ご利用企業インタビュー

株式会社メディカル・トランスレーション・サービス

株式会社メディカル・トランスレーション・サービス創業以来、メディカルに特化して16年

株式会社メディカル・トランスレーション・サービスは、社名が示すとおり医薬・医療分野に特化した翻訳サービスを提供する会社です。もともと翻訳業界で働いていた現社長の中野尚徳氏が独立して1999年に大阪で創業しました。

「何かに特化して専門性を打ち出していったほうが会社として大きく成長できるだろうとの思いから、社長の中野が選択したのがメディカルでした。以来、メディカル一筋です」(東京オフィスマネージャー稲垣秀記さん)

大阪で本社を設立しましたが、東京にもクライアント企業が多いこと、また厚生労働省やPMDA(独立行政法人医療品医療機器総合機構)といった関係機関が東京にあることから、会社創業4年後には東京オフィスを開設。その後、医薬・医療機器の業界全体が東京にシフトしていくのに合わせて東京オフィスの人員も増えていきました。

「2014年1月に東京は現在のオフィスに移転しました。スタッフ数は、東京は営業・コーディネーター7名、チェッカー5名、オペレーター2名ほか合計16名、大阪は営業・コーディネーター2名、チェッカー4名、オペレーター2名ほか合計11名となりました。大阪オフィスと東京オフィスで連携しながら仕事を進めています」(稲垣さん)

メインは医薬品・医療機器の承認申請書類関連

クライアントは、ほとんどが製薬会社と医療機器メーカーです。新しく開発された薬や医療機器を市販するためには当局に申請し、承認を受けなければなりません。翻訳する文書の大半を占めるのが、そのための承認申請書類関連です。

「海外で申請するための日英翻訳と、その逆の英日翻訳がありますが、弊社の場合は外資系企業のクライアントが多く、従って英日翻訳の案件が多いです。ドイツ語、フランス語、韓国語、中国語あたりの依頼もときどきありますが、英語圏以外でも元になる書類は英語ということが多く、翻訳の依頼は英日がメインです」(稲垣さん)

承認申請書類に次いで多いのは、製品のマーケティング資料、カタログ、企業のWeb サイト、社内研修資料の翻訳などです。また社内検討資料として海外の論文の英日翻訳を依頼されることもあるそうです。

「上記以外のクライアントとしては、ドクターから論文の英訳の依頼がときどきあります。海外のジャーナルに投稿するための翻訳です」(稲垣さん)

製薬会社と医療機器メーカーの依頼の割合はだいたい半々くらい。非常に安定した分野で、ここ数年は少しずつ順調に需要が増加している印象とのことです。

トライアルの課題は8問から得意分野を選択

登録翻訳者は現在約500名で、募集は同社のWeb サイトで常時行っているほか、『契約書』『医療機器』など、ある特定の分野の翻訳者を強化したいときは多くの応募が期待できるアメリアの「JOB」などを利用しているそうです。昨年はアメリアを通して3回の募集がありました。

「常時募集では、トライアルの課題もジャンルや文書別に全部で8問ほど用意しています。例えば医薬のトライアルでは『症例報告書』『プロトコル』『同意説明書』などがあります。翻訳者さんもさまざまで、日本語の読みやすさ重視で意訳する方、原文に忠実に翻訳する方などそれぞれ特徴があります。ご自身の特性に合ったジャンルで活躍していただきたいので、選択肢を増やしています」(稲垣さん)

また、メディカル翻訳では正確で書式に則った書類に仕上げる翻訳者を求めているため、英訳でもネイティブ翻訳者よりも日本人翻訳者が多く活躍しているそうです。

「日英翻訳者は絶対数が少ないためか、弊社でも不足しています。日本人翻訳者が活躍できる分野なので、現在、英日を手がけている方も日英に挑戦してほしいですね。チャンスが広がると思います」(稲垣さん)

新人翻訳者に積極的に依頼 仕事を通して成長してほしい

仕事が順調に増加するなか、翻訳会社にとって仕事のパートナーとなる翻訳者さんとの関係強化は重要な課題です。しかし一方で、せっかくトライアルを実施して実力のある翻訳者を採用したにもかかわらず、その人材を十分に活用できていないという問題があるのも事実です。

「弊社の登録翻訳者は現在500名ほどですが、実際に頻繁に仕事を依頼している翻訳者はというと、おそらくその2割程度ではないかと思います」(稲垣さん)

理由としては、仕事を依頼したが他社の仕事が入っているなどスケジュールが合わなかった、転職で現在は翻訳を辞めてしまっているなど、翻訳者側の事情で依頼に至らない場合もありますが、その方の得意分野の仕事が発生しないまま時間が経ってしまい、一度も依頼しないなど、翻訳会社側の体制に問題がある場合もあるといいます。

それは翻訳者さんに申し訳ないだけでなく、翻訳会社にとっても損失です。実際、同社でも過去にそのような経験があり、社内の体制を改善したそうです。

「登録翻訳者さんの情報はデータベース化していますので、コーディネーターは定期的にそれを見直して、まだ仕事を依頼したことがない新人の方に積極的にお願いするようにしています。コーディネーターにとっては既にお付き合いのある方にお願いする方が安心ですし楽ですが、楽だからといってそちらに流されないように気を付けています」(稲垣さん)

また、同社ではトライアル応募の条件に翻訳の仕事の実績を含めていません。新人でも応募可能で、あくまでもトライアルの結果を重視していると言います。

「すでに翻訳者として活躍されている優秀な方は仕事が途切れることがないので、新たな取引先開発のためにトライアルを受ける機会は多くはないはずです。であれば、自社の登録翻訳者を強化するためには、まだ翻訳者としての実績はなくてもトライアルの成績がよく熱意のある方を採用し、仕事をしながら成長していってもらうことが重要だと弊社では考えています。本当に翻訳者になりたいんだという熱意は、トライアルの訳文から審査員に伝わってきますし、ちゃんと調べて訳しているのが見えてくれば、今後の成長に期待できます」(稲垣さん)

スタッフからひとこと!

訳文はその翻訳者自身の価値を示す

新人でも、熱意があり実力のある方は積極的に採用しているという同社。翻訳者が仕事を通して成長できるよう、できる範囲で翻訳に対するフィードバックも行っているそうです。同社では翻訳者にどのようなことを求めているのか伺いました。

「翻訳者さんが訳した一文字一文字を、われわれ翻訳会社は商品として購入しています。そして翻訳会社はお客さまに対して、それを商品として販売しています。その一文字一文字を翻訳者の方には大事にしてほしいです。訳文の内容をいかにして高めるかを意識していただきたいと思います。そしてそれが結果的に、ご自身の翻訳者としての評価を高めることにもつながるのではないでしょうか」(稲垣さん)

また新薬や最新の医療機器など最先端のものを扱う分野だけに、日頃の勉強や徹底した調べものの技術も重要だといいます。

「ある翻訳者さんのコメントに『末尾のリファレンスのこの文書にこうあったので、この訳文はこうしました』とありました。原文の末尾にあるリファレンス一覧は大量です。まさか全部を読んだわけではないでしょうが、その方は社内でも信頼されている翻訳者さんで、さすがに調査の仕方が違うねと話題になりました。調べものの姿勢や日頃の勉強は必ず訳文に出ると思います。勉強熱心な方は信頼がおけますし、ぜひ一緒に仕事をしたいと思います」(稲垣さん)