ご利用企業インタビュー

日本ビジネス翻訳株式会社

日本ビジネス翻訳株式会社特許翻訳をメインに55年の実績

日本ビジネス翻訳株式会社(NBT)は、親会社である日本技術貿易株式会社(NGB)の翻訳部門が1994年に独立して発足した会社です。NGBは外国特許の取得仲介サービスなど、知的財産に関わる総合サービスを行う会社で、その翻訳部門だった時代も含めると、NBTは実に55年の長きにわたって特許翻訳に携わってきた実績を持ちます。

このような経緯から、今でも受注する案件の8割以上が特許翻訳に関するものだそうです。

「特許翻訳では、英語が6割、中国語が2割、あとはドイツ語、韓国語などその他の言語です。日英:英日の割合は8:2で、日本の企業が海外に進出する際の特許申請をお手伝いすることが圧倒的に多いのですが、最近は海外の企業が日本に特許申請するケースも増えてきており、今後は英日の需要も増すだろうと考えています」(マネージャー 小川和彦さん)

特許翻訳以外では、マニュアルや契約書などの翻訳の依頼があるそうです。

「特許翻訳では製造業の知的財産部の方などからご依頼をいただきます。その関連で、同じ会社の開発部門や海外工場部門の方から翻訳のご依頼をいただくことが増えてきました。契約書は英語が主ですが、マニュアルになると工場のある現地の言語から日本語にというご依頼も多く、英語以外の需要も増えています」(小川さん)

特許クレームのチェックサービスを8カ国語で展開

特許翻訳では、出願の際の明細書の翻訳が主になりますが、その他に既に公開されている特許公報の翻訳、出願後に行われた審査で拒絶されたときの拒絶理由書の翻訳、特許権が侵害されたときの裁判書類の翻訳などの依頼もあるそうです。また、特許翻訳に付随するサービスとして、10年以上前からサービスを始めた「クレーム翻訳チェック」は通算5万件以上の実績があり高い評価を得ているとのことです。

「“クレーム”とは日本語では“請求項”と呼ばれるもので、特許請求の範囲を示す非常に重要な項目です。例えば、日本企業が中国で特許申請をする場合、出願は中国の特許事務所を介して行うため、翻訳もその事務所を通して中国で行うことが一般的でした。しかし、日本からの急激な出願件数の増加に対して、日本語および特許に精通した翻訳者は不足しており、それが誤訳や訳抜けにつながって特許の権利範囲がきちんとカバーできていない例が結構あったんです。そこで弊社が、中国語に訳された特許申請書類をチェックするというサービスを始めました。最初は、中国語、韓国語、台湾語の3言語でしたが、お客様から他の言語の要望が増え、今はロシア語、ポルトガル(ブラジル)語、インドネシア語、ベトナム語、タイ語を加えた計8カ国語でサービスを展開しています。お客様からのご要望があれば、他の言語も検討していくつもりです」(小川さん)

トライアルでは正しい係り受けなど文法力を重視

現在、社員は35名。社内は、お客様から受注して翻訳者が翻訳するまでを担当する営業グループと、上がってきた翻訳をチェックして必要に応じて編集し、お客様に納品するまでを担当する業務グループの、2つの体制に分かれています。

「大量の案件を受注していますので、翻訳とチェックの工程を分け、1人の担当者が受け持つ工程を少なくして、効率的に仕事を進められるようしています」(小川さん)

外部の登録翻訳者は約600人、チェッカーは社内外に約50人いるそうです。

「翻訳者の募集は、弊社サイトやアメリアを通して行っています。即戦力を求めているため、『特許翻訳の経験あるいは特許事務所での翻訳経験が5 年以上(または同等の実力を有する者)』と少々厳しい条件を設定しています。チェッカーは特許翻訳の経験年数は問いませんが、ある程度の翻訳力は必要だと考えていますので、トライアルではチェックではなく翻訳の課題を行っていただきます」(小川さん)

チェッカーで経験を積み、その後、翻訳者のトライアルに合格した方も数多くいらっしゃるそうです。

「特許の文章は一文が長いことも多く、係り受けを正しく読み取って明確に訳さないと、意味が違ったり、誤読される恐れが生じたりします。トライアルの採点では、そのような文法の間違いがないかを重点的に見ています」(小川さん)

わが社のここが自慢!翻訳者が仕事をしやすい環境を目指して

日本ビジネス翻訳では、ある案件でお客様がその翻訳を気に入った場合、次も同じ翻訳者に依頼できるよう「翻訳者指名制度」を設けています。

「翻訳者にはそれぞれ固有のコードナンバーを割り当てており、お客様はそのコードを指定することにより前回と同じ翻訳者を指名することができるというものです。お客様の満足度をより高めるための制度ですが、翻訳者にとっても、指名を受けることで自分の仕事に誇りが持てる、次も指名されるよう頑張ろうというモチベーションにつながる、といったメリットがある制度だと思っています。両者に良い効果が期待できるので積極的に進めており、今では案件の半数近くで、この翻訳者指名制度が利用されています」(小川さん)

また同社では毎年秋に、コンスタントに翻訳を依頼している翻訳者さんに声をかけて、研修会を開いているそうです。

「研修会は、特許翻訳のコツや、特許や翻訳業界の動向など、主に特許に関することをテーマにした内容ですが、実は皆さん、その後の懇親会を楽しみに集まってくださっているようです。北海道や沖縄はもちろん、海外からも帰国の日程をこの日に合わせるなどして、毎年70人ほどの方が参加してくださいます。翻訳者さん同士、横のつながりがなかなかないようで、この会で親しくなって、毎年会うのを楽しみにしていらっしゃる方もいます。また翻訳者とコーディネーターはメールや電話のやりとりばかりで顔を会わせる機会がなかなかありません。この場で親しく話すことで、その後の仕事のやりとりも、よりスムーズになるようです」(小川さん)

翻訳者がよりよい仕事ができるように、できる限りのバックアップを行う、それもまた翻訳会社の大切な役割であるという考えのもと、さまざまな取り組みを進めています。

スタッフからひとこと!

特許翻訳の需要は堅調、学びの姿勢を忘れずに

特許翻訳と聞くと、非常に専門性が高く、取っ付きにくい分野のように感じるかもしれませんが、実は情報にアプローチしやすく、意外と身近に感じられる分野だと小川さんは言います。

「特許情報は公開が原則ですので、インターネットを使えば世界中の特許公報を見ることができます。興味のある方は、『特許情報プラットフォーム』や“Google Patent Search”などの特許情報の検索サイトにアクセスしてみるといいでしょう。特許用語の使い方、特許特有の表現などは、そこから学び取ることができます。特許の世界にもトレンドがあり、最近はこういう言い回しが好まれる、この言い方は使われなくなった、ということもありますので、特許翻訳者として仕事をしている方にも、用語や表現について常に学ぶ姿勢を持ってほしいですね」(小川さん)

また、最近は特許翻訳の分野でもIT 化が進んできており、新しいツールなどを積極的に学ぼうという意欲のある翻訳者が歓迎されると言います。

「翻訳業界全体では、機械翻訳の話なども聞くようになりましたが、特許翻訳は複雑な係り受けの文章を訳さなければならないことも多く、やはり人による翻訳が必須です。今後も需要は堅調でしょう。ただ、翻訳支援ツールに関しては、最近は特許翻訳の分野でも導入が進んできています。このようなツールを積極的に使いこなそうとする方、マクロを使って用語の統一や効率化の工夫をしようとする方は、今後、活躍の場が広がると思いますので、ぜひ挑戦していただきたいですね」(小川さん)