アメリア会員インタビュー


藤田 弘美さん

第91回

長い長い4人の子育てを終え 念願のメディカル翻訳者に藤田 弘美さん

Hiromi Fujita

現在は1社からの仕事に専念

濱野 :今回は、広島在住でメディカル翻訳者としてご活躍中の藤田弘美さんにお話を伺います。なんと4人のお子様を育て上げ、その後にフリーランス翻訳者としてデビューされたというパワフルな経歴をお持ちの藤田さん。初めて翻訳に興味を持ったのはいつごろのことですか?

藤田 :勉強を始めたのは、かれこれ20年ほど前になります。通信講座を受けたり、ときどき仕事を受けたり、翻訳から離れた時期があったり……本格的に仕事を始めたのはここ5年くらいですね。子供が4人いましたので、結婚後はずっと子育て中心の生活が続きました。

濱野 :4人の子育て……もう「すごい」としか言えません。現在は、お子様も大きくなられたのでしょうか?

藤田 :いちばん下の二男がもうすぐ20歳になります。

濱野 :しっかりと子育てを終えられて、5年前からメディカル翻訳者としての第二の人生を歩み始めたわけですね。現在のお仕事の状況を教えていただけますか?

藤田 :以前は数社に登録し、医療機器関連、セミナーの資料、論文などさまざまな翻訳を単発で請け負っていました。ただ、私はあまり器用なほうではないので、現在は1社に絞って仕事を受注しています。小児科、感染制御系の論文の抄録(第三者抄録も含む)が月1回。ウェブ版の医学情報サマリーを週2回、整形外科の抄録を3ヵ月に1回。そのほかは単発ですが、ウェブ版ニュースレター、企業がメーカーに提供する販促のための論文のサマリーなどですね。

デスクにはデュアルモニタを装備

濱野 :レギュラーの仕事を含め、1社からそれだけの量の案件を任されるというのは、信頼の証ですね。

藤田:いえいえ、優秀な翻訳者の方が多く、私などはまだまだ新人です。

濱野 :そんなそんな。ところで、「第三者抄録」というのは初めて聞いたのですが、どのようなお仕事なのでしょうか?

藤田 :主要な海外雑誌の最新論文のなかから重要な記事が選ばれ、著者以外の医師チームなどが要約、論評した資料の翻訳のことで、医療関係者向けに提供される大切な情報となります。主に製薬会社から発注される仕事です。将来的には論文の翻訳を中心にしたいので、抄録を通して広範囲にわたって知識が得られるのはありがたいことです。

濱野 :メディカル翻訳とひとことで言っても、いろいろと奥が深そうですね。ほかに、メディカル翻訳で需要の高いドキュメントはどんなものがありますか?

藤田 :治験総括報告書や治験実施計画書などの臨床試験関連文書はもちろん、社内報、販促資料など一般寄りの文書の需要も増えているようです。私自身は、治験関連の仕事は少ないのですが……。また、英訳は需要が多いのに、対応できる翻訳者が少ないということを聞き、昨年は1年間、治験の英訳の通学講座を受けました。これからは、英訳のトライアルにも挑戦していこうと思っています。