ご利用企業インタビュー

株式会社リリーフ・システムズ

株式会社リリーフ・システムズ分冊百科の翻訳から編集プロダクションに

リリーフ・システムズの設立は1987年、今から26年前のこと。以前から翻訳業界に身を置いていた代表取締役の森井春樹さんが独立起業し、産業翻訳を請け負う翻訳会社をスタートさせました。当時の翻訳業界では、大手企業が参入し、大型コンピュータを使った機械翻訳の開発プロジェクトが盛んに行われていました。同社もコンピュータ企業が牽引するプロジェクトに参加していましたが、ご存じの通り機械翻訳は成果を上げることができずに間もなく衰退。起業3年目にして再出発を強いられることになりました。

ちょうどその頃、声が掛かり受注することになった仕事が、イギリスの出版社が出している分冊百科の翻訳でした。分冊百科とは、百科事典の中から例えば「動物」「植物」などのテーマを取り出し、さらにそれを1冊30ぺージほどの小冊子にして定期的に発行、すべてを集めると百科事典になるというものです。今ではさらにテーマが細分化された分冊百科が日本でも数多く発行されていますが、その始まりはちょうどこの頃、海外で出版された分冊百科の翻訳ものだったのです。

この分冊百科の翻訳を契機に、出版翻訳のほうに転換し、現在では翻訳書も和書も手掛ける編集プロダクションとして幅広く業務を行っています。また、その後DTPも社内で行えるようにし、出版社の依頼で編集から印刷所への納品まで、すべて一括して請けられる体制を整えています。

ノンフィクションを中心に実績多数

ここ最近は、編集を担当する単行本が年間50〜60冊のペースで、翻訳書はそのうち10〜15冊です。分冊百科は週刊、隔週刊などさまざまですが合わせて年間100冊程度、すべて翻訳書です。翻訳ものに関しては、単行本はビジネス書、自己啓発書、軍事、犯罪、美術、歴史などのノンフィクションもの、子ども向け事典などです。分冊百科では、航空機、武器、恐竜など16タイトル以上の制作実績があります。

翻訳書の場合は、出版社が既に版権を取った本の編集を依頼されるケース、出版社が翻訳出版を検討している原書のリーディングから受け、出版が決まったら編集を受けるケース、翻訳者さんからの持込企画を出版社に売り込むケースがあるそうです。

「最近は出版点数が横ばいの状況なので、これまでに依頼したことがある翻訳者さんに頼むことがどうしても多くなりますが、リーディングの場合は、翻訳者さんが忙しくてお願いできないこともあり、過去にアメリア会員の方から募集したこともあります。あるいは翻訳講座の講師もなさっている翻訳者の方からの紹介で、その生徒さんにお願いすることもあります。その際のレジュメがよければ、下訳をお願いするなど段階を踏んで、その後、翻訳者として1冊お願いした方もいらっしゃいます」(編集部 佐藤千賀子さん)

得意分野はぜひアピールを

スタッフは森井社長以下、総勢7名。編集4名、DTP2名で、編集の4名は和書も翻訳書も担当します。翻訳者はすべて外部スタッフです。

「翻訳者さんにとって、翻訳プロダクション経由の仕事の良さのひとつは、版元と翻訳者の間に私のような編集者が入ることではないでしょうか。出版社とのやり取りはこちらで行うので、ちょっとした間違いは編集の段階で正すなど、クッションのような役割ができると思います」(佐藤さん)

できるだけ出版翻訳に慣れた翻訳者に依頼したいという思いがありますが、これまでにも初めての方を採用して、仕事をしながら慣れていってもらったということもあるそうです。

「今までに経験のない分野の依頼が来ることもあり、そういうときはアメリアの『会員プロフィール検索』を活用させていただいています。例えば、スウェーデン語の旅行本のチェックの依頼があった時は、『会員プロフィール検索』を通してスウェーデン在住の方にお願いしました。軍事ものの本の翻訳の際には、さすがに「軍事」のキーワードではヒットがなかったので、「航空機」など関連の言葉で少しでも馴染みのある方はいないかと探しました。現在、約2000名の方がプロフィールを登録されているようですが、もっと多くの方に登録していただきたいですね」(森井さん)

わが社のここが自慢!きめ細やかな編集から、印刷所への対応まで

翻訳から編集、制作、そして印刷所への納品まで一括して引き受けられることが同社の大きな特長のひとつです。

「大型本の図鑑などは海外で印刷することも多く、その場合、英語でのやりとり、また日本とは違う印刷事情への対処などが必要です。弊社はそのような実績が多く、印刷所への納品までのすべてをお任せいただいています」(森井社長)

また、社内にDTP スタッフがいて、編集者と組んで本作りができることも、特長のひとつといえます。

「例えば、翻訳のビジネス書の場合は、日本の事情に合わない部分を省いたり、タイトルを付け替えたりと、さまざまな編集作業が発生しますが、それらもすべて含めて受注しています。読みやすさを重視して、文字の種類はこれにしよう、行間はこのくらいに、強調する部分に色を付けよう、など社内にいるベテランのDTPスタッフと一緒に細かい調整をしながら、読者にうまく伝えられるように作り込んでいくことができます」(佐藤さん)

また、出版不況が叫ばれて久しく、そのなかで生き残っていくためには、今後の戦略も重要です。

「今後の電子書籍化の波に乗り遅れないよう、社内の体制は整えています。電子書籍のメリットは、ある程度まとまった部数を刷らなければならない紙の書籍とは違い、少部数でも発行が可能なので、多言語へのローカライズがしやすいことではないかと思います。その際、翻訳者は絶対に必要です。多言語の翻訳需要が電子書籍になると増えるのではないかと思っています」(森井さん)

スタッフからひとこと!

本の仕上がりを想定する力をつけてほしい

「よく翻訳に必要なことは、原文の理解力とターゲット言語の表現力、あとは常識や調べものの能力といわれますが、出版分野の翻訳者を目指す方には、それをベースとして、さらに本をよく理解する力をつけていただきたいと思います。原書を1冊渡されたときに、これが日本語になったらどういう本になるのか、どういう読者が読むのかを想定できることが大切だと思うのですが、意外にそのような全体の把握をせずに、1文1文を頭から訳そうとする方が多いような気がします。抽象的な言い方ですが、本1冊の仕上がりをきちんと想定できる方は、訳文にそれが出てくるように思います。それができるようになるためには、やはり本をたくさん読むこと、いろいろな経験をすることが大事ではないでしょうか」(佐藤さん)

分冊百科の翻訳や、あるいは1冊の本でも図鑑などの大型本を短い期間で仕上げるときは、複数の翻訳者に依頼して分担して訳してもらうこともあるといいます。

「当然のことながら、経験も実力も皆さんさまざまです。また次回もお仕事をお願いしたいなと思う方は、もちろんお人柄もありますが、それよりもやはりどれだけ仕事をきちんとしてくれるか。先に申し上げたように、本の出来上がりを想定して訳してくださるかが重要ですね」(佐藤さん)

「それから、英語の成績がよければ翻訳がうまいというわけではありませんが、それでもこれまでの経験上、TOEIC 900点以上というのが、やはりひとつの安心材料になります。アメリアの『会員プロフィール検索』から打診する場合などは、これをひとつの目安としています」(森井さん)

〜同社が編集した書籍紹介〜

『ビジュアルディクショナリー 英和大辞典』『ビジュアルディクショナリー 英和大辞典』
DK&日東書院本社編集部編
日東書院本社

* 宇宙の成り立ちから最先端技術までを和英二カ国語表記で解説。


『「つながり」力』『「つながり」力』
ジョン・C・マクスウェル著 上原裕美子訳
辰巳出版

* 著者が自身の経験から学び獲得したコミュニケーションの技術を紹介する一冊。



『「ありのまま」という才能』『「ありのまま」という才能』
ロブ・ヤン著 二宮千寿子訳
辰巳出版

* 自分の長所を生かし、弱点を長所へ導くことを目指した指南書。