ご利用企業インタビュー

株式会社米国特許翻訳社

株式会社米国特許翻訳社日本企業の特許活用の促進に貢献したいと米国出願特許専門の翻訳会社を設立

 米国特許翻訳社は米国出願用の特許明細書を専門とする翻訳会社です。代表取締役の大島祥貴氏はかつて特許弁護士を目指して米国の知財法律事務所で働いていたそうです。そこで、英訳された特許明細書を受け取ってアメリカの特許庁に出願する仕事をしているうちに、日本から送られてくる書類の翻訳の質に問題があると感じ、自ら翻訳会社を設立することを考えたのだといいます。

 「英文の特許明細書で特許の内容が正確に説明できていないと、提出先の米国特許庁から通知が届きます。それに対して回答をしたり、明細書を書き直したりするのに時間やコストが余計にかかってしまいます。それは特許取得を考える企業にとって大きな損失になるのです。特許翻訳会社を立ち上げ、より良い翻訳文を提供して、日本企業の特許活用の促進に貢献したいと思いました」(代表取締役 大島祥貴さん)

 大島さんは日本の翻訳会社で修業をした後、2012年に大阪で同社の前身にあたる株式会社 VouveIP を創業しました。

 「会社といっても最初の2年は私1人だけで、翻訳はもちろん経理や営業もこなしていました。幸い、以前勤めていた特許法律事務所のクライアントから翻訳のご依頼をいただいて、順調なスタートを切ることができました」(大島さん)

 会社設立2年目くらいからは自分一人では翻訳しきれなくなり、外部の翻訳者にも依頼するようになったそうです。

2015年にオフィスを東京へ移転 社名も変更して新たなスタートを切る

 2015年に大阪から東京に事務所を移転し、それを機に社名を現在の米国特許翻訳社に変更しました。

 「東京に移転したいちばんの理由は、東京のほうが特許翻訳者を確保しやすかったからです。現在では正社員として4名の翻訳者にオンサイトで働いてもらっています。社名の変更は、前の社名では何をやっている会社かよくわからなかったので、名前を聞けば会社の業務内容がすぐにわかるようにしようと考えました」(大島さん) 

 同社が手がけるのは、日本企業が米国で特許を取得しようとする際の書類の翻訳で、従ってほぼ 100%日英翻訳です。分野としては、機械、電気、電子、化学などが多いそうです。

 「社内で翻訳するのは全体の8割、残りの2割を信頼できる外部のフリーランス翻訳者に依頼しています。チェックはできる限り私が行い、チェッカーに任せた場合もクレーム(特許請求の範囲)だけは必ず目を通しています」(大島さん)

 フリーランスの翻訳者とは頻繁に打ち合わせを行い、翻訳意図の確認をするそうです。

 「当社の登録翻訳者さんはみな原文を深く読んで翻訳してくれる人たちばかりなので、こちらで一方的に修正したものをフィードバックすることはありません。一緒に良い英文明細書を作り上げていくために打ち合わせというかたちでコミュニケーションを取っています」(大島さん)

日本企業の海外への特許申請は今後も堅調 より翻訳の質が求められる時代に

 日本企業の海外への特許出願の需要は、今後も見込まれるのでしょうか。

 「実は日本企業が国内に出す特許案件はこのところ減少しているという統計結果が出ていますが、一方、アメリカで発表された“アメリカで特許を取った企業トップ 20”のうち半数近くは日本企業だというデータがあります。また、日本の経済産業省が出している年次報告書では、日本企業の知財戦略が『量から質へ転換した』と書いてありました。これらを総合して考えると、国内だけで特許を取るのではなく、取るなら海外市場を視野に入れて国際出願をする企業が増えているということがわかります。今後も海外への出願、とりわけ米国への特許出願数は堅調だと予想していますし、これまで以上に翻訳の質が重要視される時代になると考えています」(大島さん)

わが社のここが自慢! 志を同じくするスタッフが集結

 米国の知財法律事務所で、実際に米国特許庁に特許出願をする仕事をしていた大島さん。スムーズに特許取得をするためにはどのような書類の書き方が理想的なのか、どのような文言だと訂正が求められるのか、現場での経験を通してつかみ取っていったそうです。

 「私自身が翻訳をしているぶんには、その経験と知識を翻訳に反映できましたが、翻訳を別の人に依頼するとなると、どのようにして品質を保てばいいのか、これは会社を始めるときからずっと悩んでいたことでした」(大島さん)

 大島さんが考えた末に実行したのが、自分の経験や知識をすべて公開するということでした。会社を始めて 2年目に、自社サイトに特許翻訳に関する記事を書き始めたのです。

 「自分の持っている特許翻訳のノウハウをあますところなく書き綴っていきました。こんなに書いていいのかな、と最初は自分でも迷うところがあったのですが、そのうち書くこと自体が面白くなってきたんです」(大島さん)

 他社に真似されてしまうのでは、といった心配はなかったのでしょうか。

 「その心配よりも、公開することによって弊社のやり方を多くの人に知ってもらえるメリットのほうが大きいと考えました。それに倣って翻訳してくれる翻訳者がいたらいいな、という期待のほうが大きかったです」(大島さん)

 大島さんの考えは的中し、サイトを読んで賛同し、一緒にやりたいと申し出てくれた翻訳者が何人もいたそうです。

 「今のスタッフがみんなそうなんです。トライアルを受けてもらったら、自分で翻訳したのかと思うほど私が理想的だと思う翻訳をしてきてくれる人もいました。入社する時点で弊社のやり方や目指すところを十分に理解してくれているので、すぐに即戦力として活躍してくれています」(大島さん)

 同社のサイトの記事は今後も特許翻訳に関するコンテンツをますます増やしていく予定だそうです。

スタッフからひとこと!

 専門性の高い特許翻訳の会社として歩み始めたばかりの同社。今後、より専門性を高めつつ、多くのニーズに応え、質の高い特許翻訳を提供していくために、人材の確保も重要だと考えています。同社の目指す方向、必要とする人材について代表取締役の大島さんに伺いました。

 「当社は、どんな翻訳にも対応できる翻訳の総合商社ではなく、『米国特許翻訳社』という名前が示すとおり、米国特許のための翻訳を突き詰めて先鋭化していく会社です。今後も、米国特許のための翻訳を最適なものにして、クライアント企業が米国での特許取得、権利行使がしやすくなるようにお手伝いしていきます。よく、特許事務所がしているような仕事をしている、と言われるのですが、これもクライアント企業の利益を考えて業務を行ってきた結果だと誇りに思っています。そのような会社ですので、スタッフとして求める人物像もはっきりしています。特許翻訳のスキルがしっかりしているとともに米国特許法や判例に興味を持てる方とお仕事をしたいと思っています。将来的には、当社で米国弁理士の有資格者を育てる計画もあります。翻訳業界にいると、将来、機械翻訳によって自分の仕事が脅かされるのではないかという不安が常にあります。これに対抗するための方法の1つが、自分のスキルを先鋭化させて、クライアントが期待する以上のものを提供できるようになることだと思います。当社の場合、翻訳を米国特許出願に特化することによってこれを実現させようとしているといえます。当社の仕事はどんな翻訳者でもできるというわけではない反面、一度好きになると熱狂的に支持してくれる人がいます。今後もこういう人々との出会いを大切にしながら、1つ1つの仕事に着実に取り組んでいきたいと思います」(大島さん)