ご利用企業インタビュー

株式会社ポリゴン・ピクチュアズ

株式会社ポリゴン・ピクチュアズCG制作会社の先駆け的存在

コンピュータで人物や背景を作り上げ、プログラムにより動かすことで動画に仕上げるCG(Computer Graphics)。来年、会社設立30周年を迎える株式会社ポリゴン・ピクチュアズは、この業界の先駆け的存在です。現在スタッフは約330名、うち1割は外国人。業界でも珍しい完全分業制で、CG アニメーションの大作の数々を生み出しています。

「最近、当社が手がけた作品としては、アメリカのディズニーXDで放映中の『トロン:アップライジング』があります。同じくアメリカのHUB(ハズブロ)チャンネルで放映中のテレビシリーズ『トランスフォーマー プライム』はテレビ界のアカデミー賞といわれるデイタイム・エミー賞を受賞し、今年4月からは日本でもテレビ東京系で放映されています。また日本を代表するアニメーション作家、山村浩二監督作品の『マイブリッジの糸』は当社が共同製作しました」(経営管理部南家真紀子さん)

同社で翻訳・通訳者が活躍するようになったのは、今から7年ほど前からだそうです。

「以前は国内クライアントが多かったのですが、徐々に海外クライアントが増えはじめ、それに合わせて社内にトランスレーションチームを新設しました」(経営管理部部長 祝迫美穂さん)

現在、トランスレーションチームは総勢7名。CG 制作過程で発生する翻訳・通訳を一手に引き受けています。

翻訳・通訳力とともに実務能力が重要

同社のトランスレーションチームが担当するのは、社内翻訳・通訳です。翻訳者と通訳者の区別はなく、7名全員が翻訳・通訳の両方をこなしています。

「クライアントは主に米国企業ですので、送られてくる指示書はすべて英語。これを日本人スタッフ向けに和訳します。クライアントとの電話会議やWeb会議の通訳、さらに社内にも世界中から集まった外国人クリエイターがいるので、彼らが出席する会議にはすべて通訳に入ります。また一部の映像制作作業を外注に出していますが、外注先はアジア方面が多く、指示書や会議の言語は英語で、ここでも翻訳・通訳の業務が発生します」(経営管理部 トランスレーションチーム リーダー 小澤貴司さん)

翻訳する書類は、スクリプト、絵コンテ、デザインに関する指示書、クライアントからのフィードバック、技術文書などです。また、会社運営上必要な、クリエイターとの契約書、ビザ取得のためのドキュメント、業務規程、プレスリリースなどの翻訳も発生します。さらにフェイスブック、ツイッターで告知する際の英訳もあります。

「完全分業制を取っており、1本の作品を多人数で作っているので、部署間やクリエイター間のコミュニケーションが非常に重要です。作業の引き継ぎがうまくいかないと制作が滞ってしまいます。ですから翻訳・通訳者は円滑にコミュニケーションを取るための潤滑油のような存在でもあるんです」と南家さんは言います。

翻訳・通訳者はプロジェクト単位の担当制

基本的に、各CG制作プロジェクトには、1、2名の主担当となる翻訳・通訳者が決められます。

「会議は『この間の続きなんだけど』といった言葉で始まることもあります。毎回、通訳者が違うと、そのような内容についていけません。一方で、同じプロジェクトの会議が同時刻に2つ行われることもあり、担当ではない通訳者が入らざるを得ないこともあります。そこで、メインの担当者が常にプロジェクトの進行具合を把握し、週1回のチームミーティングや共有文書などで、情報の風通しをよくするようにしています」(小澤さん)

翻訳・通訳者がそのプロジェクトに深く関わったと認められた場合、制作スタッフの一人として作品のエンドクレジットに名前が出ることもあるのだそうです。

スタッフ330人に対してトランスレーションチーム7名では対応しきれないこともあり、社内特化な内容ではなく、ある程度まとまった翻訳作業については、登録翻訳者に依頼します。

「主に対応いただいている登録翻訳者数は現在8名ほどです。主にアメリアで求人を行い、トライアルと電話インタビューによって採用させていただきました。幸い、今のところ皆さん長く続けてくださっていますが、欠員が出たり、大きなプロジェクトが発生して翻訳者が足りなくなったら、また募集をしたいと思っています」(小澤さん)

稀に、制作したDVD に字幕を付けるといった翻訳も発生しますが、基本的には仕事の内容は実務系。コミュニケーション能力や一般的なビジネス知識も非常に重要です。

CG アニメーション制作の分業制とは?

トランスレーションチームが行う翻訳・通訳の仕事は、CG アニメーション制作の全工程に及びます。下記の1〜7がCG 制作の大まかな工程ですが、完全分業制なので各工程で作業を完結させ、次の部署へと引き継ぎます。各部署内および部署間のコミュニケーションにおいて、翻訳・通訳業務が発生します。

  1. 演出:シナリオを執筆し、絵コンテを描いて、全体のイメージや時間配分などを考えつつ、カメラワークを決める。
  2. デザイン:キャラクターや背景をデザイン画に起こす。
  3. モデリング:デザイン画(2D) を元に立体的な形状(3D) を作り、物体に質感を加える。
  4. リギング:モデリングされた形状にジョイント(骨)を入れる。
  5. アニメーション:アニメーターがジョイントを動かすことで体の動きや表情などの演技を付ける。
  6. エフェクト:水しぶきや爆発、煙、雷などのさまざまな特殊効果を加える。
  7. ライティング&コンポジット:設定や演出に合った陰影を施し、すべての要素を合成する。ここでようやく3D データが画像化される。
  8. 編集:画像化された映像を編集し、色調整や場面転換効果などを加える。

※ 海外顧客のプロジェクトでは、ほとんどの場合、シナリオやデザインは支給され、3のモデリングから行う。

スタッフからひとこと!

好奇心旺盛で調査力のある方を求めています

同社が求める翻訳・通訳者像を、チームリーダーの小澤さんに伺いました。

「まず社内スタッフについては、アニメーションという専門分野を扱いますが、実写を含めた映像全般に興味がある方が望ましいです。それだけではなく、社会人としての一般的なビジネス知識、コミュニケーション能力も必要になってきます。また、制作現場は創造的で流動的な環境なので、わりと突発的なことが起こる仕事環境だと思いますが、冷静に受け止めて対処できる人がいいですね。登録翻訳者の場合は、好奇心が旺盛で、調査することを面倒くさがらない人です。新しいことがたくさん出てくると思いますので、どの分野でも同じかもしれませんが、学習することを厭わないことが重要です」(小澤さん)

CG アニメーションを作る工程での翻訳・通訳ということで、専門的な言葉やクリエイターならではの独特な表現に出くわすこともあるそうです。

「あるプロジェクトで、米国のあるCG スーパーバイザーが『この爆発シーンにはshark bits が欲しい』と言ってきました。実はこれは、映画ジョーズの最後のシーンで、ジョーズが爆発して木っ端みじんになる、そのシーンを思い描いて言った言葉でした。つまり、あのような爆発の破片が欲しいと。このようにクリエイターは自分の頭の中にあるイメージを、何かに例えて言うことがよくあります。聞いたことのない表現で、辞書にも載っていないし、ネット検索しても出てきません。状況が許せば本人に何のこと?と聞いてしまいますが、そういうことにも興味を持って対応できる人が向いていると思います」(小澤さん)

最後に小澤さんに、この分野の専門的なことを学ぶためにお勧めの書籍などないか尋ねてみました。

「『CGWORLD』という月刊誌があります。かなり専門的なことも取り上げられているので、勉強になると思います。同誌はボーンデジタルという会社から発行されているのですが、他にもデジタル技術に関する翻訳書を出しています。興味のある方は読んでみてください」

トランスレーションチームの皆さん。
後列右より小澤さん、サラさん、ジョセフさん、デイビッドさん、
前列右より、山口さん、向山さん、橘谷さん