【アメリア】みんなで作るインタビュー5・マイクロソフトプロダクトディベロップメントリミテッド紹介編
 
  みんなで作るインタビュー


 [紹介編]
読み物  

翻訳業界でも標準といえるWindowsやOffice。操作方法がわからない場合は、マニュアルやヘルプを開きます。もともと英語で開発された製品ですので、日本語版は翻訳されたもの。日本語環境に適した製品に作り替えること、それがローカリゼーションです。今回は、マイクロソフトの日本語版ローカリゼーションに携わるおふたりにご登場いただきます。

 第5回 MILSグループ
<第5回> 紹介編|インタビュー編 1インタビュー編 2  全3ページ


アメリア:こんにちは。本日はよろしくお願いいたします。

高木・田村:こんにちは。こちらこそよろしくお願いします。

アメリア:さっそくですが、マイクロソフト製品のローカライズはどのように進められるのでしょうか? そのしくみを教えてください。


高木:私たちの会社は米国マイクロソフトの子会社という位置づけで、マイクロソフト製品の日本語版の開発を行っているんです。各製品グループ、たとえばWindows、Office、.NET Enterprise Serverといったものですが、その製品グループごとに開発チームがあって、ローカリゼーションチームはその一部にあたります(参考図)。

アメリア:製品グループごとに独立したかたちでローカリゼーションチームがあるのですね。どうして1つチームではなくて製品ごとに分かれて存在するのですか?

高木:その製品に最も適した、効率的なやり方で開発を行うので、各製品チームによって仕事の進め方が違ってくるからなんです。しかし、同じマイクロソフトというブランドの製品ですので、ローカリゼーションにおいてはできるだけ統一された用語やスタイルを使う必要があります。そのために必要なサポートを私たちMILS(Microsoft International Language Services)グループが行っているというわけです。

アメリア:わかりました。では、MILSグループの役割について、もう少し詳しく教えていただけますか?

高木参考図からもわかるように、MILSは縦割りの製品グループを横串に見る唯一の組織である研究開発統括部に属しています。研究開発統括部は生産性向上のために統括的にサービスを提供する部署で、MILSはそのなかでターミノロジーやスタイルといった、言語品質に関するサービスを提供しています。全社的により効率的にターミノロジーをリサイクルすることにより、企業としてより低コストでより高品質の商品を提供することをミッションとしています。

アメリア:MILSグループでは具体的にどのようなことをされているのですか?

田村:MILSは、ローカリゼーションチームやビジネス パートナー様(マイクロソフト製品のローカリゼーションを行っていただく翻訳会社)に対して、マイクロソフトの製品が言語品質面で市場の要件を満たすためのサービスを提供しています。具体的には次のような3つのサービスがあります。
  Terminology Management
リソースを、できるだけ多くの製品や次期バージョンでリサイクルできるように、マイクロソフト製品間の用語の調整、使用される用語のレビュー/承認、翻訳者が使用する用語集の作成などを行っています。また、翻訳会社や翻訳者の方に対して、用語のリサイクルに関するターミノロジー・マネージメントのトレーニングも行います。

Localization Product Unit / Business Partner Support
ビジネス パートナー様に向けて、MILSのサービスを紹介したり、ターミノロジーに関する情報を共有するためのワークショップやセミナーを行っています。  また、ベンダーキットを作成・提供しています。ベンダーキットとは、たとえば国名、色名、記号名、エラーメッセージなど製品間で共通して使用される用語のリスト、表記のルールをまとめたスタイルガイドなどを指します。

Language Quality Assurance
翻訳の品質向上を目的に、翻訳会社におけるQA(Quality Assurance)プロセスの構築を支援しています。翻訳会社が翻訳者からの納品物に対してどのようなフローでチェックを行っているのか、どのような品質基準で評価を行っているのか、エラーが発見された場合どのような対策を行うのか、このようなプロセスを翻訳会社さんに確立していただいて、プロジェクトのなるべく早い段階で品質をリカバリーできるように支援させていただいています。

アメリア
ローカリゼーションの品質を支える黒子として重要な役割を果たしているのですね。では、マイクロソフトとしては、どのような翻訳者がローカリゼーションに望ましいとお考えですか?

高木ローカリゼーションはただ翻訳ができるだけでは難しいと思いますね。要求される言語品質に見合う日本語能力はもちろんですが、それ以外にもツールの運用能力や製品知識といったローカライザーに求められるテクニカルな資質が重要だと思います。マイクロソフトではTRADOSを使用していますが、こうしたローカリゼーションで使用される業界標準ツールを各自で準備し、それに習熟している方が望ましいですね。そうでないと、私たちがお付き合いさせていただいている翻訳会社にとっては使いづらい翻訳者ということになると思います。

アメリア
テクニカルな資質以外にも、翻訳者に必要なものはありますか?

高木そうですね。翻訳者は、翻訳会社のほうから納品した原稿に関するフィードバックがあった場合、次の原稿で必ずそれを反映していくことが重要です。品質向上を目指す高いモチベーション、また翻訳会社から要求されることに対してフレキシブルに対応していける能力が大いに問われると思います。

アメリア:翻訳品質については、どのようにお考えですか?

高木翻訳会社から納品される原稿は、社内でレビューをかけなくても、そのまま市場に出せるクオリティのものを期待しています。翻訳者が翻訳会社に納品する原稿の一次品質が最終納品物に与える影響は非常に大きいので、翻訳会社は、より最終納品物に近い質の高い原稿を納めてくれる翻訳者を求めていると思います。

アメリア:最後に、ローカライザーを目指している方に何かアドバイスをお願いいたします。

高木これは決して当然のこととは考えていないのですが、製品の発売日が決まっていて、それに合わせてローカリゼーションのスケジュールが組まれていますが、諸事情によって翻訳期間が短くなったり、途中で変更があったりということが起こり得ます。そうした無理なお願いにも対応していただける体力のある翻訳者の方は、私どもにとっても非常にありがたいと、一言付け加えさせていただきたいと思います(笑)。


さて、少々厳しいご意見もあったかと思いますが、プロフェッショナルな仕事である限りそれは当然のことです。ローカリゼーションについてまだまだ謎がいっぱいという方から、すでに仕事を始めていていずれは大きなプロジェクトの仕事をしたいと思っている方まで、担当者が直接質問に答えてくださるというめったにないこの機会をお見逃しなく!

 
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