ご利用企業インタビュー

ワイツーシーワークス合同会社

中国語を生かした仕事を模索し映像翻訳の道に

ワイツーシーワークス合同会社は中国語専門の映像翻訳会社です。代表の本多由枝さんはフリーランスの映像翻訳者を経て、2010年に同社を設立しました。しかし、映像翻訳者を志すまでには紆余曲折があったそうです。

「大学で中国語を学びました。外国語を使って人とコミュニケーションを取るのが好きだったので、ビジネスで日本と中国をつなぐ仕事がしたいと思っていました」(本多さん)

会社勤めの後、語学を磨くために中国へ留学。その後、帰国して再就職もしましたが、最終的に選んだのは映像翻訳者として挑戦することでした。

「もともと映画が好きだったので、会社勤めのころ好奇心から映像翻訳講座に通ったことがありました。ただ講座が英語だったので、やはり中国に関する仕事を続けたいと思い留学を決めました。その頃は映像翻訳者の道を忘れていましたが、中国から帰国してすぐ、会員プロフィール検索経由で中国ドラマのセリフを翻訳する仕事をいただいて、以前目指していた映像翻訳者の道を思い出したのです」(本多さん)

映像翻訳を学んでいた頃は、自身に何ができるのか可能性を探っていた時期で、いくらか遠回りをしたそうですが、この頃から本気で中国語の映像翻訳に挑戦してみようと考えるようになったそうです。

「映像翻訳は、日本と中国の文化の架け橋になる仕事です。ぜひ挑戦したいと思うようになりました」(本多さん)

幅広いニーズに対応するため会社組織に変更

実際に中国語の映像翻訳の仕事があるのか調べてみると、いくつか翻訳者を募集している会社が見つかりました。トライアルに挑戦してみたところ見事合格。少しずつ仕事が入るようになり、実績を重ねてフリーランス5年目の2010年に会社組織に変更することを決意しました。

「ひとりでできることには限界があります。忙しすぎてチェックが疎かになるようでは困るので、会社にして人材も発掘し、仕事の体制を整えたいと思いました」(本多さん)

現在の主な業務内容は、ドラマや映画の中日翻訳です。中国作品の場合、字幕の需要がほとんどのようですが、依頼があれば吹替にも対応しています。

「仕事を始めた当初は台湾のアイドルドラマの翻訳が多かったのですが、徐々に中国で大ヒットした歴史ドラマなども依頼されるようになりやりがいを感じています。ドラマだけでなく映画の仕事もいただけるようになりました」(本多さん)

最近、中国ではエンターテインメント事業への投資が盛んになり、映画やドラマの市場は拡大しているといいます。

「映画やドラマは本数だけでなくクオリティも上がっていますが、日本に入ってくる作品は限られているので、もっと増えてほしいと願っています。また、今後は日中翻訳にも今以上に力を入れていきたいですし、テレビやDVDだけでなくインターネット配信、あるいは映像だけでなく漫画本など他の媒体にも対応していきたいと思っています」(本多さん)

仕事を通してスキルを磨いていってほしい

スタッフは現在、日本人3名、中国人2名の計5名。在宅を基本に週に1〜2日来社して仕事にあたっているそうです。

「社員ではなくフリーランスの方々なのですが、ほぼ弊社の専属というかたちで翻訳やチェックの仕事をしてもらっています。実務経験がとぼしい方の場合は、私が細かくチェックをして、仕事を通して翻訳のスキルを上げていっていただくようにしています」(本多さん)

仕事は案件によって社内スタッフで行う場合と、外部の登録翻訳者と共同で行う場合があるそうです。

「これまでお仕事をお願いしたことがある外部の翻訳者さんは20人程度です。そのうち5、6人の方には継続的に依頼しています」(本多さん)

外部スタッフは現在、日本人が8割、中国人が2割程度。今後は日中翻訳を増やしていきたいので、中国人のネイティブ翻訳者を充実させていきたいと考えています。

翻訳者やチェッカーの募集は、アメリアの「JOB」や同社のHPを通して行っています。

「トライアルは課題となる映像の手配などが使用許諾の問題で難しいので実施していません。応募資料から判断して、お願いできそうな方には、実際に仕事をしていただき、その内容を見て、続けてお願いできるかどうかを判断しています。これまでご応募いただいた方は皆さん優秀で、合格レベルの方ばかりでした」(本多さん)

わが社のここが自慢! 中国語のことなら、どんなことでも相談してもらえる存在に

現在、中国語専門の翻訳会社として映像を中心に仕事を受注する同社ですが、本多さんが仕事を始めたばかりの頃は、中国語だけをやっていればいいというわけではなかったそうです。

「最初は業界に知り合いもなく手探りの状態だったので、依頼される中国語の仕事も少なく、英語の作品の翻訳や韓国語の作品の文字校正など、依頼されればどんな仕事でも取り組みました。他にも中国語学校のスタッフとして働き、生の中国語に触れる機会を減らさないよう心がけながら映像翻訳の勉強を続け、少しずつ中国語の映像翻訳の仕事を増やしていきました」(本多さん)

会社を設立してからの本多さんの当面の目標は、中国語専門の会社であることを認知してもらい、中国語のことなら何でも相談してもらえる存在になることでした。

「何か国語にも対応できるローカライズの会社を目指したらどうかとアドバイスを受けたこともありますが、中華圏、中国語にピントをしぼり、“中国語ならワイツーシーワークス”と思い出してもらえる存在になりたいと思ったんです。最近は『英語の作品に中国人が出てきたんだけど、何てつぶやいているの?』というようなことも問い合わせていただけるようになりました」(本多さん)

徐々に思い描いていた存在に近づいていると感じつつ、次は10年目に向けて、新たな目標も見えてきたと本多さんはいいます。

「これまではドラマや映画の中国語から日本語への字幕翻訳を中心にやってきましたが、日本の作品を中国に紹介するべく日本語から中国語への翻訳にももっと力を入れていきたいです。そして、今後はさらに、中華圏エンターテイメントの情報を発信する仕事にも携わっていきたいと思っています。そのひとつとして、『E-華流』という中華圏のエンタメ情報を動画で紹介するサイトをオープンしました。中華圏の最新映画・ドラマのトレーラーや、番組情報、インタビューなどの動画を紹介するサイトです。今後はこのような情報発信にも力を入れていき、中国語のことならワイツーシーワークス、中国のエンタメのことならワイツーシーワークスと、すぐに思い浮かべていただける存在として定着していければいいなと思っています」(本多さん)

スタッフからひとこと!

会社設立6年目を迎え、今後はさらに業務を拡大していきたいと語る代表の本多さん。翻訳者やネイティブチェッカーなど、人材の確保も今後ますます重要になってきます。翻訳者に対して期待することを伺いました。

「翻訳者には、原文のニュアンスを大切にしてくれる方を求めます。私自身、日本語として自然で分かりやすい表現を心がけつつも、原文に対するこだわりを大切にしたいと思っているからです。最近は中国で話題となった作品が日本で放送されると、どのように翻訳されているか以前よりずっと注目されていると感じています。中華圏の方にも納得してもらえるような字幕にしたい、と日々精進しています」(本多さん)

現在、社内スタッフとして活躍する植田さんは独学で中国語を学び、現在本多さんのもとで修行中です。

「チェックは厳しいですが、とても勉強になります。本多さんのスキルを盗みたいと思っています」(植田さん)

中国人の劉さんは、日本語作品の中国語翻訳や、日本人翻訳者が訳したもののネイティブチェックを担当しています。

「中国人なら誰もが知っている有名な作品を手がけられていて、チェックをしていても興味津々です。スタッフもみんな仲が良くて、とても働きやすいです」(劉さん)

ワイツーシーワークスが手がけた作品紹介

『江湖の薔薇』『江湖の薔薇』
清朝末期を舞台に、姉妹同様に育った2人の娘が悲劇的な愛と戦いの運命へと導かれていく物語。武術と恋愛、冒険が盛り込まれた武侠ロマンスの決定版。

発売・販売元:マクザム
© H&R CENTURY PICTURES Co. Ltd.