ご利用企業インタビュー

株式会社トータルナレッジ

株式会社トータルナレッジ

翻訳事業部の松原さん(左)と今井部長(右)

ソフトウエア開発からローカライズ翻訳へ

株式会社トータルナレッジは、ソフトウエアの開発・販売会社として1985年に設立されました。業務のひとつに翻訳が加わったのは設立から10年後の1995年のことです。

「ソフトウエア開発の中に組み込みテストという工程があるのですが、海外のソフトウエアの場合、英語表示の部分には翻訳された日本語を組み込んでテストすることになります。その際に、翻訳を手直ししたり、新たに翻訳をするニーズが発生することもありました。ちょうどソフトウエア開発が盛んな頃で、翻訳会社が不足ぎみという事情もあり、お客様のほうから翻訳も一括して受けてもらえないかというお話をいただき、受注するようになったのが翻訳事業の始まりです」(翻訳事業部長 今井光洋さん)

その後、翻訳の受注案件が増えていき、ソフトウエア開発部と翻訳事業部を分け、IT専門の翻訳会社と提携して人員の交流を行うなどして、翻訳事業部が徐々に強化されていきました。

同社が扱うソフトウエアは、多くは企業内で使われるビジネスソフトです。それぞれの企業に合うように開発し、ローカライズする必要があります。翻訳以外にも、開発したソフトウエア活用方法のコンサルティング、データ解析や情報分析の支援などお客様のニーズに応じて業務を拡大し、現在に至っています。

IT系に加えて環境関連の翻訳もスタート

現在、翻訳事業部で受注している仕事は、その9割以上がIT分野の翻訳です。

「ユーザーインターフェースなどソフトウエア製品本体の翻訳、マニュアル等の翻訳はもちろん、講習会の資料やパンフレット、各種ニュースレター、ウェブサイトなど、ソフトウエアに関するものであれば何でも翻訳します。ローカライズの手法がわからないというお客様にはコンサルティングも含めてトータル的にサポートいたします。そのあたりは、長年ソフトウエアの開発ならびにコンサルティングをしてきたノウハウが生かせる部分だと思います」(今井さん)

翻訳言語は英語がほとんどで、なかでも英日翻訳が大半を占めます。比率は低いですが、最近は中国語から日本語または英語への翻訳の需要も徐々に出てきているそうです。

翻訳コーディネーターは3名で、継続的に翻訳の業務委託を受けているお客様の会社に出向というかたちで翻訳手配をしたり、社内での実務経験を積んだ後に在宅でコーディネート業務を行ったり、フレキシブルな業務体系を取っています。

「今後を見据えてIT以外の分野にも守備範囲を広げようと、数年前から環境に関する翻訳の受注も始めました。現在は企業向けに環境ビジネスにかかわる情報をまとめた小冊子の翻訳を請け負っています」(今井さん)

需要は安定、特に日英翻訳者が不足ぎみ

継続して仕事を依頼している登録翻訳者は、現在30名ほど。登録翻訳者の新規募集は同社のウェブサイト、またアメリアWebサイトの「Job」などから行っているといいます。

「基本的にIT翻訳の実務経験が3年以上あることを条件とさせていただいています。また、語学系の資格の有無も参考にさせていただきます。TOEICなら800点以上がひとつの目安です」(今井さん)

マニュアルなどのローカリゼーションでは翻訳メモリを使っての翻訳も多いそうです。

「弊社でよく使用している翻訳メモリは、翻訳の際は翻訳者さんに無償で貸与し、新規の登録翻訳者さんが何人かまとまった時点で説明会を開いて使い方を覚えていただいています。翻訳メモリのスキルがあるに越したことはありませんが、それよりも重視しているのは、IT系の用語やタグ言語などの知識があるか、こちらの要望に柔軟に対応していただけるか、という点のほうですね」(今井さん)

最近はソフトウエアの開発がグローバル化してきて、翻訳の元となる英文のマニュアルを書いているのが英語ネイティブではないエンジニアで、英語に癖があったり、文法的に間違えていることもあるそうです。

「そんな場合でも、『原文がおかしいので訳せません』ではなく、知識と経験から本来あるべき文章に訳してくださる、そんな柔軟性のある方だと大変助かります」(今井さん)

わが社のここが自慢! 翻訳者さんが仕事しやすい環境を整える

ITひと筋の同社の優位点としては、社内に専門の技術者がおり、開発も手がけてきたノウハウが蓄積されていることがまず挙げられます。

「私自身、自分が手配して仕上げた翻訳をソフトウエアに組み込んでテストを行うことがあります。製品に近い形を見る機会というのは、よりよい翻訳を仕上げるためにプラスになっていると思います。しかし、自慢する点は何かと聞かれたら、それよりも翻訳者さんを大切にする会社であることを強調したいと思います」(今井さん)

翻訳者とコーディネーターの「絆」が翻訳の品質向上につながると同社では考えます。

「翻訳者さんとはメールでのやり取りがメインになりますが、仕事の話の合間にプライベートな話も意識して盛り込むようにしています。それは翻訳者さんに親近感を持ってもらい、何かが起こったときに連絡しやすい環境を作っておくことが大事だと考えるからです。例えば、お子さんが熱を出しても、そのことが言い出せなければ、時間のないなか無理をして万全ではない訳文になってしまうかもしれません。それよりも、相談していただいて、残りを他の方に振り分けたほうが、お互いによい結果が得られると思うのです。逆に、こちらから翻訳者さんに無理をお願いすることもあります。急な翻訳依頼にご協力いただき、即日納品してお客様に喜ばれたことがありました。われわれコーディネーターと翻訳者さんと、そしてお客様と、相互の信頼を築き上げていく仕事をしていきたいと思っています」(松原さん)

「だいたいの翻訳者さんは複数の翻訳会社に登録していると思いますが、仕事の依頼が他社と重なったときに、できれば弊社の仕事を優先してもらいたい。そのためにも、柔軟なコーディネーションで気持ちよく仕事をしていただくことが大切だと思っています」(今井さん)

同社では登録翻訳者とコーディネーターの間で情報の一元化ができるサイトを立ち上げているそうです。

「ある翻訳者さんから来た質問は、別の翻訳者さんも同じようにわからないと思っているかもしれません。そのようなことはサイトにアップして皆さんに見ていただけるようにしています」(松原さん)

「プラーベートなわれわれスタッフの自己紹介や、休日をどのように過ごしたか、といったことも折に触れ書くようにしています。翻訳の息抜きに見てくださっていて、翻訳者さんから『楽しみにしています』と言われることもあるんですよ」(今井さん)

よりよい翻訳という同じ目標に向かって、支え合いながら連携して仕事を進める姿勢、それが同社の最大の自慢です。

スタッフからひとこと!

調べもののスピードと精度アップが重要

他の分野でもいえるかもしれませんが、納期がかなり短くなってきている傾向がIT 翻訳にもあるようです。

「少しでも早く売り出したいというお客様の意向もありますし、世界同時発売といった傾向も納期短縮に拍車をかけています。翻訳は時間をかけて深く調べれば調べるほど、品質がアップするという側面があるのは確かですが、仕事としてはそうも言っていられません。となると、ほどほどに調べる、すべてを深くではなく大事なところを嗅ぎ分けてそこだけしっかり調べるといったセンスがより重要になってきていると感じます」(今井さん)

調べもののスキルを上げることも翻訳スピードをアップさせるためには有効です。

「そもそもITに興味があるということが必須ですね。仕事だからしかたなくやっていたのでは、スキルは伸びません。それから、インターネットに出ていたからOKではなく、その情報が信頼できるのかを見極める力、また信頼できるサイトを見つける力を養う必要があります。ふだんから、ソフトウエアを使っていてわからない機能や言葉が出てきたら調べる、といったことの繰り返しが、仕事の助けとなる知識の蓄積になるのではないかと思います」(今井さん)