などに関わるセキュリティ技術者向けの文書などがあります。

「2年前のチーム立ち上げ時に外部登録翻訳者を募集しましたが、通常のトライアル合格率が10〜20%なのに対し、セキュリティ分野に特化したトライアルでは合格率が3.5%と非常に厳しい結果になりました」(杉浦さん)

特定の分野に特化しているだけに、セキュリティに関わるシステム構造の理解など深い知識が求められ、合格率が下がったようです。

現在、ドキュメント部門は、月間約80〜90万ワードの処理を、プロジェクトマネージャー4名、最終品質管理者(QC)3名、オンサイトチェッカ ー1名、DTP担当1名の合計9名と在宅チェッカー約15名で行っています。登録翻訳者の数は約100名、うち常時稼働している人数は30〜40名。登録翻訳者は主に同社のHPを通して募集しています。

翻訳者派遣はIT系企業を中心に金融系も

人材派遣・紹介の部門でも、派遣先、紹介先の中心を成すのはIT系企業で、その他、金融系、医療・医薬系企業にも太いパイプがあります。ここ数年で伸張著しい分野は金融や財務、IR関係だそうです。

「金融分野では大変優秀な通訳者さんを多数登録させていただいている反面、翻訳者さんは数的にまだ十分ではありません。引き続き人材を募集しているところです」(菱沼さん)

同社では、翻訳・通訳などの高いスキルを要求される、専門業務に特化した人材派遣・紹介を主に行っており、簡単な英文事務のみといった派遣は全体の1〜2%ほどしかないといいます。

「IT 分野のほうの最近の傾向としては、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を運営する企業からゲームアプリケーションに詳しい翻訳者・通訳者の紹介依頼が増えています。即戦力となる人材を早急に増員したいというご希望が多く、日頃からSNSやゲームに慣れ親しんでいることが採用の際の条件のひとつとなります。また、スマートフォンに代表される情報通信分野の企業からの依頼も多いですね」(菱沼さん)

派遣登録の募集は、同社のHPのほか、アメリアの「JOB」でも行っています。

「登録だけを促す手法は、お互いにとってメリットがないと思っています。登録される方は、今まさに仕事を探しているわけですから、タイムリーに紹介できる仕事がないと意味がありません。ですから「JOB」での募集の際も特定の案件を具体的に掲載するようにしています。結果的にその案件をご紹介できなくても、条件を伺っておいてそれに類似した案件をなるべく早くご紹介するようにしています」(菱沼さん)

わが社のここが自慢!万全のセキュリティで在宅勤務を可能に

IT分野の中でもセキュリティに特化したチームを立ち上げたという同社ですが、自社のセキュリティシステムにおいても特筆すべき点があるといいます。

「以前から社内にサーバーを設置して、その案件に関わる社内スタッフはサーバーにアクセスして仕事をするというスタイルを取っていましたが、例えば在宅翻訳者・チェッカーなどが外部から社内サーバーにアクセスすることは、セキュリティ上、控えなければなりませんでした。昨年の震災を経て、社内のサーバーをより安全な場所に移行させる計画が持ち上がり、複数あったサーバーを一元化してデータセンターで管理するように方針を固めました。さらにお客様により安心して依頼していただけるように、外部スタッフがアクセスしてもデータが流出するようなことが起こらない、より強化したセキュリティシステムの構築も同時に行い、半年の試用期間を経て今年の冬から本格的に稼働しています」(杉浦さん)

それにより、以前はオンサイトで仕事をしていたチェッカーの大半は在宅勤務が可能になったそうです。

「外部からアクセスしても、社内で仕事をしているのとまったく同じ環境で行えるようになりました。翻訳支援ツールなどはすべて最新版がサーバーに揃っていますので、翻訳者やチェッカーが各自で持つ必要もありません。いつでも最新のメモリーを使って翻訳することが可能です。そして、セキュリティに厳しいお客様からの依頼も自信を持ってお受けすることができるようになりました」(杉浦さん)

スタッフからひとこと!

翻訳する際の時間配分も重要

ドキュメント部門をまとめる杉浦さんは、同社のトライアル採点のほか、複数の翻訳会社で共同主催する「ITソフトウェア翻訳士認定試験」の出題や採点も担当されています。

「弊社のトライアルも認定試験もどちらも制限時間があり、課題を送付してから5時間で翻訳していただきます。その採点をしていて思うのは、提出する前に見直しをする方が少ないということです。訳文自体は悪くないのに、イージーミスが目立つのです。いくら訳文がよくても、ミスが多ければ実際に仕事を依頼するわけにはいきません。原因はおそらく5時間すべてを翻訳に使ってしまい、見直す時間を取っていないからでしょう。例えば翻訳は4時間でして、あとの1時間はチェックに回すなど時間配分を考えて取り組むようにしていただければよいのではないかと思います。そのためには翻訳スピードを上げる訓練も必要かもしれません。翻訳者は翻訳はもちろん、ミスなく仕上げることも仕事のひとつです。実際の仕事でもトライアルでも心がけていただければと思います」(杉浦さん)

菱沼さん(後列右端)、杉浦さん(前列右端)とドキュメント部のスタッフの皆さん