ご利用企業インタビュー

株式会社高電社(旧 株式会社高電社販売)

株式会社高電社販売

高電社販売のスタッフの皆さん。右から2 番目が高さん

言語処理ソフト開発のパイオニア

株式会社高電社販売は、株式会社高電社の営業部門として2009年に設立された会社です。親会社である高電社は1979年の創業以来、一貫して機械による言語処理技術の開発を手がけてきました。同社の代名詞ともいえるソフトウエア『ChineseWriter』『KoreanWriter』は中国語・韓国語の入力を支援するシステムです。パソコン誕生間もない1980年代に開発されました。

「今でこそパソコンにはあらゆる言語の入力プログラムがプレインストールされていますが、以前は必要に応じて自分でインストールしなければなりませんでした。特に、アルファベット表記ではない中国語や韓国語はフォントの違いによって文字化けが起こるなど、苦労が絶えなかったそうです。そんな時代に開発・販売を始めたソフトで、時代に合わせて機能を追加して版を重ね、現在は入力プログラムとしてはもちろん語学教材としても多くの皆さまにご支持いただいています」(営業部次長 高明恵さん)

そこから一歩進んで開発されたのが、中国語翻訳ソフト『J北京』、韓国語翻訳ソフト『Jソウル』です。さらに2013年には特許に特化した『J 北京特許翻訳エディション』も発売されました。

「アジア言語を中心に信頼を築き、さらにアジアの稀少言語、欧米語にまで守備範囲を広げてきました。今でも中韓をはじめアジア言語は弊社の強みのひとつです」(高さん)

機械翻訳の技術と人力翻訳を融合

同社では、長年開発を続けてきた機械翻訳の技術を、パッケージソフトだけではなく、他のサービスにも展開しています。そのひとつが『My サイト翻訳』というWebサイト自動翻訳クラウドサービスです。お客様の既存の日本語サイトを、クリックひとつで、英語、中国語、韓国語など合計18言語に自動翻訳します。

「『My サイト翻訳』をご利用いただくと、日本語で情報が更新されると同時に各国語でも情報にアクセスできるようになります。特に東日本大震災以降は、外国人の方にも安全情報などをいち早くお知らせしたいと、導入される自治体が一気に増えました」(高さん)

しかし、瞬時に翻訳して提供したい情報がある一方で、「市長からのメッセージ」や「市の特徴」など、人の気持ちや独特なニュアンスが必要になる場合は、機械による翻訳では表現が難しい場合があります。そのような機械翻訳が苦手な部分を補うために生まれたサービスが人力翻訳です。

「お客様が必要とされているのは“翻訳”です。長年さまざまな翻訳案件を拝見してきて、ご依頼内容により“機械翻訳”と“人力翻訳”のいずれの手法が適するのか、把握できるようになりました。その結果、お客様のご要望に幅広くお応えできるよう2011年4月に人力翻訳事業を立ち上げ、現在は『My サイト翻訳』による機械翻訳に人力翻訳を組み入れ、両方の翻訳特性を生かしたサービスを提供しております」(高さん)

日英翻訳を中心に登録翻訳者を増強中

人力翻訳部門ができたことにより、前から機械翻訳をご利用いただいているお客様から、「人の手による翻訳もできるのなら、あれもこれも頼みたい」と多くのご要望が寄せられているそうです。機械翻訳との組み合わせだけでなく、一般の産業翻訳を依頼される機会もますます増えており、登録翻訳者の数も増やしているところだといいます。

「登録翻訳者は現在、全言語あわせて数百名です。人力翻訳部門はまだ発足して3年ですので、登録まではどなたでもしていただけるようにしています。具体的に案件が発生しそうになったら、登録していただいている方の中から仕事の内容に合いそうな経歴の方にトライアルをお願いして、合格者の方に正式にお仕事を依頼します。日英翻訳は案件が多く翻訳者が不足している状態ですので、アメリアの『会員プロフィール検索』などを当たってトライアル参加をお願いすることもあります」(高さん)

トライアルでは、訳語のなめらかさ、誤訳はないか、などを見るのはもちろんのこと、それ以上にリサーチの仕方を気にして見ているといいます。

「どこまで調べているか、調べものの根拠も明記されているか、コメントは適確か、などを重点的に見ています。また、コミュニケーション力も重要。質問を投げかけて、回答の早さ、適切さなどを確かめることもあります」(高さん)

技術力を武器に新しいサービスを次々に開発

パソコンが今のように普及する以前から、一貫して機械翻訳の技術を開発し続けてきた同社。その技術力には定評があり、実はわれわれの身近でも同社の技術がさまざまなサービスに生かされています。まずは、現在の機械翻訳の技術がどのようなものか、営業部部長の菊地茂さんに伺いました。

「弊社はルールベースという文法に基づいた翻訳エンジンを開発してきました。構文解析をして、単語の意味は辞書にあたり翻訳結果を出すというものです。これに対して、大量の文章データを解析することによって翻訳を導き出す統計ベースの機械翻訳があります。どちらも一長一短がありますので、ルールベースを基本に、一部統計的な処理を入れたハイブリッド型が現在の弊社の翻訳エンジンです」(菊地茂さん)

では、この技術が具体的にどのようなサービスに組み込まれているのでしょうか。

「例えば、スマートフォンアプリ『LINE』の中にある中韓通訳機能は弊社の機械翻訳エンジンを使用しています。コピー機メーカーのゼロックスさんとは、コピー機でスキャンすると1分ほどで翻訳した文書がプリントアウトされる、クラウド型機械翻訳サービスを開発しました」(菊地さん)

確かな技術で言葉の壁を越える、同社のサービスは今後もますます広がりそうです。

スタッフからひとこと!

現在、人力翻訳部門でグループ長を務める岸本さんは、以前は機械翻訳に対して偏見を持っていた時期もあったといいます。

「私は他の翻訳会社から転職してきて4年目ですが、この会社に入るまでは、機械翻訳が普及すると人の手による翻訳の仕事が取られるという思いを、多くの方と同様に持っていました。しかし、今は変わりました。機械翻訳と人力翻訳はまったく別物です。ですから棲み分けができるんです。機械翻訳を使って大量に翻訳し、その中から重要なものをピックアップして人の手でより精度の高い翻訳をする。それが実現すれば、今以上に翻訳される文書の量が増えるでしょうし、それは言葉の壁をなくすためにもよいことです。翻訳者にとって機械翻訳は敵ではなく、一緒に翻訳業界を支える仲間になれるのではないか、そんなことを思いながら、日々、翻訳の仕事に取り組んでいます」(岸本さん)

同社開発の人気ソフト、左が「J 北京特許翻訳エディション」、右が「J ソウル」

〜高電社の初プロデュース作品が
アメリア会員翻訳により出版〜

昨年秋に幻冬舎より出版されたこちらの作品は、高電社販売の主催によりアメリアで行ったスペシャルコンテストによって生み出された本です。その経緯を高さんに伺いました。

「実はこの本は幻冬舎さんから出版が決まっており、すでに翻訳者さんが翻訳に取り掛かっていた作品でした。ですが、急なことから対応できなくなり、急きょ他の翻訳者さんを探すことに。そこでアメリアに協力をお願いし、弊社主催のスペシャルコンテストを開くことになったのです。原書がフランス語ということで、どれくらいの方にご応募いただけるか心配でしたが、約20 名の方にご応募いただきました。セリフ部分と語りの部分のコントラストが特徴的な作品でしたので、その訳し分けができるか、セリフ部分にどれだけ臨場感が出せるかがポイントでした。試訳をしていただいた結果、テンポのいい翻訳をなさった橋本民江さんにお願いすることになりました。出版翻訳に携わったのは弊社としては初めての経験でしたが、とても刺激的な体験で、今後も出版社と翻訳者の橋渡しができればと思っています」(高さん)

『ネコトピア―猟奇的な少女と100 匹のネコ』『ネコトピア―猟奇的な少女と100 匹のネコ』


ミヨ・ローラン著 
橋本民江訳
幻冬舎
価格1,785 円