【アメリア】みんなで作るインタビュー1・中野恵美子さん回答編
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第1回 中野恵美子さん
 
<第1回> 紹介編インタビュー編|回答編  全3ページ
   
  中野さんへの質問を送って下さったみなさん、ありがとうございました!
さまざまな角度からの面白い質問がたくさん集まりました。
そして、思いがけない質問にも、ちゃんと答えてくださった中野さん。ありがとうございました!
   
中野さんはドイツ哲学の専攻、英語の講師というご経歴なのですが、コンピュータに関する勉強はどのようになさったのですか。翻訳をしながら一種のOJTで学ばれたのでしょうか。(billy jack さん)

文学部の出身ですが、学部時代にはコンピュータ関連のコースを取っていて、他学部のコンピュータルームに入り浸っては、簡単なプログラムを書いて喜んでいました(夏はコンピュータルームの方が涼しかったし)。パソコンを自分で組み立ててしまう、というハードウェア


系ではありませんが、秩序だって動くものが好きなのかもしれません。
翻訳の仕事を始めた方が先ですが、その後、コンピュータ関連雑誌のライターなどもやるようになりまして、自然に色々な知識を身につけることができたように思います。

 
マニュアルを訳す場合と出版物を訳す場合では音引きの処理についての指定は変わりましたか。たとえば、サーバとサーバー、ユーザとユーザー(ペッカー さん)

マニュアルの場合「サーバ」というスタイルが多いと思いますが、クライアントによって違うかもしれません。いずれにせよ最初に指定が来ますので、それにあわせて訳すのが一般的


ですよね。出版物の場合も、専門的な読者なら「サーバ」、一般読者が多ければ「サーバー」のように、臨機応変に決定されるようです。

 
仕事は、規則的に計画を立ててしますか? 朝は何時から、夜は何時までという具合に。それとも、徹夜をしたり、昼寝をしたり(?)と不規則ですか?(RM さん)

スケジュールをたてるのはだいだい大好きなんです! でも、それを守る能力が欠落しているので、行き当たりばったりに仕事しています。昼間に締め切りがあることが多いため、お


昼寝はしませんが、夕方の変な時間に眠くなることが多いです。美容に悪いですから、最近は夜はなるべく寝るように心がけております。

 
うまい訳語が見つかるのはどんな場所ですか? (トイレとか、散歩中とか、夢の中とか??) (十四代 さん)

編み物をしているとき、料理をしているときなどが多いようです。最近読んだ本によると、これは右脳が活性化されるためらしいです。ですから、シャワーを浴びたり、ドライブをしたり、音楽を聴いてリラックスしたり、というのも、良いアイディアを得るために有効なのだとか。絵をお描きになる方だったら、デッサンするのも良いのではないでしょうか。


個人的に一番効率が良いと思っている方法は、苦しい姿勢でうたた寝をすること。そうすると、夢とも幻ともつかない中で、非常に明晰な回答が得られることがあるんです。が、これは首の筋を違えたり、肩がこったり、腰痛を誘発するので、シャワーやドライブのようにはお勧めできません。

 
Mac関連のWebサイトで連載されているのを発見。Macでの翻訳の苦労話があれば教えてください。(しば犬 さん)


Macintosh関連の翻訳が減っていること。というのは冗談ですが、Macに関する翻訳で、特に苦労したことはないです(いつも苦労の連続ですので)。ご質問の趣旨とは、ちょっとズレてしまいますが、Macintoshでひどい目にあったことはあります。
ちょうどWindowsマシンのウィルス感染が心配


な時期だったので、Macintoshの方にファイルを持ってきて作業していたんです。そしたら、Macがウィルスにやられて数十ページの翻訳がパーに(それも納期目前)なりました。目の前が真っ暗になる、という言葉がありますが、あれ、嘘ですね。真っ白になりました、ほんと。

 
『ウェブユーザビリティの法則』やコラムを読んで、とても読みやすくてステキな文だな?と感動しました! 日本語ライティング自体はどのように習得(?)されたのでしょうか? 小さい頃から文を書くのが好きだったとか?? (りょう さん)

ありがとうございます、そういっていただけると嬉しいです?。翻訳やコンピュータと同様、ライティングについても特に勉強したことはないです。文を書くのも、どちらかというと好きでは


ありませんでした。小、中学校と子供時代は作文では最低点の連続でしたし、高校の時はレポートが原因で、危うく一年留年させられそうになったほどですから!

 
bla bla bla...の訳に10日ほど悩んだとおっしゃっていましたが、なかなかいい訳が思い浮かばない時は最長何日くらい悩みましたか (はだかの探検家 さん)

通常、
●悩むような表現のある文章を訳していない

●悩むべきかもしれないけど、スケジュールが


押していて、悩む時間がないかのどちらかですので、「bla bla bla ...」が最長です。あんなに長く悩ませてもらえたのは、贅沢なことだったと編集者の方に感謝しております。

 
自分が訳した本が書店に並んでいるのを初めて見たときの感想を聞かせてください。(kaz さん)

最初のころ、あまり書店に並んでなかったんですよ。コラムの読者の方から「買いましたよ」とか、「書店に平積みされていて、結構減っていましたよ」とか知らせていただいたのです。


が、私は長いこと「ないなー」と思っていました。ですから、やっと発見したときは「やれやれ」。せっかくの初体験だったのに、残念なことをしました。

 
翻訳をやっていて、面白かったことや、逆に辛かったことはなんですか?(黒牛 さん)

自分の知らないジャンルの翻訳をしなければならない時、その分野の専門書を何冊か読んでいきますが、そこで異質な思考の枠組みに出会えるのが楽しいです。仕事でなければ、絶対に読まなかったであろう本で、案外と自分にとって気持ちの良い思考法に出くわしたりすると、トクしたような気分になります。逆に辛いのは、先が見えている作業なので、


登山のような苦しさがある点でしょうか。頂上は見えている。自分の脚力なら、あそこまで行くのにあとどのくらいの時間がかかるかもわかる。でも歩き続ける気力が萎える。
そこで頻繁におやつ休憩を入れてしまうのですが、そういう自分に自己嫌悪して、更に落ち込む‥‥ 辛いです。

 
中野さんが考える、優れた翻訳の秘訣は何でしょうか? また日ごろ気をつけていることがありましたらこっそり教えてください。 (ペルーの置物 さん)

う〜ん、難しいですねぇ。以前は日本語として読みやすいことが、良い翻訳の絶対条件だと思っていました。が、最近思うんです。原文が難解で読みにくい場合、あるいは難解ではないにしても、独特のリズムがあって読みにくい場合、すらすら読み流せるような日本語に置き換えるのは、間違っているんじゃないか、って。


これはどこまで意訳するかって問題にも繋がるのですが、意訳しすぎて解釈になってしまったり、翻訳者の気質が映し込まれたり、というのではまずいですよね。記事とか書類など、こういう問題が起こりにくいものを訳していても、どこまで訳し込むのか、という境界線のようなものを、いつも意識するようにしているのが、気をつけている点です。

 
翻訳の作業中は気分転換が大切だと思いますが、中野さんはどのように気分転換をして良い翻訳を完成されていますか? (ペルーの置物 さん)

先にも書きましたが、おやつ休憩は自分を追いつめるだけで気分転換になりませんので(笑)、時間を決めて散歩したり、映画を見ること、でしょうか。
 歩くときはただひたすら歩きます。都会は排気ガスがすごいので、道路を歩くよりもデパートのはしごがお勧めです。デパートを3軒くらいぐりぐり回ると、相当の距離歩くことになりますし、色々な人をウォッチングできるし、楽しいですよ。


映画はほとんどが英語圏のものしか見ていませんが、中でもごーっと泣いちゃうようなのが良いです。目が洗われると、心も洗われるような感じがします(と思います)。映画を見ると、感情を伴った言葉が耳から飛び込んでくるという利点もありますが、気分転換の時は、あまりそういうことは意識せず、ただ楽しむようにしています。

 
趣味で読むのはどんな本でしょう。 (junta さん)

10代の頃は英米のSFとミステリしか読みませんでした。日本の本を読むようになったのは、実はイギリスに行ってからでした。
 日本にいれば電車のつり広告など、読もうと思わなくても日本語が目に入ってくるのに、ヨーロッパでは横文字ばかり。漢字やひらがなに対する飢餓感を初めて感じまして、駐在員の方や留学生が日本から持ってきた本を売り買いする、古書店もどきに飛び込みました。
 そういうところって何故か、時代小説、赤川次郎、(日本人作家の)ハードボイルド系が多いんですよね。どれも読んだことのないジャンル(赤川さんは一人で「ジャンル」ですねぇ)だ


ったのですが、これが「面白いじゃないのっ!!!」 以来、何でも読むようになりました。
 太宰治に出会ったのもイギリス。文学史の知識などから、「太宰治イコール暗い」というイメージで、まともに読んだことはなかったのですが、友達の家のトイレに何故か太宰が積んであって、心ゆくまで堪能しました(もちろんトイレで)。誰だったか有名な作家が、「日本の作家で真のユーモアがあるのは、太宰だけだ」と言っているのを後に見かけましたが、本当にそうだなぁと思います。

 
翻訳の仕事について、目標のようなものはありますか? あるとしたら、どんなものですか? (黒牛 さん)

翻訳をしながら自分の日本人としての感性とか、日本語を磨いて行けたら良いなと思っています。翻訳に一番大切なのは、母国語の能力だと思っていますので。あとは、思想系の書


籍の翻訳が目標ですが、これには自分の専門分野の研究を続けていく必要がありますので、目標と言うよりは夢かもしれません。

 
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