【アメリア】対談の部屋 8-1 映画がますます好きになる!〜 Movie Trivia 番外編 〜
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対談の部屋  
<第8回>  全7ページ

第8回 映画がますます好きになる!〜Movie Trivia 番外編〜



 ・プロフィール

allusion 氏   (写真右上)
通称、アルさん。本名、北村孝志さん。Movie Trivia翻訳プロジェクトに知識提供者として参加。本職は映画の字幕制作プロデューサー、ビデオ・DVDの紹介文を書く映画ライターなど。古い映画から公開前の最新映画まで、その知識は幅広い。

Anita 氏   (写真左下)
本名、遠山昭子さん。Movie Trivia翻訳プロジェクトに知識提供者として参加。本職はクラシックのコンサートやCD制作のプランニング。1950年代をアメリカで過ごし、浴びるほど映画を観たという大の映画ファン。

※2008年1月29日、遠山昭子さんが亡くなられました。ご逝去を悼み、心からご冥福をお祈りいたします。

吉本秀人 氏   (写真左上)
実務翻訳家。アメリア名誉会員。フェロー・アカデミー講師。Movie Trivia翻訳プロジェクトのリーダーを務める。二本立て、名画座の全盛期に、映画とともに青春時代を過ごした。

裏リーダー吉野   (写真右下)
情報誌『Amelia』の『アメリア翻訳裏プロジェクト』の裏リーダー。アメリア翻訳プロジェクトではスタッフとしてサポート業務に携わる。


トリビア&グーフをとことん楽しもう!

吉野:昨年(2003年)の3月に始まったアメリア翻訳プロジェクト「Movie Trivia翻訳プロジェクト」も、お陰様で第4弾まできました。アメリア会員のみなさんには、そろそろトリビア&グーフという言葉が定着してきたのではないでしょうか。

吉本:そうだと嬉しいですね。最近、某テレビ番組では、トリビアのことを「明日役立つ無駄知識」って言ってますけど、まあ何を無駄とするかは人それぞれで……。

アル:トリビアの面白さっていうのは、そのトリビアにこだわることで映画の違う側面が見えてくるところなんですよね。それがもしかしたら映画の本質にかかわってくることがあったりして、だから面白い。

吉本:映画っていうのはそもそも、全体的に無駄なんです。でも、その無駄なものの中に、キラリと光る本質みたいなものが散らばっている。そもそも無駄かもしれないけれども、そういうことを突っ込んであれこれと考えるのが楽しいわけで……。Movie Trivia翻訳プロジェクトには、そういう“楽しい無駄”が好きな人に参加してほしいですね。

吉野:僕は、トリビアやグーフを知ると、映画を観る楽しみが増えるような気がするんです。今まで見ていなかったようなところまで、見るようになって……。

吉本:そうなんですよ。例えば、“グーフ”っていうのは、極めて“あげ足取り”みたいなところがあって、失敗を見つけて喜ぶという、意地の悪い、ネガティブな印象があるかもしれないけど、そうじゃない。

アニタ:そうじゃないんですよね。そこのところがまだよくわかっていない方は、どうしても訳文が堅くなっている気がしますね。

アル:それは、僕も感じますね。

アニタ:もっとグーフ自体を楽しんでしまって、実際に映画を観て十分に理解して訳せば、もっと訳しやすくなるんじゃないでしょうか。

吉本:そうそう。グーフっていうのはそもそも糾弾するものではないですからね。そうじゃなくて、“映画ファンが映画を観てたら、気が付いちゃったんだよね”っていうノリですよね。

アニタ:そうそう、そのノリが大事!

アル:例えば、Movie Trivia翻訳プロジェクトの第4弾では、『トゥルーマン・ショー』のところで出てきた“エイトボール”のグーフ。あれは面白かったなあ。

吉野:「トゥルーマンの机の上にあったマジックエイトボール(占いの遊びに使うボール)が同僚と話している時にはなくなっている」というアレですね。

吉本:あのあと、どなたか書き込んでくださっていたけど、あれは実はグーフじゃないんですよね。

アル:そうですね。机の前にワゴンがあって、その上に乗っかっていて、ワゴンのこちら側からカメラがとっているから、机の上にあると思っちゃったんですよね。そのワゴンはみんなに文房具を配って歩く人のワゴンだったから、あちこち動いているんです。

吉本:“エイトボール”のように知らない言葉が出てくると、最初はみなさん辞書で調べますよね。でも、この場合は、商品の名前だから、一般の辞書にはほとんど出ていないと思います。その代わり、ある大辞典には、「ビリヤードの8番の黒いボール」とか「丸くて黒い無指向性マイクロフォン」という意味が出ている。辞書に自分の知らない意味が書いてあると、それを信じてしまうというところがありますよね。

アル:信じますね。それは絶対に信じてしまう。

吉本:でも、それが非常に恐いんですよ。「本当にそうなのか?」とよく考えると、「そんなはずはない」ということもよくあるんです。

アニタ:辞書をひいて、いくつか出てきた意味の中から、適当に言葉を拾って訳している人がいますよね。

アル:一番簡単な方法ですからね。

アニタ:でも、そんな時は、一番合っていないのを拾っていることが多い。どうしてなのかな? って思います。

吉本:考えて拾っているというよりは、感覚だけで拾ってしまうから、そうなるんですよね。本当にそこで筋が通るのか、その意味でぴたっと合うのかというところまで突き詰めていない。

アル:そうそう。翻訳をしていると、文字にとらわれてしまって、全体の流れが見えていないことがあるんじゃないでしょうか。例えば訳文が4つぐらいのパートに分かれているとしますよね。訳すときは、その4つを通して考えなければいけないのに、1つ1つ順番に訳してしまう。だから、それぞれのつじつまが合っていなくて、ぎくしゃくしてしまう。

吉本:翻訳プロジェクトの場合は、便宜上、ユニットに分けているので、だからユニットだけをじっと見てしまうというのがあるんでしょうね。

アル:それはあると思います。

吉本:でも、ユニットを見たら、次はパート全体を通して見て、そのユニットの位置づけみたいなものが腑に落ちるかどうかというところで、考え直してほしいですよね。ユニット1つだけをポンと抜き出して、英文和訳の問題を解いているみたいな感じがすることがあるんですよね。

アル:そうなんです。その印象があると、読んでいても、トリビアやグーフの世界に入りにくくなってしまいます。「映画を観て、面白かった!」というノリで訳していただけると、読んでいる人も、もっと世界に入り込みやすいんじゃないでしょうか。

吉本:やっぱり、映画をよく見ることですよね。パート全体を読んで、映画を観て、「あっ、なるほど」って頷きながら訳していくのが一番いい。その中でわからないことがあったら調べる。調べ方にもいろいろある。人を使う、ネットを使う、映画を使う、いろんな方法があるわけです。端から訳すと、語句の表面的な意味だけにこだわって、でも本当の意味ではこだわっていないということになってしまいます。

 
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