ご利用企業インタビュー

グレイステクノロジー株式会社

グレイステクノロジー株式会社

1984年に創業した株式会社日本マニュアルセンターを前身とし、2000年に設立されたグレイステクノロジー株式会社。創業以来、マニュアル制作専門会社として、マニュアル作成における効率化とコスト削減に関するコンサルティング業務、国内・国外IT関連メーカーおよび各種国内大手メーカーの製品マニュアルをはじめとする技術文書の作成、翻訳を幅広く手がけています。

――御社はマニュアル制作専門会社ということですね。具体的にどのような業務を行っているのでしょうか。

35年前の創業以来、主に大手メーカーの技術マニュアルを手がけています。単にお客様から依頼されるとおりにマニュアルを制作するだけではなく、マニュアルを企業にとっての経営戦略のひとつと位置づけて、お客様にマニュアルの品質向上を提言するコンサルティング業務にも力を入れています。
 というのも、弊社代表は創業以来一貫して「日本のマニュアルをなんとかしたい」という思いを持ち続けているからです。戦後の高度経済成長期にメイド・イン・ジャパンの製品は素晴らしいと世界から称賛を受けましたが、一方で「製品は一流だが、添付されているマニュアルはジョークだ」と風刺されてもいたそうです。(制作部翻訳グループマネージャー村上玲子さん)

――それは何十年か前の話で、その後、マニュアルも改善されてきているのでは?

一般消費者向けのBtoCの製品のマニュアルは比較的ユーザーの声や不満が反映されやすく、少しずつ改善が見られるかもしれませんが、弊社で主に扱っているBtoBの技術マニュアルでは、現在でもまだ多くの問題があると考えています。
 例えば、ある機械メーカーでは新製品を発売する時点でマニュアルがまだ完成しておらず、月に数万件もの問い合わせが入ることがあるそうです。全社総動員で対応し、それでも問題が解決されずに技術者が海外の現場にまで出向くケースもあるといいます。マニュアルは製品開発の技術者が開発のかたわらに書いているため時間がかかり、まず日本語版が製品発売から大幅に遅れて完成し、英語版や多言語版はさらに遅れるため一部日本語のまま渡すという話も聞いています。また、読み手にわかりやすく書かれていないという問題も加わり、読める言語になっても内容がわからない、その結果やはり問い合わせが殺到するわけです。(村上さん)

――その対応だけでも、かなりのコストが掛かりますね。最初から発売時期に合わせて計画的にマニュアルを作っておけば、そのコストはかなり削減できますよね。

そのとおりです。今でも実際にこういうことが現場では起こっています。そういう問題のなかには、マニュアルによって解決できることもあるはずです。弊社は企画提案というかたちで、できれば製品開発の初期段階からマニュアル制作のスケジュール管理も含めてお手伝いしたいと考えています。
 ただ、企業としては大事な開発の内容を開示することになるわけですから、弊社の会社としての信頼度が非常に重要です。安心してマニュアル制作を任せていただけるように、2018年8月に東証一部上場を果たし、昨年秋からテレビCMも始めました。(村上さん)

――なるほど。CMのキャッチフレーズ「マニュアルから企業を変える」にはそういう意味が込められていたのですね。では、具体的にどのようなマニュアルの翻訳が多いですか?

日英翻訳、つまり日本企業が輸出するものとしては、工作機械、測定機器、検査機器、建機、工業用ロボットなどの操作・保守マニュアルが多いです。また、これらの機械をコンピュータ制御するためのソフトウエアのマニュアルの翻訳も同時に発生します。
 英日翻訳のほうは、海外から日本への輸入品になりますが、業務支援ソフトや通信関係のマニュアルの依頼が多いです。
 創業当初はITが普及し始めた頃で、圧倒的に英日が多かったのですが、今は日英が半数を超えてきています。(制作部翻訳グループマネージャー翻訳コーディネーター渡部智之さん)

――日英翻訳は日本人翻訳者、ネイティブ翻訳者のどちらに依頼することが多いですか?

日英翻訳だと英語ネイティブの翻訳者に依頼するという翻訳会社も多いと思いますが、弊社では日本人の翻訳者さんがほとんどです。マニュアルの英訳では、正確さ、用語の統一、クライアントごとに異なる指示に従うこと、などが重要です。その点、英語ネイティブの翻訳者がよく行う、同じ原文でも言い回しを変えるといった工夫がむしろ邪魔になることもあります。ルールをきちんと守ることは、日本人翻訳者のほうが向いていると感じています。(渡部さん)

――特に技術者が使うような製品のマニュアルは分厚い印象がありますが、いかがでしょう?

仕様書や手順書など数十ページのものもありますが、マニュアルは少なくとも数百ページ、多いものだと1万ページ以上になることもあります。弊社としてはできれば1人、またはできるかぎり少人数の翻訳者にお願いしたいと考えています。翻訳者の人数が増えればムダなバラつきも生まれます。
 ただ、お客様から翻訳を依頼された段階で納期が迫っており、望まない人数の翻訳者で分担しないと間に合わないということもあります。お客様にはその際のリスクをしっかりと説明して、時間が掛かっても翻訳者の数を増やしすぎないほうが品質を保証できることを伝えます。翻訳者さんも短期間で一部分だけを訳すよりも、数カ月継続して全体を訳すほうがスケジュールを立てやすく品質管理しやすく、収入的にも安定してよいでしょう。まずは計画的にプロジェクトを発足することが不可欠です。マニュアルの品質向上を目指して、今後もお客様への企画提案を積極的に行っていきたいと思います。(渡部さん)

アメリアでの求人募集について聞きました

――現在もアメリアの「JOB」に複数の求人を出していただいていますが、いかがでしょうか?

いくつかの媒体で求人を行っていますが、アメリアには真面目で誠実で熱心な方が多いという印象です。また、さまざまなジャンルの方がいるので、クライアントから少し変わった依頼を受けたときなどは、まずアメリアで募集してみよう、と思います。(村上さん)

――今年4月の翻訳者募集では、翻訳の実績がない方も応募可能としていただきましたね。

登録翻訳者に関しては、基本的には「実務経験2年以上」を応募の条件とさせていただいていますが、そのときは初めて「未経験者応募可」で募集してみました。反響は大きかったですね。
 実は、その前に翻訳ではなく用語集作成の人員を募集したのですが、「翻訳経験問わず」だったので、本当に多くのご応募をいただきました。Skype面談を行ったところ、「翻訳者になりたいが実績がないのでこちらの求人に応募した」「どんな仕事でも頑張ります」といった真面目で素直な、人間性に魅力のある方が多く、未経験者の中にも光る原石のような方がいるのではないかと感じたんです。
 翻訳の仕事ではなかったのですが、けっこう鋭い観点で効率的に仕事をしてくださる方がいらっしゃって、その方々にもお声がけして、さらにアメリアで「未経験者応募可」で募った方と併せて登録翻訳者のトライアルを実施しました。現在、審査中ですが、仕事をしながら翻訳者として育ってほしいということで、弊社で目の届く範囲の人数の採用を検討しています。(村上さん)

仕事のパートナーである翻訳者の皆さまへ

仕事の効率化や品質アップのための
日頃の努力は必ず訳文に表れる

 今現在、弊社から継続的に仕事をお願いしている翻訳者は50人くらいです。そのなかに、この人は今後ますます伸びそうだなと期待を抱かせてくれる方が何人かいます。締切を守りつつも、しっかり調べてあり、ミスも少なく、柔軟に対応してくださる方です。
 翻訳の仕事は必ず締切があり、時間の余裕がないことも多いと思いますが、その枠の中でどこに時間を掛けるかを見極められるかどうかが大きいのではないかと思います。例えば、日頃から「このサイトにはこういう情報がある」というリソースを多く準備しておけば、調べものの時間を短縮できるでしょう。チェックツールを購入してミスを減らしている方もいます。コストが掛かりますが、上手に活用すれば短時間で効率よくチェックができます。
 仕事を効率的に進め、品質を上げるために、普段から準備をしている向上心ある翻訳者さんには、次も必ず仕事をお願いしたいと思います。また、まだ実績が少なく発展途上だけれども、熱意があり、少しの気づきで進歩していく方も同じように大事にしたいと思います。(村上さん)

 翻訳の仕事においては、原文以上のことも以下のことも表現できないものだと思います。ただ、最終的に依頼主であるクライアントにとっての合格ラインというものがあり、それを超えるものを作らなければならないわけです。
 例えば、OperatingManualを「操作説明書」と訳すのは“正しい”ですが、クライアントのサイトで類似のものが「取扱説明書」という言葉で統一されていたとしたら、「操作説明書」はクライアントにとっては“間違い”になるわけです。
 翻訳し終わったときに、正しいかどうか以上に「この訳文は合格か?」という視点を持つことも翻訳者には必要ではないかと思います。(渡部さん)