ご利用企業インタビュー

株式会社集英社クリエイティブ

株式会社集英社クリエイティブ世界の名作文学の翻訳書編集に多数の実績

2012年10月、アメリア協力会社の綜合社が創美社と統合し、新しく集英社クリエイティブとなりました。綜合社は1967年に設立された編集専門の会社で、主に海外文芸作品の翻訳書の編集を手掛けてきました。1995年に集英社の関連会社となり、その後に新たに現代用語辞典『imidas』の編集もはじめ、現在はインターネット百科事典「imidas.jp」のサービスを提供しています。創美社も同じく集英社の関連会社で、主にコミックスや全集ものの編集を手掛けてきました。集英社クリエイティブに統合後もそれぞれの事業は継続され、翻訳書編集部も含んだ書籍編集部、imidas 編集部、コミックス編集部の三本柱で出版事業に携わっています。

このうち翻訳書編集部のスタッフは6 名で、綜合社時代から引き続き、集英社からの委託による集英社文庫などの翻訳書の編集を業務のひとつとしています。

「本作りには企画の段階から参画し、提案した企画が承認されると編集業務を一括受託しています。かつて世界文学全集を多く手掛けていたこともあり、文学作品の編集実績が比較的多いです」(翻訳書編集部 安田沙絵さん)

集英社文庫のラテンアメリカ文学シリーズや、『神曲』『ユリシーズ』などのヘリテージシリーズ、また第47回日本翻訳出版文化賞を受賞したフランス文学 『慈しみの女神たち』など、数々の名作を手掛けています。

新たなジャンルにも積極的に挑戦を

名作と呼ばれる文学作品の翻訳書編集に定評がある一方で、新会社への移行を契機に、これまであまり手掛けてこなかったジャンルも含めて、幅広い分野で本作りをしていく方針を同社では打ち出しています。

「集英社文庫では、今年1月に映画の原作本『世界にひとつのプレイブック』を手掛けました。出版不況が叫ばれる昨今ですが、映画に関連する書籍は注目度も高く、読者から一定の支持を得ています。文学作品同様、このようなジャンルも引き続き検討していきたいと思っています」(取締役 木下博通さん)

また、委託編集の書籍をこれまで通り続けていくのと並行して、自社出版の本も増やしていく予定だといいます。その第1弾として2012年11月に『IKEA モデル』という本が刊行されました。

「これまで弊社ではあまり多くは扱ってこなかったビジネス書のジャンルです。また、春には新しい文庫シリーズを立ち上げる予定もあり、今後もどんどん新たな試みにチャレンジしていきたいと思っています」(木下さん)

その一環として同社では、電子書籍の発行にも積極的です。

「今年は日本でも電子書籍が広がるのではないかと予想しています。新文庫シリーズでは基本的に紙の本の発売と同時に電子書籍も出していきたいと考えています」(木下さん)

新しい翻訳者、リーダーの発掘にも積極的

翻訳書編集部の安田さんに、翻訳者への仕事の依頼について、どのように進めているのかを伺いました。

「綜合社時代を含めると46 年間も翻訳出版に関わってきていますので、多くの翻訳者の方とお付き合いがあります。新しい本の編集にかかる際には、まずは過去にお仕事をしたことのある翻訳者さんの中で、この作品に適した方はいないかと編集部内で話し合うことが多いですね」(安田さん)

ただ、新しい分野の作品に取り組むときは、以前から付き合いのある翻訳者に限らず、その分野により相応しい翻訳者を幅広く探すようにしているといいます。

「新しい翻訳者さんは、既に翻訳出版されている本を読んで探すことが多いです。基本的には、探している分野の他社の既刊本を読んで参考にしますが、ときには別の分野であっても読んでいて『この方にお願いすれば面白いかも』と感じて、実際にお願いすることもあります」(安田さん)

リーディングの依頼では、これまでもアメリアを通してリーダーを募集し、仕事の依頼をしていただいています。

「皆さん、とても優秀で、ツボを押さえた読みやすいレジュメを作成してくださり、助かっています。最近では、独・仏・西語など英語以外の言語の依頼をすることも増えました。英語であれば、得意ジャンルがあり、同ジャンルの作品と比較検討のできる方に、ぜひお願いしたいですね」(安田さん)

わが社のここが自慢!この春、自社発行の新文庫シリーズが誕生!

会社統合を機に、これまで以上に幅広い分野の本作りに挑戦していこうという同社。そのうちのひとつとして、今年1月4日に自社発行の『ベアード・トゥ・ユー』を刊行しました。編集担当の安田さんにお話を伺いました。

「昨年、アメリカで発売されると同時に話題になり、多言語に翻訳されて全世界を席巻した“エロティカ”と呼ばれる作品です。女性向けに書かれた官能小説で、欧米には元々あったジャンルですが、ブーム以降、最近はいわゆるロマンスの要素を含む作品が多く、私たちは“新時代エロティカ”と銘打っています。小説としてストーリーもしっかり描かれていて、読み物として楽しんでいただけると思います」(安田さん)

ロマンス小説の編集は初めてだったという安田さん。翻訳者の中谷ハルナさんと二人三脚で試行錯誤しながら作り上げたといいます。

「特に官能シーンは、単に美しく仕上げようとすると、ありきたりの表現になってしまいます。美化しすぎずに原作の持つ面白さを最大限に引き出せるよう、翻訳者さんと相談しながら作り上げていきました」(安田さん)

ロマンス小説の新風として期待される新時代エロティカの作品。同社では春から新たな文庫シリーズ“ベルベット文庫”を立ち上げ、毎月新作を刊行していく予定です。

スタッフからひとこと!

読書で日本語の語彙力を増やしてほしい

今回、新時代エロティカという、新しいエンターテインメント作品の編集を手掛けた安田さんに、このジャンルの翻訳の難しさ、やりがいを伺いました。

「これまであまり官能小説を読んだことのない女性読者がいかに感情移入して読めるかが、このジャンルの翻訳のポイントだと思っています。なかでも気をつけたのが会話文です。登場人物が話す言葉に違和感があると、読者はそこでさめてしまいます。テンポ良く、自然に読める会話文になるよう、何度も推敲を重ねました。現代が舞台の作品で会話文をリアルに生き生きと書くためには、漫画を読むのもとても参考になると思います」(安田さん)

また、ジャンルを問わず文芸翻訳を目指す方に向けて、アドバイスをいただきました。

「翻訳者を目指している方には、とにかくたくさん本を読んでほしいと思います。原書を読むことも大事ですが、翻訳は最終的には日本語を出していかなければならないので、何よりも大切なのは日本語の語彙力です。私自身がそうですが、たくさん本を読んで、新しい言葉や、知っている言葉でもその正しい使い方を本の中から学び、蓄積していかないと、いざ文章を書こうと思ったときに適切な言葉が出てきません。今回、新ジャンルの本の編集をするということで、私も類語辞典を何度も引きました。言葉に敏感になり、古典でも、日頃読まないジャンルの本でも、あるいは漫画でも、さまざまな日本語に触れて語彙力を高めていただきたいと思います」(安田さん)

〜同社が編集した書籍紹介〜

『IKEA モデル』『IKEA モデル』
アンダッシュ・ダルヴィッグ著
志村未帆訳

* 揺るぎないビジョンと緻密なビジネスモデルでIKEAを大企業に成長させた元CEOがそのビジネス術を披露。


『ベアード・トゥ・ユー』(上・下)『ベアード・トゥ・ユー』(上・下)
シルヴィア・デイ著
中谷ハルナ訳

* マンハッタンを舞台に展開されるロマンティック&エロティックな物語。世界30カ国以上で出版。



『世界にひとつのプレイブック』『世界にひとつのプレイブック』
マシュー・クイック著 佐宗鈴夫訳
集英社文庫

* 型破りなカップルが人生を取り戻す日々を描いた、心温まるラブストーリー。2013年2月に公開された同名映画の原作本。