ご利用企業インタビュー

株式会社アーベーセー

株式会社アーベーセースポーツ、テレビ、そして広告業界の仕事を受注

株式会社アーべーセーの代表取締役である長塚郁乃さんは、もともとスペイン語のフリーランス通訳・翻訳者として仕事をしていました。

「スペイン留学から帰国して仕事を始めたのが1995年。ちょうど2002年日韓サッカーW杯の招致活動の頃で、サッカー関連の通訳・翻訳の仕事はスペイン語にも多くありました。さらに、仕事先で知り合ったテレビ関係の方から別の仕事をいただいたりして人脈が広がっていきました。自分の仕事も忙しかったのですが、スペイン語以外の翻訳・通訳者を紹介してくれと頼まれることも多く、『ネットワークを生かして会社にしたら?』と勧められ、この会社をつくりました」(長塚さん)

もともと中学生の頃から起業意識があったという長塚さん。言葉に興味があり、好きなことを仕事にしたいと思っていたので、翌年の1996年には会社を設立しました。

「設立当初はスポーツとテレビの仕事がメインでした。フリーランスの頃からご縁があったサッカー関連の仕事はスペイン語にとどまらず依頼が増えましたし、テレビのほうではバラエティ番組の映像素材翻訳の仕事をレギュラーでいただくようになり、番組が終わるまで8年間続きました。日韓サッカーW 杯の後は、スポーツやテレビ以外に広告業界の仕事が増えていきました。2005年に日本でも一大ブームとなった『ビリーズブートキャンプ』の翻訳は、大手通販会社の依頼で、すべて弊社が担当したんですよ」(長塚さん)

高級ブランドから官庁関係までクライアントはさまざま

会社設立から19年、最近は特に広告業界の仕事が増えているとのことですが、具体的にどのような案件があるのでしょうか。

「広告代理店のお客様からは、プレゼン資料や広告絵コンテ、海外企業とのコレポン、契約書などの翻訳の依頼があります。基本的に急ぎの案件が多く、即日や翌日納品の特急対応も少なくありません。スピードと精度、センスのすべてを求められます」(長塚さん)

他にも、高級ブランドのWebサイト翻訳、ホテルの日本語サイトを5言語にローカライズ、官庁関係では領土問題に関する冊子を11言語に翻訳するなど、さまざまな案件を幅広くこなしています。

「Web用の動画に字幕をつけたり、外国語での吹替版をつくったりする仕事も結構あります。尺に合わせて翻訳原稿をライティングし、外国人ナレーターの手配まで行います」(長塚さん)

言語では、8割ほどが英語で、次いで多いのが中国語、韓国語、フランス語、スペイン語など。英語以外にも30言語くらいに対応しているそうです。

「翻訳と通訳の割合は、翻訳のほうが多くて6〜7割ですが、大きなイベントがあると通訳の割合が増します。その他、海外ロケの事前リサーチや現地コーディネートも、これまでに15カ国以上経験しています」(長塚さん)

基本的な翻訳力に加えて、訳文のリズムも重要

現在、登録翻訳者・通訳者あわせて約800人。募集は、同社のサイトで常時受け付けています。

「弊社は急ぎの仕事が多いので、厳しい納期の実務経験がない方は、正直言って厳しいと思います。トライアル成績の良かった翻訳者さんでも、納期に対応できなかった方も複数います。私たちが日々翻訳しているのは、CMや広告などまだ世に出ていないバラエティに富んだ案件です。面白い内容の仕事が多いので、スピードに自信があって熱意のある翻訳者さんには、ぜひトライアルに挑戦して、ご登録いただきたいですね」(長塚さん)

トライアルの採点ポイントはどのようなところでしょう。

「解釈を間違えやすいものを課題として選び、まず基礎的な文法力や解釈力を見ます。あとは訳文のリズムですね。良い文章にはリズムがあり、一度読むだけですっと頭に入ってきます。何度も読み返さなければ理解できない文章は悪文。これは訳文の最初の3 行を読めばわかります」(長塚さん)

同社では、オンサイトのスタッフから登録翻訳者に移行する方も多いそうです。

「オンサイトのスタッフには、コーディネート、翻訳、チェックと何でもやってもらいます。私や先輩チェッカーにダメ出しをされてもめげずに頑張り、力を付けて在宅に移行した方は弊社の財産です。固定客の好みや弊社のスタイルを理解しているので、大きな戦力になってくれています」(長塚さん)

わが社のここが自慢!言葉に関わる仕事は何でも引き受ける決して「No」と言わない

どんな大変な仕事でも、やったことのない内容でも、言葉に関わるものであれば断らないというのが同社のスタンスです。

「先日も、夜の7時に私の携帯にお得意様から電話が入り、翌朝9時から始まる会議のプレゼン資料の翻訳をしてほしいと頼まれました。お引き受けして、事務所にスタッフを集めて待機。五月雨式に送られてくる原稿を端から翻訳して、夜明け前にすべて納品しました」(長塚さん)

Noと言わない姿勢と、そのクオリティに、お客様も信頼を寄せています。

「お客様には『言葉がらみで困ったら、まずはお電話ください』と申し上げています。ですから弊社では、普通の翻訳会社ではやらないような、一風変わった依頼も来ます」(長塚さん)

そのような依頼のひとつが、こちら(下部写真参照)です。

海外メディアに掲載した政府広告。左から中国語版、韓国語版、英語版

「これは東日本大震災の5カ月後に内閣府が海外の新聞メディアに掲載した政府広報です。地震の後も日本に住み続けている外国人の方にコメントもらい、『日本は大丈夫だよ』というメッセージを世界に発信するのが目的でした。出てくれた外国人は、翻訳者、ナレーター、庭師、学生など、知り合いやそのまた知り合いの方々です。キャスティング、取材の通訳から原稿の翻訳まで、すべて弊社で担当しました。今後も『言葉』をキーワードにお手伝いできることなら何でも挑戦していきたいと思っています」(長塚さん)

スタッフからひとこと!

自分が生みだす言葉に愛情を

一緒に仕事をする翻訳者へのメッセージをお願いしたところ、長塚さんから「言葉に愛情を持つこと」とのお言葉をいただきました。

「翻訳者にとって、自分が書いた文章って子どもみたいなもの。誰かにダメ出しされたり、赤入れされたら『なぜ!?』と思うこともあるでしょう。私たちが赤入れした箇所に納得がいかなければ、ぜひ反論してください。翻訳に100点はありませんし、翻訳会社がいつも正しいとは限りません。大切なのは良い翻訳に仕上げることで、私たちは翻訳者の皆さんと一緒に作り上げていきたいと思っています。時間を意識しながらも推敲を忘れず、言葉への責任と愛情を持って訳文を生みだす、そんな翻訳者を目指してください」(長塚さん)

クライアントには広告代理店や海外ブランドなどが多く、アピール力のある文章を得意としている同社。翻訳者に求めることは何でしょう。

「単に縦のものを横にする翻訳は求められていません。例えば、海外の一流ブランドのWebサイトであれば、そのブランドにふさわしい高級感を味わえる訳文が必要です。言葉の選び方を間違えるとチープな印象になり、せっかくの高級ブランドが素敵に感じられなくなります。A社にはA社らしい表現、B社にはB社のスタイルがあり、弊社ではそれらを損なわないように気を付けて翻訳とライティングをしています」(長塚さん)

同社では翻訳だけでなく通訳でも多くの実績があります。2020年の東京オリンピックに向けて、通訳でも多くの需要が見込まれると長塚さんは言います。

「東京オリンピックに向けて、弊社では既に準備を始めています。そのひとつとして、スポーツイベント通訳者を育成するコースを9月から開講することになりました。英語の場合は翻訳か通訳どちらかに特化している方が多いと思いますが、通訳で今の時代の生きた英語に接することは、翻訳にもきっと役立つと思います。オリンピックという一大イベントに関わりたいという方は、ぜひ挑戦してください」(長塚さん)

代表取締役の長塚郁乃さん